自由人

王は自由人の過去を誰よりも知っていた、それはこの時代よりもまだ昔の話である。

「漂流物?」

まだ若き日の王は軍人として自身の国に流れ着いた物を観察していた

「なんだこれ?」

それは異質であった、地球上の物ではないと言うような球体であったが触った感じはまるで別物であった

「直ぐに本部へ」

球体は本部へ運ばれると同時に大爆発を起こした、更に数年年を重ねる。

「なんで?」

王は戦場にいた、そこは地獄でも何もない、ただの死骸の集まりであった、王は行動を開始したがそこにいたのは人を食らう人であった

「ひっひいいい」

恐怖から出る声は本当に自分の物なのかと言うほどであったが、それでも止まる事は出来なかった、戦場の中心に何か見えたのだ

「あれは」

その日見たものは今も記憶している。

ーーー

「更に年を重ね、今では処刑機関の王」

月夜に照らされながら、王はこぼす、王にとっての数十年はとても長くそして辛い年月であったのである。

「そうね」

自由人はワインを飲みながら、王に話しかける

「あの時、初めてあなたを目にして分かったわ!貴方は上に立つべき人間ではないって」

自由人もまた過去を思い出していた、自由人はこの世界で目覚めた後にすぐ目の前の光景を破壊した、そして自由人は世界を巡った沢山の世界を見てきたが

「この世界程ひどい世界は見たことが無かったな、誰もかれもが死んでいく」

自由人はその長い時間の中で一人の少年に出会った

「凡人との初めてはとても楽しかった」

「じゃろうな、今のアイツはめんどくさそうにしてるが」

「凡人は照れ屋なんだよ」

「そうじゃの」

二人の酒盛りが終わるころに凡人たちが出てきて、酒を奪い取る、未成年の凡人はつまみを根こそぎ奪い取っていった、そうして夜は明けていく


「じゃあ、行くか」

凡人は一人屋敷から出て自分の家に向かおうとしていた

「じゃあの!凡人」

「次もよろしくね」

「それまでに強くなりなさいよ」

「じゃあな」

昨日の段階での話だが、処刑機関に戻るにしろ、政府に報告するにしろ一度凡人を返す必要がある、理由としては彼はまだ高校生と言う身分であり、学業をおろそかにしてはいけないからだ、勿論他の任務に向かっていた教育者と経営者も既に自身の家に帰っていて、休んでいる。

「あ、そうだ教育者ちゃんには言ってあるからな!凡人、お前の護符が普通に使える事とお前の給料について、既に経費と称して俺達にかかった代金もお前の口座に入ってる」

「そりゃ、ありがたい」

凡人は支配人に一つの地図を渡されて、それを頼りに帰路についた、他のメンバーもそれぞれの家に帰るという所で自由人は一人、別の所に向かっていた

「あそこに向かうのも久しぶりだね」

自由人は能力を使い、ワープできる穴を作り出す、自由人はそれを通って処刑機関がある島の近くにでてきた

「確か、ここからすぐの所かな」

自由人はそれを飛べるらしく、それを飛んでその場所に着いた

「ここだね、久しぶり・・・凡神」

そこには今の凡人の名前と凡神書かれた墓石が置かれていた、その墓石に自由人は花を供えた

「君と話すのは久しぶりだね、君の意志と力を継いだ彼は元凡人を倒したよ、まぁ甘い所があるけれど」

自由人は話しながら、彼の事を思い出した、まだ処刑機関ができた頃の話である。

ーーーーーーーーーーーーーー

「私の力を?」

世界政府が処刑機関という組織を作る時に問題が出てきた、それは「資金」と「力」である

「政府の役人に私の力を使わせるのはいい気分ではないが、しかしおもちゃがでるのはうれしいね」

自由人は政府に自身の力の少し与えた、そのおかげで処刑機関は資金も多くあり大きな組織になったのであった、その時間の中で凡神と呼ばれる最初の凡人も生まれたのだが

「力に溺れたか」

最初の凡人は力に溺れて、その身を滅ぼしてしまった、自由人は最初の人間とあって丁寧に墓を作った、あれから時間がたち今も自由人がその墓に凡人たちの身を埋めているのだが

「今期の凡人は、君たちに比べたら可哀そうだよ?まだ高校生の身分で戦場に入ってしまった」

実の所、自由人は凡人に対して可哀そうな子と言う認識であった、戦場を知らなくていい年齢でもう戦場に足をつけている。その事実に自由人は涙を出そうとしたが、今の凡人はそれを気にしなかった、

「彼は言ってたよ?どうせこの先に行っても意味がないって」

自由人は凡人といくつかの話をしていた、自由人としても異世界の力をただの人間に持たせることは気にしていたが、箱を開けてみると

「いやっほほほほほほほ」

凡人は好奇心の塊であった、自由人が異世界人という事を話しても

「ぎゃはははははっは」

自由人の力を使って飛んだり、走ったり、潜ったりとやりたい放題で自制という概念が存在しなかったのである。

「彼はすごいよ、自分が置かれている状況でも楽しんでいるし、処刑機関の仕事もやるし」

自由人は凡人とよく仕事をしていた、その過程で凡人を爆破してしまったこともあるが、彼は寝たら記憶を失うのか?なぜか嫌な記憶だけ消していた、流石にこれは他の構成員も驚いていたが自由人は関心も出てきた

「あいつは本当にすごいよ、私の羽衣テンペストを使わなくても、護符を使う事が出来るんだから」

自由人が生きた年数、約500年の間に彼にような人間とは合わなかったので、自由人は驚きがすごかった、その後も自由人は凡人にちょっかいをかけ続けて凡人は自由人に振り回された、しかし自由人には体が足りなかったので

「傀儡を多く作ったね、機関の資金も沢山使ったね」

自由人が作った傀儡は全て、この世界の技術で作ったものである。種類も力も多くその数は世界人口の半分近くまで行っていたが

「私はいつか、凡人を暴走させてしまった」

凡人が機関に入った数年で凡人は自身の護符を暴走させてしまった、その際に自由人は異世界の能力を使って戻そうとしても彼は戻ろなかったのだが

「私にも護符があったなんてね」

自由人の護符「自由」は人が自由になるという効果である、しかしこれは護符のルールに反しているが、思えば処刑機関の護符は全てルールに反している物がある

「私はそこで気づいた、本当の奇跡を!」

自由人は一つの答えにたどりつた、処刑機関と言う組織にいる13人の役はそれぞれ奇跡を体現している存在であると、そしてその中心人物こそが自由人である。

「異世界人である私がこの世界に来た理由は、ただの暇つぶしさ!今まで色んな世界に行き、破壊してきたのだが、この世界には彼がいた、私は最後は奇跡を集めて暴走は止まった」

自由人は話し終えると缶コーヒーを置いてその場を離れる、直ぐに処刑機関のアジトに着いたら

「あの場所を教えないのか?女」

その場には良く姿を変えている自由人に感動を覚えた、処刑機関の構成員、創造者であった、創造者は作業着を着ていて頭に鉢巻を巻いている

「創造者か、今の凡人には早いよ」

「そうか、しかし凡人の能力はなんだ」

「雷撃の園かい?あれは凡人の望んだ形だよ」

「希望した?だと」

自由人は本当の護符の仕組みについて創造者に話をする

「私が知っている本当の護符の仕組みは、護符とは私がいた世界の技術を使って作られた物で現在の世界で再現できる技術ではないのさ!」

「では処刑機関とは?」

「それは君が今知るべきものではないよ、けれど一つ言える事がある…なぜ政府が仲良く手に取る事ができるのかな?」

そこまで言うと、自由人は自分の屋敷に向かって飛んで行った、一人残った創造者は機関の資料室に向かい、処刑機関についての情報を探ったが何も出てこなかった




「ごめんね、凡人・・・陽哉」


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