雷撃の貴公子 凡人
既に時刻は朝日が昇ろうとしていた、二人の男は対峙していた。
その光景を見るのは処刑機関の四名のみとなっていた、ゲーマーと支配人、暗殺者に自由人、対峙している二人の男はどちらも凡人である。
これから始まる光景は、自由人の傀儡の一人が記録し続けた映像であった。
「すぅ~」
「・・・」
二人の凡人は、息を整えた後に直ぐに行動を開始する、直ぐに元凡人は両刃の武器に変化させ、凡人は刀に雷を纏わせる、二人は瞬時に刃を合わせ火花が散る。
「くっ」
「!(体力が減ってるとはいえ、私の動きについて来れるだと)」
凡人は体を雷のように変化させて元凡人の動きについて行くが、元凡人は技術でそれすらも超えていく勢いではあるが
「凡人が更に加速していく?」
「支配人もそう思う?ゲーマーと自由人は?」
「ゲーマーさんは分からないよ」
「自由人さんは敢えて知らないふりをしてた」
「何してんだよ!てか俺以外は分かってたのかよ!」
「だってゲーマー、考えてみてよ、支配人は元軍人で私は宮廷処刑人、自由人は異世界人よ・・そんな中のアンタよ」
「ひでぇよ」
ゲーマーに対する評価での攻撃をしている中で、凡人たちの戦いに変化が出てきた。
凡人が放っている雷が徐々に小さくなっていくのである、勿論刀に纏わせているわけでもなく、まるで縮小しているようになっているように見える、凡人はそのまま両手で雷を包み込むようにして両手から翼のような黄色のエネルギーがほとばしる。
「自由人」
「何?ゲーマー」
「あれはなんだ?いくら護符の能力と言ってもあれは明らかにおかしいだろ」
ゲーマーは指摘しているように、凡人に起きている現象は説明できないような事であった。両手から出ている翼は次第に雷に成っていきその現象が全身に広がっていく
「説明しろ!自由人、護符で起こせるものは技術的に可能とされている物だろう?元凡人の護符が良い例だ、あれは錬金がもとになっているだろ?」
自由人はゲーマーの指摘に対して予想外の反応を見せていた、勿論ゲーマーの指摘はあっているのである元凡人の護符は「元の物質を別の物質に作り変える」という物である、これは支配人の護符と見たような物であり、それ自体は今の世界で再現可能だと言われている。
「けれど、あいつのそれは確実に人間の技術から超えている・・・お前はあいつのなんだ?自由人」
「ふふふ、でもだめよ?まだね」
凡人は纏って雷で高速移動をしてもと凡人に近づく、そのまま凡人は雷を纏った拳で元凡人を殴り飛ばす
「雷の
「た」
轟音と共に飛ばされる元凡人、幸いにも他の木よりも大きく根を張っている大木のおかげで距離は短かった
「(今・・・何をされた?奴の拳を受けたとたんに体がしびれた、通常の雷よりかは電圧が弱い?)」
元凡人は全身がふらついているが、何とか立ち上がるが
「(全身のダメージが大きすぎる、これでは)」
元凡人が考えを巡らす中で、凡人は高速で飛翔する
「と・・べるのか?」
「サンダーウォーク、ロックオン」
凡人は空中から元凡人に狙いを定める、手に纏っていた雷は槍の形になっていく
「(恐らくは・・電気を利用した、空中浮遊だが・・あのスピードはなんだ?)」
凡人のスピードは自然現象程の雷ではないが、普通の人間の速さを超えている
「神雷・天撃ぃぃぃぃぃぃぃ!」
槍の形をした雷が元凡人めがけて飛ばされる、元凡人にとっては刹那にも等しい時であった、しかし
「ここまでか・・・」
その刹那の時で元凡人は人生を振り返る
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「・・・?」
目が覚めると、そこは災害が起こったような跡のような場所であった、大きな湖と瓦礫が近くにあり、空からは一筋の光が差し込んできた
「ここは?なぜ生きている」
その言葉を落としたのは、元凡人であった、体は動かないが死んでいるわけではないと思い体を起こそうとしたのだが
「なるほど・・・体は正直か」
「ああ」
元凡人の傍にゲーマーと機械の傀儡に手を借りている凡人であった
「最後の攻撃は当てなかった、だからお前は死んでない」
凡人の言葉に元凡人は驚愕な表情をした、勿論元凡人も人を殺さないという事がどれだけの事かという事を理解している。
「だからこそだ、なぜ俺の命を奪わない!」
元凡人は動けない体で抗議をしようとした
「貴様は処刑機関だろ!凡人だろ!何故だ、なぜ俺を殺さない!」
「・・・お前を殺して?その後はどうする」
凡人の言葉にその場にいた全員が息をのんだ
「確かにお前を殺すことは処刑機関としては正しいだろう、けど」
「俺は、それを正しいとは思わん」
凡人の言葉に近くにいた処刑機関の者達は言葉を詰まらせていたが、自由人だけは別の表情をしていた
「(いや、あんたは単にめんどくさいだけでしょ!)」
ここだけの話、凡人は処刑機関の仕事をめんどくさいという理由でサボり気味である(因みにその仕事は知らないうちにゲーマーに渡されているのである)
「お前はそれでいいのか?」
「何が?」
「私も元凡人だ、敵を処刑しないのは・・・規則に反するぞ」
「知らんわ!そもそも俺は、仕事をやる気はないぞ?金が良いからいるだけだ」
元凡人は凡人の言葉を聞いた後に直ぐに目を閉じた、凡人はそのままその場を後にして体を治療する為にベースキャンプ(勝手に自由人が作った)まで行ったのである。
「自分のやりたい事か」
元凡人は完全に上った太陽の下で考えていた、凡人は処刑機関の中では最も立場が低く、ろくな仕事も与えられていない、更に処刑機関の役が世界の政府に刃を向けた際に真っ先に凡人を始末して、情報を抜き取る為に与えられた存在である。
「俺は、その立場が嫌だった」
「あら?そうなの?」
倒れている元凡人の元に暗殺者が向かってくる、その手にはナイフが握られていた
「そうか・・・君が」
「ええ、凡人ではあなたを殺せないと、僧侶が」
「彼女の考えは正しい、私は君たちの」
「ええ、じゃあね」
「羽衣テンペスト、それが私の」
そこまで言うと、元凡人は鮮血の花を咲かせた・・・そしてその場にはガーベラが咲いていた
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