凡人…作戦開始!

自由人と支配人が作戦を開始していると同時刻に凡人は樹海に来ていた、夜の樹海は警察が巡回をしているという話があるのだが、ある人物との契約で既にこの場所には凡人しかいないのである。

「あーあ、なんで俺がここにいるんだろう」

凡人は今回の作戦に非常に後ろ向きであった、今までも大規模な作戦はあったのだが凡人は支配人が作戦に参加をさせないようにしていた…ので凡人は初の大型任務でありしか単独なのである。

「(まぁ僧侶とかの話は聞いたけども、どうやこれは簡単に行かないな…しかも人数もかなりいるし)」

凡人が今いるのは樹海の近くの建物(なぜか警察が用意した)で作戦を確認していた、そこで協力者から渡された資料に目を通して人数などを確認していた。

「(正直な事を言うと、この作戦を聞かされた時に俺は捨て駒だと思っていたがどうやら違うようだな)」

凡人の自己評価が低いのは今に始まった事ではないが、実際に凡人が今回の作戦に消極的になるのはしょうがないことであった…なぜなら凡人がいる場所から基地まではおよそで300mほどであるがそれは門に過ぎない

「実際こうしてみると分かる、今回の相手は随分と作戦を練っているな、機材やらなんやらを集めるのに時間がかかる上に場所が悪すぎる…創造者なら一か月はかかるぞ」

処刑機関と同等の能力を持っている物がいて間違いないと凡人は思い作戦開始時刻までは緩やかに過ごした。


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支配人・自由人作戦開始10分後 


凡人、作戦開始


凡人は定刻になり作戦を開始する、手には通信機を持ちある人物へと会話を始める

「こちら凡人…聞こえるか?今から仕事に移る」

凡人はそのまま走り出した、目的の場所までは確かに遠くにあるが、凡人にとってはそれほど辛い距離ではなかったのか、直ぐに目的地までつくのだが、

「(思ったよりも強固だな、)」

凡人が着いたのは巨大な門であった、凡人はそこで作戦の概要を改めて作戦を確認した、

「(確か作戦では、この基地にはいくつもの工事みたいな所があるって言ってたけど・・・ここは違うのか?)」

 凡人は自身あてに送られた物を完全に捨てて自身の作戦での攻略を開始することにした、手元にイヤホンを出して耳に着ける

『聞こえるか?ゲーマー』

『ああ、きこえやべ落ちた』

『ゲームすんなよ』

『いいでしょ、んで?何』

『お前の予想が的中だ、やっぱり組織の奴じゃだめだ』

『だろうな、王が予想したようにな…処刑機関の裏切り者がいるな』

『自由人か?』

『だろうな、あいつの部下は裏切りが当たり前だからな』

凡人はイヤホンをつけながら行動を開始した、凡人は門をくぐるのをやめて監視カメラが無い所まで行き、簡単なセットで全体図を描いた、

『イメージ的には学校のような所か?でも』

『ああ、富士の樹海の中にこんな建物が作れるのか気になるな』

『もう一つ、この建物の作りが変だ』

『変?』

『ああ、さっきの門を触って感じたんだが、柔らかいんだ』

凡人は門の材質について考えていたのだ、門に着いた凡人はそれを触っていたその時に通常の物とは違い、綿のような触っているような感じで違和感を覚えていた。

『凡人、ちょっといいか』

『?』

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「よし」

凡人はゲーマとの話し合いを終えて、新しく立てた作戦で攻略を開始しようとしていた、

「(ゲーマの立てた作戦と言うのが、不安だが仕方ないか)」

凡人は隠れていた場所から直ぐに移動をした、先ほど着いた門の場所まで遠くはないのでそれほど時間もかからずに着いたが、警備が手薄になっている。

 恐らく時間帯で誰も来ないと思っているのだろう、因みにこの時間帯はちょうど支配人たちが攻撃の拠点についた頃だろう、凡人は監視の目を気にせずに門にある装置を付けた

「ゲーマーいいぞ」

『了解、確認する…なるほど、凡人の言う通りだ、門そのものは余り変化のない素材だが、これはダイラタンシーの原理でできてる』

「ダイラタンシーってあれか?衝撃を与えると固くなるやつ」

『ああ、それを利用したのだろう、』

「なるほど」

『まぁ、突破方法は先ほど言った通りだ』

「了解」

 凡人は自身の装備の中から、ガラスの瓶とライターを取り出した、その瓶の中身をかけてライターで火をつける。

「(第一段クリア)」

直ぐに騒ぎになり、門の付近は組織の人間が多く来るが、誰一人凡人には気づかなかった、凡人はその意識の間を拭って施設の中に入る。

「ゲーマー?」

『よう!無事に入れたか、ならこれからのルートをナビしていくぞ』

「頼む」

凡人は施設の大きな建物に入り、入口近くの植木に身を隠した

「ここからはターゲットまで?」

『ああ、施設を潰すよりも、司令官を討った方が断然早い』

「なるほど…で?その司令官の居場所は?」

『知らんよ、自分で…あ、やべ落ちる』

「もうつっこまんぞ、(兎に角、ここが学校のような場所と仮定して、ボスが校長室のような所にいると思うと、)」

凡人は直ぐに行動を開始した、凡人の身体能力は処刑機関の中でも中位の所にいるのである。勿論他の機関のメンバーは凡人よりも高い能力を有している、凡人は走りながら周囲の違和感を感じていた

「(警備が少ない?いくら門を壊したと言えど、これは少なすぎる)」

凡人は入口から正面の廊下を右に曲がり、直ぐに出てきた階段を上り、屋上近くまで走った。

「はぁはぁ、にしても管理が甘いな・・・開発者でも、もう少し…いややめておこう」

凡人は屋上の入口のドアに手を掛けようとしたら

「(ん?違和感があるな、爆弾?いやそんな)「気にせず入るといい」!」

凡人は声が聞こえた為に直ぐに入口から離れようとするが、後ろに人がいたので動けなかった。

「いつの間に?」

「君がここに向かってすぐにだ、最も私も全力で走ったがね」

その人物は全身を黒い服装でまとめていて、気配がつかめなかった。

「来るといい、君と話をしたい」

「ドアのトラップは?」

「これはただのフェイクだ、別に爆発はしない」

男はドアを開けて屋上の中心にいう、既に深夜を回っているので月明かりがとても眩しい、月光が男を照らす、黒いコートを着ている男は黒髪を腰まで伸ばしていて、顔には一閃の傷があった、年齢は

「30前半?」

「いや、私はこれでも20後半だ」

「結構な若手で」

「君に言われてもな、ゲーマーとの話はできるだろう」

『あれ?分かるの?』

「これでも元処刑機関の関係者だよ、君たちに言わせれば裏切りものさ」

男は中心にいつの間にか置かれていたテーブルと椅子に座る、凡人にも座るように目線を配るが

「警戒してる奴が座るか?」

「いや、思わない…しかし話をするには座ってもらいたい」

『凡人、座った方がいい』

ゲーマーの声が真面目になっているので、凡人は座る。

「すまんが紅茶しかなくてね、コーヒーはやめたんだ」

「別にこだわりはないが、随分とおしゃれだな」

「私も人間という事だ、特に君のような人物は分かるのではないか?」

男は紅茶を飲みながら話を続ける、凡人は何の警戒もせずに紅茶を飲みながら周りの警戒を始める。

「ここは…私の罪なんだよ」

「罪?」

「君は考えた事はあるかい?なぜ処刑機関は人を殺すのか?」

凡人は何も言わなかった、勿論ゲーマーも何も言わなかった

「世界の上層部が平和を目指したことで、処刑機関ができた」

「それは表面だろ?実際には」

「ああ、処刑機関はだ、人を殺し、心を殺される機関…それが処刑機関の本質さ」

男はそこまで言うと、椅子から立ち上がり軽く歩く、凡人はその本質を予め聞いていた。

 処刑機関は世界の上層部が平和に邪魔な人間を殺す為に作られた機関で、属する者も死刑囚からできている、しかし、死刑囚が何か問題を起こした時に直ぐに対処できるように一般人を入れている、それが処刑機関の本質…

「私はそれが許せなかった、だが、今の王がその制度を変えたのだ、処刑機関は処刑をする機関へと変わっていったのだ。」

「何が言いたい?だから人を殺す事を楽しめってか」

「ふふふ、君が快楽殺人者ならそれもいいだろう…だが」

「君は考えた事はあるかい?処刑機関の汚点を」

「13人の役は俺を弄ってくる?」

「いや、処刑機関の役は13という事だ」

「ん?」

『阿保の凡人に言っておくと、13は不吉な数字なんだよ」

男は13について凡人に話した、そして

「13という数字を機関に使う事…それが汚点だ」

「いや・・・いいから本音を話せよ、さっきからお前は本題をそれしてるだろ」

凡人の指摘に男は直ぐに返答をしなかった、凡人は周りに警戒をしつつその場にきた人物に少し驚いた

「ゲーマー?」

「よう、流石にお前を一人にさせられないからな、で?」

「ふふふ、君たちは本当に面白い」

男はゲーマーに紅茶を出すと自分の事を話し始めた、因みにゲーマーは紅茶を飲んでいる

「私は元処刑機関の人間だと行くことは気づいているね」

「(まじ)」

「もち~」

「私の役は・・・凡人だ」


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男は処刑機関の凡人であった、初めて処刑機関になったときに男は希望があった、しかし

「俺は・・・死ぬべきだと思った」

男は仲間の気持ちを理解できなかった、男にとって仲間は自身と同じ状況だと思った

「死んだよ・・・王は」

その後に新しい王が呼ばれた、処刑機関はまた新しくなった、けれどまた一人いなくなった、また一人入ってきた

 冷たい雨が男を打つ、男は理解した、理解してしまった、

「ここに救いは無い、私が救いとなる」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「断片的だが、私はそこで決めたのだ、間違っていると」

凡人とゲーマーは黙って男の話を聞いていた、男は自身は過去に体験した処刑機関の事を話した、処刑機関は間違っていると男は人生の半分を費やしたように体験したのだと、

「処刑機関の事を許せないのか?」

「いや、私が許せないのは…世界だ」

凡人が男に焦っている中でゲーマーはスルメを食べながら聞いていた、ゲーマーは処刑機関について調べていた、だからこそ違和感と疑問点があった

「(おかしいですね、僕が調べた限りだと、処刑機関ができたのは今から30年です、この人の年齢から…年代が合わない)」

 ゲーマーがそこまで考えると二つの考察を出した、一つは自身の調べが間違っていた物、二つ目は情報が間違って拡散された事、しかし、ゲーマーは直ぐにその二つが違うと答えを出した、処刑機関の情報は間違いなく伝えられたいる、つまり

「(明らかに情報が書き換えられている)」

「ゲーマーは気づいたかな?」

「ゲーマー?」

「処刑機関の情報はある人物によって書き換えられている。」

「情報の」

「書き換えとは、随分と…まさか!」

「ああ、その人物の正体は…自由人だ」



その答えは二人にかなりの衝撃を与えた、だから二人は考えが出てこなかった、二人が既にという事に、

「は?」

「うそ、」

二人は何が起こったのか、分からなかった、二人は急に浮遊感を覚えたと同時に轟音が耳に響いた、いきなりの事で頭が混乱する感じになるが、ゲーマーと凡人は何とか冷静さを取り戻した…が

「ゲーマーあああああ、下見ろ!」

「!おいおいおいおい、流石に冗談だろ」

二人が下に見たものは大きな水たまりであった、凡人は完全に焦り気づかなかった

「!凡人!逃げろオおおおおおお」

「!くっそ」

凡人とゲーマーは崩れた建物の瓦礫に埋もれたのだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「俺だよ」

崩れた建物の中から出てきたのは、ゲーマーであった。

彼は元々の視力で瓦礫から逃げれる場所に何とか移動した、のだが

「凡人…」

 彼は息を切らせながら、凡人を探した、幸いなのか瓦礫が足場になって行動はできる、しかし、凡人は見つからなかった。

「凡人…凡人!」

何度も叫んだが、彼は凡人を見つけれなかった、それどころか、彼が歩くと瓦礫は沈むように下に行ってしまう、ゲーマーは頭の中では最悪の事態がうごめいていた。

 それでも彼は凡人を探した、けれどもあるのは

「どこだ…凡人、ぼんじーーーーん」

 結局、凡人を見つけられずにゲーマーはその場にいる事しかできない、ゲーマーは何度も考えた「なぜ?こうなったのだと」答えは簡単であった

「はぁ、はぁ、あいつらの考えが、俺達の上にいたのか?」

ゲーマーは何もできない自分を責めるように泣いていた、

「ああ、あああああああああああ!」


  ゲーマーの叫びは樹海に響いた、それが幸いなのか、支配人と自由人はゲーマーを発見することができた、しかしその光景を見ると支配人は顔を青ざめた、樹海にあるはずのない「湖ができていた」のだが、その湖には大量の瓦礫と人の死体が多く浮いていて、悪臭が立ち込めている。

「ぼ、凡人?ねぇ、どこ?」

支配人は震える声を小さく出して、荒い呼吸を漏らしている、今も瓦礫が崩れ続けている場所で支配人はだんだんと空気が重くなっていく、周りの景色がまるで凡人の状況を照らしているように暗くなっていった。

「いや、」

なぜ止めなかった?」

「やだぁ」

なんで、無理やりにでも、止めなかった

「やだよぉ」

なぜ、凡人には無理だと思わなかった?

「だめ、ぼん・・・じん・・・」

大きな声で泣き崩れる支配人の片腹で、ゲーマーはそれを仰いでいた、凡人はまだ生きている、その可能性が残ってると思いたいから、

「…凡人」

一人、冷静でいる自由人は、処刑機関に連絡・・・その報告を受けた機関の役は、直ぐに樹海に向かった、経営者と教育者は特に感情が強いのか凡人の事しか考えなかった。





「・・・これが本当の処刑機関だ」

男は一人、火口で呟いた

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