暗殺者、開始

「ふぅ、なかなかの物ね」

「はい、とても気持ちよかったです」

暗殺者と経営者は銭湯から出てその余韻に浸っていたが

「俺の…金が…」

凡人も銭湯に諦めて入っていた、勿論と言ってもいいのか暗殺者は凡人のお金で銭湯に入ったのである

「あんたね、そのくらい経費で落としなさいよ」

「王がな、お前経費で落としすぎと」

曰く、めんどくさくなって全て経費で落としていたら「全てを経費で落としたら経費が無くなる」らしい、しかし王自身も凡人にかなりの雑用を押し付けているので強くは言えないのであった。

「ていうか、なんで凡人ってだけでこんな扱い?」

「確かに君は随分と仕事が多いな」

「あんたね~」

暗殺者はマッサージ器に座りながら答える

「私達なんて天才でもなんでもないのよ、本当に才能があるのは凡人なんだから」

「そんなことあるのか?」

「あるわよ、色だって無色が一番だもの」

そうして暗殺者は近くの椅子に座り外の光景を見た

「私なんて…ただの才能もない物」

暗殺者の目線はどこか悲しそうにしていた




三人は銭湯から出て色んな店に遊びに行き、時間は既に夜になっていた

「さぁ、狩りの時間よ」

暗殺者は近くの店で買ったメイド服を身にまとい公園の近くのカフェにいた経営者と凡人は学生服のままだが(因みにメイド服は凡人が買った六千円で)

「このカフェって閉店時間過ぎてない?」

「ええ、経営者の伝手で私たちは入れるの」

改めて経営者の伝手に恐怖を覚えた凡人であった

「お前の伝手ってなに?」

「私は経営者だぞ?ここら辺のカフェの一つや二つ家の管轄よ」

「ふふふ、経営者がいれば最高ね」

「凡人はかえっていい?」

「待ちなさい…餌!」

「「餌!」」

暗殺者は凡人を餌として使う事に抵抗がなかったが、経営者と凡人は驚いていた(完全な号泣をしていた凡人は遺書を取り出した)

「泣かないの、あんたが作戦の要なのよ」

「どういう事ですか」

「現実的で尚且つ確実な作戦の一つよ」

暗殺者はメイド服のスカートから一つの電話を取り出して

「これを持ちながらあるセリフを言ってほしいの」

暗殺者の秘策を持ちながら凡人は公園に向かうのであった。




夜の公園で一人の少年が歩いていた、手には携帯電話でありポッケに手を入れて歩いている

「ああ、いい女が二人は手に入れてな!ああ、お前にも味合わせてやるよ」

聞くだけでイラつくような言葉を言いながら遊具に向かう

「二人ともいい具合になっていてな、そろそろ悔い頃だぜ」

そんな男の元にフードを被った人物が近づく

「ああ、もうそろそろだ」

「喰えよ…暗殺者!」

「!!」

手を伸ばしていた人物の腕をつかむのは

「はーい!そこまでよ少年」

暗殺者が腕をつかんで動きを止める、人物はフードが取れて顔が露わになる

「…藤見、忠勝ね」

そこにいたのは至って普通の少年だった、

「………なんで」

何が起こっているのか分からないっといった感じであったが

「説明が必要かな?」

木の陰から出てきたのは経営者であった、彼女は一言だけ言った

「説明は不要だな」

「え…ぶっ」

藤見は顔を横から蹴られて回転したのちにわずかにうずくまり、何とか上半身を上げる

「だれにもばれ無いはずなのに…どうして」

「貴方が気づいてないだけで実はばれてるのよ」

暗殺者は藤見にわかるように説明を凡人に要求した

「なんで…はぁ、まず初めにお前の名前などについては経営者が調べたんだ、こいつは色んな生徒会長の各学校の生徒についてはある程度調べられる…だからこの公園付近の高校を調べた」

経営者は凡人からの連絡を受けた後に藤見 忠勝について調べた、街の名前と生徒の名前がわかればある程度調べている為そこは難易度が高くなかった。

「その後にこの公園を怪しんだ暗殺者が遊具について調べた後に教育者がお前の学校の内情を調べたんだ」

暗殺者は事を起こすならここが良いという意見で公園を調べた、その時に教育者が通っていた学校に潜入をした

「ちょうどお前が護符の力に目覚めた時にと同時に生徒が二人いなくなったらしいな」

凡人が気になっていた被害についても教育者は調べていたのだった

「お前はまず、人気のない所に向かった生徒を一人殺害した後に本命を殺害した」

真実を全て明かされた様な顔をした藤見は顔をふせた

「どうやら事実のようだな、お前は二人を殺害した罪に不正の護符の使用…この二つの罪により、処刑機関の処刑を開始する!」

凡人は処刑機関としての行動を開始した、まずは暗殺者が仕掛けようとしたが

「行け、糸」

「やはり糸ね」

「どうしろと」

凡人はすごい速さで近くの木の影に隠れて、経営者は取り出した小型の銃で応戦を開始した

「ちょっと凡人あんた何してんの!」

「うるせー俺は戦闘能力ごみなんだよ」

暗殺者は藤見の護符の力である糸を巧みによけてナイフで攻撃しようとするが、

「網籠」

「くっ」

糸による防御で攻撃が通らない、経営者による援護も通じないのであった

「なんちゅう能力だよ、あの糸…遊具を溶かしたことから温度も付ける事ができるのだろうが、戦闘素人だからこっちの考えが通じないな」

体から糸を出す藤見に接近をしている暗殺者と遠距離を保っている経営者、二人のたたきはかなりの物だが

「決めてが無いな、戦車がいればいいんだが」

凡人は戦闘力が無いため、戦いに参加すればすぐに負ける上に

「護符が使えねぇ」

処刑機関の末席である凡人は護符の力をむやみに使えない

「(暗殺者の攻撃でも無理となると能力を壊すのは不可能、なら本体に直接…だけだ暗殺者がかなりマークされてる)」

凡人は凡人らしく陰に隠れて気を伺う…そんな言葉はこいつには合わない

「(一か八か、行くか)」

凡人は走り出した

「吊るし糸」

「きゃああああ」

暗殺者は四肢を拘束され吊るされる、同じように経営者も彼につかまる

「へへへ、やっぱりそうだ」

「何がよ」

「俺は選ばれたんだ、こいつに俺を馬鹿にするやつを殺していいんだ」

「それが君の目的か」

「ああ、そうだ!俺を馬鹿にするやつに俺の願いも聞かない奴に!何が運が無いだ、何が一歩足りないだ!俺はできる、」

藤見はそこから叫ぶように言った

「俺こそが一番なんだ!なんも努力してない奴に努力を知らない奴が幸せになっていいはずないんだ!」

藤見は世の中の理不尽に嘆くように叫ぶ、経営者は遮るようにいう

「下らんな」

「なに?」

「君の意見はくだらないんだよ、天才っと言われる奴が努力をしてないだと…努力を知らないだとふざけるな」

「天才は天才であることに努力が必要なんだ、何もしないでその地位にいられないんだからな」

藤見はさらに遮るように締め付ける、二人の体は糸が食い込み血が吹きかけていた

藤見は完全に殺そうとしていた

「お前たちにわかるか、何も諦めてきた奴の気持ちが!わかるのか凡人の苦しみが!」

「少なくても私は知っているわよ」

「暗殺者!」

「確かに私たちは精鋭、いわば天才よ…けれどね天才は必ず

負けるわ、凡人に」

「それはおれだよ、安心しなよ…ちゃんと愛してあげるから」

「お気の毒さま、あんたは凡人になれない」

「あん?」

暗殺者は目でとらえていた一人の凡人を

「本当の凡人は力に溺れないのよ!」

「なにぶっ!」

「(何がおこっ…あいつ)」

藤見は後ろから衝撃を受けた、その勢いを殺せず正面に倒れこんでしまう…その正体は

「バー――カ!お前ごときにビビるか阿保!」

凡人であった、彼はわざわざ藤見の後ろからスピードを落とさずに飛び蹴りをかましたのである、因みに汗をかなりかいている。

「あ、」

「ちょっ」

暗殺者と経営者は吊るされている所から落とされた、凡人はさらに藤見の足を持ち上げて

「おらららら」

回転しながらぶん投げた!

「ぐけ」

しちゃいけない音をしながら藤見は落ちる、背中をかなり抑えながら立とうとしたら

「おらあああ」

走りながらの飛び蹴りで脳を揺らす、ふらつきながら問う

「なんで、逃げたんじゃ」

「凡人なめなコラらああああ!その気になればスカイツリーからも飛び降りるわボケ!」

恐らく理性を完全に飛ばしながら会話していて今にも暴れそうだが、暗殺者が押さえて何とかしている

「どう?藤見君、凡人は」

「………おかしいんだよ、そいつが」

「彼は凡人よ、でもあなた思い違いをしているわ…凡人はね一番可能性があるのよ、現にここにいる凡人だって護符の力を使わずに貴方を倒したでしょ(まぁ理性は飛んでるけど)一番の才能は凡人であることなのよ」

「そうか」

藤見はそこまで言うと、諦めたようにこぼした

「処刑機関の役割の一つだろ、学校の勉強で習った」

暗殺者はナイフを取り出して

「処刑機関、暗殺者の名のもとに…」

平和の公園に赤い花弁はまき散らされる




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