始まりと出会い

part1〜周り出す歯車〜


あれからどれくらいの月日が流れただろうか?

俺が長月蒼としての生活にすっかり慣れた頃の話。

学校にも行けて、家族にも出会えた。

幸せで充実した生活。

しかし、ふと考える時がある。

"あの時"俺じゃなくて他のメンバーが生き残っていたら?と......

いや、この話はもうやめよう。

今日は翔兄さんに呼ばれてるんだ。



「働かないか?っていきなり言われても」

一階に降りた俺は、翔兄さんから頼み事を受けていた。

「頼む!このままじゃ社内がほとんど女性で男性陣も3期生のタレント担当じゃねぇから会えないし!もとい、お前の実力は俺がよく知ってる、時給も奮発するし、労働時間もホワイトだから」

そう言ってペコペコと頭を下げる兄。

俺を拾ってくれた時みたいな兄貴分らしい背中はどうした!?っとツッコミを入れたくなるが、そこはいうだけ野暮ってものになる。


「わかったよ、で?面接とかは?」


「ない」


「それはそれで問題だろ!?」


「お前だって頭いいし、運動できるし、PC技術も申し分ないから即戦力なんだよ!」


「いやいやいや!流石に面接とかはやらないとダメだろ!」


「いいから!うち今人員足りないの!」


「ハァ、一体なんの仕事なんだ?」


「仕事の内容はVtuberの裏方」


「はぁ?裏方?」


「まあ最後まで話を聞け、裏方と護衛、あと、裏では




"あの事件"で染まってしまった子供達の救出だよ......」



「引き受けてしまった......」

一人になった宵月家宅リビング

一人になった空間の中、俺はそっとそう呟いた。

別にVtuberはどうでも良い、問題はあの事件で染まってしまった子供の救出と言う点だ。

それがなければ引き受けなかったのだが、あの事件で今でも路頭に迷っている子供たちがいるのであれば支援したい。


「はぁ、頑張らないと、なぁ」


吐き捨てるようにそう言った。

だが、俺だけ幸せに暮らし続けようと思ってもそうはいかない。

路頭には迷っていても、政府主導で育った立派なエージェント、彼らが路頭に迷ってしまえば、国際犯罪シンジケートやテロ組織に加入し、この国に対しても脅威となるだろう。

脅威の芽は積んでおいて損はない。


HoWM事務所にて

「ようこそ、我が事務所へ」

翔兄さんはそう言って椅子に座った。

よく見ると、HoWM社長書斎と書かれている。

「翔兄さん、社長だったのか......」


「そうだよ、今まで黙っていてすまなかった」


「いやそれはいいんだけどよ......本当に面接も無しに俺を雇っていいのかよ......」


「あぁ、moon nightの重役達には許可を取ってる、それで、これからの活動についてだが、君がマネジメントに就くのはmoon night3期生、色々と、過去に闇を抱えている子達が多いんだ、君にはその子達のマネジメントをやってほしい」


「わかったよ、翔兄さん、で、もう一つの仕事は?」


「フッよくわかっているじゃ無いか、これを」

翔兄さんは不敵に笑うと、俺にあるものを差し出してきた。

「っ!?おい兄さん!?これ!」

差し出されたのはGlock18c 米国警察愛用の、オートマチックハンドガン、そう、戦闘銃だ。


「お前がこの任務につく上で、必要なものだ、別にお前はもう免許を所持している、許可も取っているし、なんの問題もないだろう?」


「確かにそう......ってなるか!いいのかよ、任務の時はまあそうだけど、護衛兼マネージャーがそんな物騒なもん持っていいのかよ......」


「たしかに、だから制限を設けさせてもらう、タレント、および一般人の前での発砲は禁止だ。ただし、自分の命が危ぶまれた場合、およびタレント、一般人の命が危ぶまれた場合のみ発砲を許可する。」


「わかった......ってか、ホルスターは?」


「こっちに警棒と一緒に置いてある。自動ロック付きの電磁特殊警棒だ。警察も使うやつだよ」


「あぁ......物騒な装備がどんどん増えてく......」


俺はその装備を受け取り、ホルスターに取り付け、右腰に装着した。

とは言っても、こいつらは使わないに越したことはない。

仕方がないこととはいえ、これを使わない方法を模索しよう。

物騒な装備を凝視して思わず遠い目になった俺は、翔兄さんに連れられタレント寮に向かうのであった。



moon night本社にて


「ついたぞ、ここが最近有名なVtuber達が所属する事務所、moon nightの本社だ。今からお前にはそこの社長と会談してもらう。安心しろ、俺の旧友だから、ちなみに、お前の過去及び任務のことについては話していない。バレないようくれぐれも注意してくれ」


兄の注意に俺は利き手をフリフリと振って車を後にした。


「へいへい、わかったよ、翔兄さん、送ってくれてサンキューまた後で。」


そう言って俺はmoon night本社へと足を踏み入れた。


moon night本社内 応接室にて

途中事務員の人と会った俺は事情を話すと応接室に通された。

どうやら社長は今忙しくしていて、来るまで待っていてくれ、らしい。

俺がスマホを開き、ニュースを確認していると、何やらドタバタと音が聞こえ、直後、慌ただしくドアが開いた。


「いやはや、すまない、遅れてしまった。改めましてこんにちは、このmoon nightを統括している三木島百合香(みきじまゆりか)だ。よろしく頼む。」


一泊置いて、俺は自己紹介をする。


「こちらこそ、これからよろしくお願いします、HoWM本社から派遣されたマネジメントトレーナー兼護衛役の宵月蒼です。」


「改めて、よろしく蒼君。君のことは翔から聞いているよ、何せとても優秀なトレーナーらしいじゃないか、それに元警察官だとか?」


翔兄さん、融通が効く嘘をついてくれたな、ありがとう。さすがだ。

兄に心の中で感謝した俺は受け答えをするべく口を開いた。


「はい、元警察官です。まあ、仕事柄合わずに辞めちゃいましたけど......」


「まあ、そんなこともあるさ、この仕事場で楽しく活動してくれることを期待しているよ、それじゃあ、君にはこれからmoon night3期生のタレント寮に行ってもらう。君がマネジメントする子達だ。訳ありの過去を持つ子達だから、接する際は十分注意を、それではよろしく」


「はい、よろしくお願いします。社長。」


「そんな堅苦しい呼び方はやめてくれ、有名Vtuber事務所とは言え、うちは小規模兼私が認めた人間しか雇わないから、人数は少ないんだ。目上だが、気楽に接してくれて構わない。私のことは百合香さんとでも呼んでくれ」


「分かりました。百合香さん、これからどうぞ、よろしくお願いします!」


全ての打ち合わせが終わった俺は早速、moon nightタレント寮へ足を運ぶのだった......



後書き

皆さんこんにちは、Reitoでございます!早速始まりましたpart1、大変お待たせしてすいません、それでは早速後書きを、まず今回の作品について、ラブコメ×Vtuber×SF戦闘と言う自由気まま(本人が書きたかっただけ)のコンセプトで書き出したこの作品ですが、思うよりも数倍伸びており、作者自身ビビり散らしております。

これからも自由気ままに紡がれるこの作品をお楽しみいただけたら幸いです。さて次回はヒロイン視点。彼女がどう言う活動をして行くか、と言う打ち合わせに主人公が巻き込まれるお話です。

次回〜私の仕事〜

乞うご期待!

それではまた次回お会い致しましょう!

good-by!!

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