第45話 お疲れ様
「……ま、…ゅうま、竜馬!」
「……ん?」
「りゅうまぁ、よかった。生きてた」
自分の体を見る。手や足、頭に包帯が巻かれている。何があったんだろう?そういえばこれより前の記憶がない?
どう言うこと?確か俺はスケルトンドラゴンに攻撃してタケルに避けてって言われて避けた。そこから記憶がない?
「俺はなんでこんなになってるの?」
「避けてって言ったら避けた瞬間魔力枯渇で気絶した。気絶じゃなくて強制睡眠」
タケルが簡単に話してくれたけどよくわからなかったのでダイゴに視線を向けてみる。そしたら意図を察してくれたみたいで詳しく教えてくれた。
攻撃した後俺は気絶して頭から落ちた。落ちた場所が運悪く即死ではなかったものの結構深く切れてしまっていたらしい。だからこの包帯。それでタケルの最後の一撃も威力が十分ではなく倒しきれなかったと言う。そこから魔法開発組もある程度魂の片付けが終わったとスケルトンドラゴンに攻撃したらしい。みんなで斬りかかり、結果ラストアタックはダイゴだったとかなんだとか。で、俺は落ちた時に紗理奈が駆けつけて助けてくれたらしい。なんとありがたや。
「みんなありがとう。俺なんか迷惑かけちゃったね」
「そんなことないよ。最後は大変だったけど、戦力になってくれて助かった。俺からもありがと」
「で、質問なんだけどね」
「俺って何日間くらい寝てた?」
「一週間」
「は?なんで栄養失調になんないの?」
「それは紗理奈ちゃんがつきっきりで看病してくれたからだよ。食べ物が食べられない時のために色々と持ってたみたいでさ、竜馬はいい子と一緒に冒険してるんだな。俺なんかいきなり訳のわからない理由で全力出すバカばっかり」
ダイゴがそう言うとレオが目を逸らした。暴走してたときのことを言われたのだろう。
「うっ」
「今回は魔力が枯渇していないので」
ウルハがそう言って胸を張る。俺からするとそれで胸を張るのどうなのか?と思ってしまわなくのないがウルハにとっては凄いことだったんだろう。多分、これは俺の憶測だから。
「それすごくないから、普通だから。それにウルハって今まで魔力枯渇で気絶したことないよね?いきなりどうしたの?」
「今更聞きます?」
「ゴメン、ゴメンでもなんか気になったから」
「俺のことに関心なさすぎじゃないですか?」
「だってみんなのことを1日中監視してるわけじゃあないんだよ?俺だって大魔王、一応魔王の上に立つものとしての覚悟はあるよ」
「ダイゴ様はそんな覚悟とかなしに何でもかんでもやりそうなので怖いです」
「ひっどいな〜俺そんなに不真面目じゃないから、なんでもできる万能魔族なんです〜!」
「怪我人の前で言い争わないでください!竜馬に聞かれたことを答えてください!魔王様同士の喧嘩は外でやってください。下手したら城が壊れかねません!」
「ダイゴ様、城を直すのは大変ですよ!直す我々の身にもなってください!」
「私も同じ意見でございます。しょっちゅう魔力が暴走して城が壊れると誰が直していると思っているのですか?」
「僕も同じ意見で」
「ウルハ様もですよ。研究で城を壊されますと大変なんです」
この人初めてみた。誰だろ?
「ダイゴ、あの人の名前は?」
「ああ、アサトだ。あいつはウルハ付きの側仕えな」
俺が小声で聞くと小声で答えてくれた。
「はじめまして、竜馬です。アサトさん」
「初めましてアサトです。竜馬様、私のことはアサトと呼んでいただければ」
「よろしくお願いします。アサト」
俺はこの後みんなに戦闘の時の状態を聞いた。一番面白かったのは魂を閉じ込める魔法を作成してた組だ。
始め実験したのは魂を可視化するための魔法、この世界では幽霊とかもみんな見えるので才能とか関係ないでしょ?だから、参考になるものがなくて大変だったみたい。で、頭のいいウルハは魔力みたいな存在なのではと言う発想に至ったらしく、それを参考に魔法を作っていたらしい。結構大変だったんだとか。運悪く魔力回路が崩れて爆発したことが幾度もあったらしく、ダイゴは潤羽からな離れて魔法を作っていたらしい。2人とも全く違う系統で作っていたのに魂が見えたのが不思議だったらしくウルハの研究愛が爆発しそうになったのを止めるのはナナミの役目だったそうだ。
で、魔法作成はナナミの得意分野だったらしく、魔法作成はナナミが一番早かったんだとか。でも、できた魔法はダイゴとほとんど同じものだったので俺のが正しいだの俺のが簡単だのと言う喧嘩が起こり、それを諌めるのもナナミの役目だったらしい。ナナミお疲れ様。なんであの2人の中にナナミが入ることになったのかはよく分かった。この3人のメンバーだけはタケルが譲らなかった。
多分だけど自分は2人を諌めたくないけど2人を諌めないと仕事が進まないからナナミにやらせたそうじゃない?なんか犠牲者出てるんだけど、
で、その後はひたすら魂を閉じ込められる魔法を探して捕まえていたらしい。こう言う魔法の発想源はダイゴで、作成はウルハなんだって、ナナミにはダイゴの語彙力では伝わらないらしい。と言うのは、ダイゴの魔法の話し方が全てにおいて効果音でできているからだと言っていた。
「で、レオは大丈夫なの?」
「ああ、すっかり元気だ。ダイゴ様に直してもらったから」
「竜馬くんの場合人間でしょ?人間に魔族の使ってる魔法を使っても大丈夫なのか分からないし、紗理奈ちゃんの技量ではこの大怪我は完治させられなくて……でも小さい傷は治せてたよ」
「私が無力なせいです。ごめんなさい」
「紗理奈のせいじゃないよ。俺はあの高さから落ちたせいだよ」
「ありがとうございます」
「お礼なんていらない。傷を治してくれただけでも嬉しいよ」
ここからはみんな戦闘の時の話でもりあがった。人間のサリのの治癒は俺がやった。聖属性の魔法は苦手だったから頑張って練習したんだ。
紗理奈は左のお腹から太ももの辺りまで大きな切り傷ができていた。俺が気絶した後の戦闘で追った傷だって。
「竜馬様ありがとうございます」
「このくらいいいんだよ。俺の仲間だろ?」
「はい、ありがとうございます」
お礼なんていいのに俺が好きでやってるんだから。
この後はみんなで討伐完了祝いをダイゴの城でやった。そして最後に親友の証としてみんなの名前の書き方を教わった。
ダイゴは大悟、コウキは光輝、レオは玲央、ケンゴは健吾、リオンは琉音、ウルハは麗羽、アサトは朝斗、タケルは岳、ナナミは七海、だそうだ。カナとサナはあるけど分かんないらしい。そしてレオも分からないらしい。昔の書類を引っ張り出せばあるかもしれないから探してくれるそうだ。
「無事に怪我が治ってよかったよ」
「何日も止めてもらってありがとうございます」
「俺たちの問題は俺たちで解決しなくてはならないのに君たちに頼ってしまったお詫びだと思ってくれ。変に何か渡しても遠慮するだけでしょ?」
「そうですね」
「じゃあ元気でね。人間界で問題が起きた時に竜馬くんだけじゃどうしようも無くなったら助けをよんでくれたら協力するよ。俺たちばっかり面倒見てもらうわけにはいかないからね」
「ありがとう。どうしようも無くなった時は助けを呼ぶことにするよ」
「そうしてくれ。竜馬くんでも対処できない事態なんて想像もしたくないけど」
「俺なんかよりも大悟や玲央、麗羽、岳の方がずっと強いでしょ」
「それはないかな。単独じゃあ敵わないよ?だって作戦というか技術というかなんというか凄いんだよ」
「何がすごいのかわからないけどみんなの方が強いですよ」
「みんなで強い強い言ってもしょうがないので早く帰りましょうか?竜馬様?」
「……」
紗理奈がメイドモードだ。怖い怖い!
「紗理奈ちゃんに怒られるから帰っていいよ」
「はい、帰らせて頂きます。きっと帰ったら説教が炸裂すると思うので」
「説教頑張って?」
そこは頑張るところじゃないと思うんだよね。俺は…
「また、何かあったら来ます!」
「何もなくて会えることを楽しみにしてるよ?」
な、なんで疑問系。俺は事件を引き起こす天才だから?そうだろうねえ。相当事件起こしたもんね。
「そんなことがあればいいですけどね」
「また今度」
「はい」
俺はそう言って家の裏にある森に転移した。どうやって説教から逃れるかしか考えられない俺は味方がいないことに今気づいた。
「さて、竜馬様はお説教の時間でございます。早く行きますよ!」
い、行きたくない。紗理奈俺を地獄に突き落とさないで〜もうやめて〜
「お返事は?」
「はい」
小さい子扱いですか?心はおっさんですよ!何歳だっけ?さんじゅういくつだったよね。精神年齢は結構幼くなった気がするんだよね。こんなことを考えながら引きずられて連れて行かれた。
そして、お母様の前に連れて行かれ挨拶を交わした。
「お母様、こんにちは」
「はい、こんにちは。で、授業サボって何をしてたんですか?」
「え〜と、戦ってた」
「嘘は言わなくていいんですよ。だって、人間界で戦闘はなかったんですもの。全部調査済みですよ」
流石はお母様、でもこうゆう時は最悪だな。言い訳できない。まさか魔界に行ってたなんて言えるわけないもんね。誰かここから抜け出せるいい方法知ってる人いる?
「正座しなさい。博識だから知っているわよね?」
あ、圧がすごいです。お母様!
「はい」
この後俺は正座で数時間にも及ぶ説教を3人にされた。まずお母様でしょ。それから、メイド長、帰ってきてよくわかっていないお父様。よくわかってないのに説教すんなっつー話よ!でもお父様は「ちゃんと講義受けなさい!」だけだったからまだマシ。お母様が、お母様の説教が怖かった。
解放されたのは7時間後。正直言うとここまでよく言葉が出てくるものだと思った。お母様からの説教が5時間にメイド長が一時間半、お父様は事情説明含めての時間で30分、で、ラスト30分以外ずっと正座してた俺は足が痺れて立ち上がれなくなり、転移して移動した。大変だった。もうこんなのごめんだ〜
「では竜馬様、足が痺れていて仕方ないので座ってお話しましょうか?」
「へ?」
「私からのお説教がまだでしょう?」
「はい」
俺はしゅんとした声色でそう言った。
「冗談ですよ。お話は戦闘の時の傷のことです」
「ああ、あれね」
「見せてください」
「ん?」
なんで?直したよちゃんと、傷跡は残ってたけどだってしょうがないじゃんあれだけざっくりいってたらいくら俺でも無理だ。直せない。と言うことでまだ傷はkんちしていない。見せられるか!
「早く見せてください。そうしないと脱がせて差し上げなくてはならなくなってしまうので」
「それはねぇ。みなくても大丈夫でしょ?だ、だって治ってるよほら」
そう言って怪我が浅かった方の腕を見せる。
「そっちの腕ではないでしょう?」
「うっ」
俺は紗理奈に言われて惚けるのは無理だと悟ったので素直に話した。
「傷跡は残ってるよ。俺の力では治せなかった。知ってるでしょ俺が聖属性の魔法苦手なこと」
「はい、なので聞いてのです。というか竜馬様の体を見てしまった時に大きな傷が見えたので」
そうだよね腕全部って言っていいほどの傷だもんね。見えちゃうよね。
「なんで治せないんですか?竜馬様なら大丈夫だと思ってたのに」
そんなこと言われても……直せないものは直せないし?
「こんなのみたら次期領主候補から外されてしまいます」
「俺は学園行く年に貴族になるんだ。俺が当主だよ」
「そんなのって、じゃあ竜馬様はこのお屋敷からいなくなってしまうんですか?」
「そうなるね」
そう言った瞬間紗理奈が泣いてしまった。そうしたらいいんだ。
「俺がここからいなくなるのはもっと先でしょ?まだ大丈夫だって」
「うう、なんで、竜馬は、いなくなっちゃうの?」
「じゃあ紗理奈は一緒についてきてくれる?」
「どこまでもついていきます」
「それは頼もしいな。俺はいい人に恵まれてるね」
そう言いながら紗理奈は寝てしまった。仕方ないので俺のベットに寝かせて俺はソファーで眠ることにした。おやすみ。
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