第44話
大技をレオが放った。その時にきた振動は過去一だと言っていいほど強かった。まともに振動を受けたことがない俺が言うのは変かもしれないが、本当にすごかった。立ってるのもままならないほどの魔力派もあったから流石のスケルトンドラゴンでも倒せているだろうと思っていた。だが、そんな甘い考えは通用しないらしい。
グアあああああ
倒せたと思っていた。いや、これでは流石に生きていられないと勝手に決めつけていたのかもしれない。そこには物凄い声で叫びながら苦痛に耐えるスケルトンドラゴンの姿がある。俺は絶望の淵に立たされた。
こんな大技を放ったにもかかわらず生きているなんて化け物でしかない。そんなのが2匹もいるなんてどうしたらいいんだ!
俺はなぜか叫んでいた。
「大技を放つ離れててくれ!」
そう叫んだ後に俺は自分の作った魔法の中で一番威力のある魔法を二重発動した。この魔法を二重発動なんてしたら魔力が暴走して死ぬかもしれない。それでも勝ったに体が動いて発動してしまった。なんでだか分からない。多分自分が死んでも仲間を助けたかったんだろうな。あれだけ優しくしてくれた人たちがここで死ぬなんて俺には耐えられない。そんなことになったら俺はこの世にいる選択ができないかもしれない。俺が人間界でハブられててもここではみんな対等に接してくれていた。それが嬉し勝ったのだと思う。
「竜馬やめろ!体がもたないぞ!いくら魔力があったって君の体は人間なんだぞ!」
「大丈夫。みんなが助けてくれたから。暗闇にいた俺を少しでも引き上げてくれたから。ここで死んでも後悔しないよ」
「そんなの、なんでだよ!死んでいい奴なんていないんだよ!」
そう、ダイゴが叫んだ。
『死んだら許しませんよ?もう一度グラート家に転載させますよ』
シアまでそんなことを言い出した。
『それは勘弁だなあ』
『なら、素直に私に頼ってくれませんか。体が壊れないようにするのなんか朝飯前です』
『シア、俺の体頼んだ!』
『はい、頼まれました』
俺は発動する前にこんな会話をし、魔力制御に全身全霊で取り組んだ。体の心配をすることなく魔法が放てる。それは俺にとって理になった。
「我が体に眠る闇の力よ。今蘇りたまえ」
なんとなく出てきた言葉を口にした瞬間体のどこかで封印されていた魔力が解放されたような感覚がした。なんでそうなったのかは後々調べて見ることにしよう。
「水の力を解放し、水の女神に祈りを」
これは魔法を打つにあたって詠唱に必ずと言っていいほど入っている言葉だ。この言葉を口にするだけで魔法に込められる魔力量が増えるらしい。俺の自作の魔法は魔力をいくら注ぎ込んでも大丈夫だからこの詠唱に必要があるのか?と疑いたくなった。
魔法を放つ魔力による被害は少なく済むように少し上に向けて放った。と言うのは嘘で、弱点を狙った。
放たれた魔法がスケルトンドラゴンに直撃した。人間には見えないくらいのスピードで放ったのに攻撃されたことには気づいていた。そして避けようとする、ではなく反応することこそできなかったものの顔では追えていた。顔で追えていたと言うしかない。だってスケルトンドラゴンには目がない。目がないわけではないのかもしれないがどこにあるかわからないから言い方は間違ってないはず。
そして俺は前を見る。そこには気絶したレオを支えているカナとサナの姿作戦会議の時にはいなかったのだがどこに行っていたのであろうか?
「レオ!大丈夫!」
「レオ兄は眠ってるだけ」
「レオ兄は魔力がない」
魔力切れってことか。それならこのまま眠って回復してもらうのが一番だ。
「俺はまた、戦いにいいくからレオを安全なところに」
「わかった」
「連れていく」
そう言って、二人がかりでレオを持ち上げ運んでいった。意外と力あるんだな。流石は吸血鬼ってか。
俺は急所をついたスケルトンドラゴンの方を見る。骨が崩れかけ、魔石の光がなくなったスケルトンドラゴンがいる。そしてその近くで何かをしようとしているももう一匹のスケルトンドラゴン何をしようとしているんだ?
「魔石を食わせるな!」
誰かがそう叫んだ。俺は咄嗟にスケルトンドラゴンに飛びかかり、剣を魔石に向けて刺した。
魔石は骨に比べれば柔らかい。でも、深いところにあるから攻撃できない。はずだが、小さい体を有効活用し、骨の間をすり抜けた。正直言ってこれは成功しないと思っていた。だが、見事に成功し魔石に剣が刺さる。そして、魔石を食べようとしていた体がこちらに向く。体の中にいる俺は逃げ場がない。早く出ないと!
でも、足場がない。空中で方向転換はかなりの難しさ、どう頑張っても避けられない。
グアああああああ
グアああああ
そう叫んだスケルトンドラゴンは勢いよく羽ばたき、空を飛んだ。これだけのからだを羽なしで飛ぶのは大変だから普段飛んでるのはみたことがない。というかそう言う前例がない。
下に落下する俺に飛んで行くスケルトンドラゴン、俺が骨の中から抜けたら上から降ってくると思うんだけどどうやってかわそう?
そして一番最初に思いついたのが魔法で攻撃すると言うことだ。とりあえず自分の命は自分で守ろうと思う。
「我が体に眠る闇の力よ。今蘇りたまえ」
またあのセリフを言う。するとからだの奥が熱くなって魔力が解放される。さっき解放した時の倍くらいの量が解放された。なんでこんなことができるのかと言う疑問を抱えってつつも攻撃準備は怠らない。
今度は電気の槍を使って攻撃しようと思う。
俺が骨間から出る。それを確認したスケルトンドラゴンは上から落ちてくる。そして俺は槍を構え、下から投げる。足場がなく、うまく投げることはできなかったが一応魔石には刺さっているわけだしこれで倒せてくれたらいいんだけど。だめだよねー
降ってくるんだけど、そういや俺って空飛べたんじゃん!素直に飛んでおけばよかったんだ!
俺は「飛翔」で飛ぶ。うまく骨の間をすり抜けて外に出る。それでもスケルトンドラゴンはまだ俺が下にいると信じてか落下している。多分、
ドオーーーーーン
すごい音を立てて落ちてきた。あれを食らってたら俺死んでた。間違いなく。
なんかクラクラする。魔力切れ?俺にも魔力の上限があったのか?それでも嬉しいと感じてしまうのはどうしてだろう?
まだスケルトンドラゴンは生きている。それにレオは魔力切れ、紗理奈の居場所は見失った。ダイゴやウルハ、ナナミは手が離せない。タケルは魂集めてる。
「魂は大体集めた。こっちを手伝うよ。交互に攻撃をするぞ!」
「了解です」
俺は返事をし、タケルが攻撃したのを見計らい剣に魔力を込めて飛ぶ。ヒビの入った骨を確実に狙い、早く倒せるようにする。
「今から5分後に大技を2人で放つ。同じ方向から!だから、5分経つ前にこっちに来て魔力を練っておいてくれ!」
「わかった」
俺は攻撃しながら魔力を左手に集めて少しずつ移動していく。そして大技を放つまで残り1分と言うところでタケルのところについた。
「この魔弾があいつの魔石に当たったら攻撃だ。いいな」
「はい」
タケルは何やら鉄砲のようなものを取り出し、そう言った。そして銃を向け放った。銃口から出てきたのは小さな魔道具だった。効果はわからない。
魔石にあたっとと同時にタケルと俺は飛び出していた。2人とも剣で攻撃するので間合いを詰めに行った。
俺は今持っている魔力を全て剣に纏わせた。これで倒せなかったら俺は戦闘不能になるので足手まといだなあ。
「うおおおおお」
2人で攻撃した場所は同じところ。タケルが先に攻撃をし、そこに俺が攻撃した。横に弾かれたタケルは後方に戻り、もう一度攻撃の準備をしている。俺は剣を前に持ち、貫くように剣を構える。勢いをつけて全力の一撃を叩き込み、さらに加速させ、魔石まで突き刺す。
グアあああああ
また、叫んだ。今度は余裕がなく本当に苦しんでいるのが分かる。
俺の攻撃をモロに喰らってこれとかおかしいでしょ?
「竜馬、剣を抜かないでそのまま早く退け!」
「分かった」
今日使ってたのは普通の剣だったから無くなってもまだマシか。魔剣だったら泣く!
俺は剣を刺したままその場を飛び退いた。本当に最後の魔力を使って
この後どうなったのかは分からない。魔力枯渇で意識を失ってしまったから
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