第43話 討伐開始

「報告です。スケルトンドラゴン出現までおよそ1時間です。出現地に移動を」


「わかった。出発するぞ!」


 そう言ってダイゴは走り始めた。それに続いて走り始める。俺も紗理奈の後を追って走る。出現まであと1時間もあるのに出発するってことは随分と遠いところにいかなくてはならないのでは?と思っていたけど案外近かった。それでも結構なスピードで走って30分だから結構進んだと思う。紗理奈はもう疲れてヘナヘナになってる。


「紗理奈大丈夫?」


「はあ、はあ、みんな早いよ!疲れた!」


「結構早かったもんね」


「結構早かったもんね。じゃないよ!死にそうだったんだよ」


 そこにダイゴが割り込んできてこう言った。


「いやーでも、ちゃんと付いてきてくれてたから大丈夫かなって思ってたんだけど違った?」


「大丈夫じゃなかった。もうヘトヘト……」


「ごめん、でも凄いね。魔王軍入れるよ。しかも特務部隊に」


「入れても嬉しくないです!私は人間なので」


「そうだな。竜馬くんはバテてないね。魔王直属の部隊に入らない?みんなソロだからやりやすいと思うよ」


「一応俺は人間から生まれたので遠慮しときます」


「自分が人間ではないことは認めるんだ」


「認めます。もう人間は辞めました」


「竜馬くんはそれ言っちゃダメでしょ。本当に人間辞めちゃいそうだから」


 こんな楽しい会話を繰り広げていた時だ。いきなり魔力派が起こった。魔力の量は人間では到底再現できない程の量と言えばいいだろうか?俺でもここまで魔力を出したことはない。出せるかも分からないい。


「スケルトンドラが出た。戦闘準備開始!構えて待て!」


 そう指示されたので俺は剣を抜き、一番スピードの出る構えをする。色々試した結果この構えが一番早かった。


グアああああああ!


 叫びながら現れたのが魔力派を引き起こした元凶、スケルトンドラゴンだ。ここでは大きな魔石やアンデッドの魂は簡単に入手可能なものなのでわざわざ呼び寄せる必要すらないとか。そもそも今の魔王たちはスケルトンドラゴンにトラウマがあるみたいだし……


「や、やっぱりデカいなぁ」


「でかいな。前出現した時から2年しか経ってないからこの前より小さいことを祈ってたのに」


「まあまあ、今回は戦力いっぱいいるから、頑張れば早く終わるよ」


 スケルトンドラゴンはほとんどの攻撃が物理攻撃らしい。ごく稀にブレスを放ってくるが大体は避けられるらしい。そして、弱点は骨のヒビが入った部分だって、なんとも単純。本当は綺麗な骨を攻撃し、ダメージを与えられるのがいいらしいけどそう簡単にいかないのだろう。


 そして気をつけなければならないのは尻尾の骨、なんと伸びて攻撃するらしい。それに、鉄砲のように飛んできたりするみたいです。骨がデカいから鉄砲じゃなくてグーパンみたいなんだとか。この攻撃は結構痛いらしい。それにくらったら吹き飛ぶらしいし。結構気を付けないと飛ばされちゃいそう。


「来るぞ!」


 そう言った瞬間大きな足が俺たちのことを踏み潰そうとしたり、手で掴もうとしたりしてきたりした。みんながみんなその攻撃を華麗に避けていく。なんか鳥が飛んでるみたいだ。


「攻撃しろ!タイミングは自分で測れ」


 そう指示が出たので俺はこっそりと剣に溜めておいた魔力を解放し、ヒビの入った場所目掛けて一直線に飛ぶ。


 まあ、ヒビにピタリ合わせて攻撃なんてできないよなあ。俺は見事にずれて攻撃をした。でも攻撃力があったのか骨にヒビが入った。


「竜馬ナイス」


「ダイゴもですよ。骨を焼きながら攻撃するなんてすごいです。下手したら自分が燃えますよ」


 攻撃が上手く入っときはお互いに声を掛け合いながら戦闘をする。まあ、それだけ余裕があったと言えるが、この後もしばらく攻撃を加えていったが、スケルトンドラゴンが弱る様子が見当たらない。尻尾での攻撃が始まらないのでまだ、3分の1もダメージが与えられていないことになる。だがなんか変だ。みんな攻撃を加え、骨に入ったヒビの量は増えているはずなのにそれが見当たらない。


「ヒビが見当たらない。何か変だ。作戦を立て直すぞ!」


 そう言われたのでスケルトンドラゴンの上ではなく地上に戻り、ダイゴを追いかける。着いたのはちょっとした洞窟。ここでならしばらくは安全だ。


「あの骨人ドラゴンは回復している。そんな気がするんだ。君たちの思ったことを伝えてくれ」


「回復してると思う。つけた傷が無くなってる」


『魂がさまよってます。その魂で回復している可能性があります』


 ローレシアがそう言った。魔力が枯渇してからは最低限しか喋らなくなったな。


「魂がさまよっていて、それがスケルトンドラゴンの回復する燃料になっているのではないかと」


「それはどうゆうことだ」


 俺は、この地に魔物の魂が沢山さまよっていて、たまたま今回のスケルトンドラゴンの固有能力が魂を得て回復するものだったのではないか、と言うことを伝えた。


 するとみんな仲良くしてくれたみたいで作戦について話し合いが始まった。


「じゃあ、この作戦で行こうか」


 スケルトンドラゴンに見つからないように気をつけながら話してやっと作戦が決まった。物理攻撃で効かないなら魔法で攻撃すればいい!と言う話になったので魔法が使える組かつ魔属性、闇属性以外の魔法で放出系のブレスに対抗できる魔法を使える人がスケルトンドラゴンに攻撃する役になった。主な攻撃は俺と紗理奈が受け持ち、周りにうじゃうじゃしている魔物を倒して魂をスケルトンドラゴンに渡さないように集めるのはレオとタケル、ケンゴとリオンにコウキだ。そしてもう集めることのできない魂を集めるための魔法を作成するのがダイゴとウルハとナナミだ。


「外に出たらすぐに作戦開始だ。みんなそれぞれの持ち場に早く着いてくれ、魔法作成組はどこでやっててもいいけど早く来れるように頑張ってくれ」


 俺は魔力を手にためながらどこまで制御できるのかやっていた。魔力を限界まで引き出したことがなかったからやってみたいと思った。ここはではどうせ魔法を放ってしまうので制御できなくなったら放ってしまえば良いだけの話だし……


「紗理奈は聖属性魔法をいつの間にか覚えていたらしく聖属性の魔法の準備をしていた。確かに紗理奈の属性は俺と反対だから聖属性が使いやすいんだろう。俺が今ためてるのは何も属性のない無属性普段は使うことがないのだけれど不得意な属性が弱点の場合には使い勝手がいい。


 無属性とは魔力さえあれば使える魔法なので大体の人間には使える。この属性は努力でカバーできる属性だから平民で使ってる人が多い。俺は大体の魔法が使えるからあまり出番がなかったりもする。でも、今は使えてよかったと思った。


「紗理奈、スケルトンドラゴンが気付いてこっちに向いて魔石がはっきりと見えたら一緒に攻撃しよう。いい?」


「わかった。せーのって言ってね」


「りょーかい」


 俺は適当に返事をし、スケルトンドラゴンの様子を伺った。みた感じこっちには気づいていないみたいなので今のうちに近づいて観察しておくのがいいかな。


「ちょっと観察に付き合ってくれない?みんなと離れるのは気がひけるけどいい位置から攻撃したいから」


「わかった」


 俺は紗理奈を連れてスケルトンドラゴンの真下に向かった。ここから魔法を放てば確実に当たる。それくらいの自信があった。


「紗理奈、スケルトンドラゴンが前を向いたら攻撃するぞ。この後ろには誰もいないだからありったけの魔力をこめて攻撃しても空が壊れるだけで他に壊れるものはないと思う」


「わかった。2発分くらいに分けて放つね」


「俺もそうしとくよ」


 スケルトンドラゴンがこっちを向いた。今だいけ、今魔法を放つんだ。


「今だ!」


 俺はそう叫んで魔法を発動した。反応に遅れるスケルトンドラゴン、これなら当たる。そう思った時だった。なぜかわからない。何が起きたのかすらわからなかった。でも何かが起きたのは確実だ。目の前が真っ白になっていたがやっと視界が見えるようになってきた。そして目の前にあったのはもう一匹のスケルトンドラゴンの姿。


 なんで?そんなに沢山出てくる魔物なの?スケルトンドラゴンって普通の魔物じゃないんだよ。そう簡単に出てこられても困るんだよ。


 俺はそう叫びたくなた。


 みんなは驚きすぎて声も出ないのかもしれない。こんな状態で戦えと?みんなもう心が現実にいない。


 俺はまだ放出しきれていなかった魔力をスケルトンドラゴンに向けて放った。今度は効いたらしく、苦しそうにもがいていた。魔石に直撃すれば苦しいだろうな。人間で言う心臓に攻撃されたのと同じなのだから。


 こんな状態で一番にフリーズから戻ったのがレオだった。レオは攻撃をするために剣に魔力を溜め始めた。それがどんな技かはわからない。でも俺の直感が今すぐここから逃げろと言っている。レオがいるのは真前、俺は即座にサリナを連れて横にずれた。


ドドドドド

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る