第41話 レオが正式な魔王になった

「魔王殺し、それがお前(魔石)の役割なんだろ?カイン!」


 俺は魔石に向かってそう叫んだ。魔王の歴史は知らないでも、不自然な魔王の死や暴走があったはずだ。それらは全てこの魔石、カインの仕業だったのだ。カインは魂だと思う。この城は歴代の魔王の魂が宿っていると言われている。魂は役をりを終えるまで次の人生を迎えることができない。これは神話での話。神話の場合は邪神や魔神の魂だった。


「我の正体を見抜くとは相当な力量だな。現代魔王は気づかなかったぞ」


「これだけ固有魔法を使われればね」


「ほう、ずいぶんと歴史に詳しいな」


 こいつはずっとこの魔王城に留まっている魔神の魂だ。カイン、それがお前の名前であり、歴代最強と言われた魔神の名前だ!


「お前の今使っているのは魔物を生成するものではない。死んだ魔物の魂に魔力を宿らせている。それが分かったから犯人に気付けたんだ。魔物の魔力がみんな同じだった。魔物を生成すれば魔力は魔物に合わせて変化する。でもおかしかった魔物に合わせて魔力が変化しなかっただからそうなんじゃないかなって思った」


「博識で何より、お前にならレオを任せられるよ」


 どうゆうことだ?俺は試されていた。誰に?


「私の名はカイン確かに「魔王殺し」だ。でもそれは魔王の配下、仲間の信頼度を確かめるものだ。これを突破出来ないのならば魔王としては認められない。これに関しては全ての魔王が受ける試練でもある。この試験を受けたものが受けていないものに話すのは暗殺の対象だな。今誰かに話したところで処罰にはならないけど、だってみんな試験受けてるもん!出番がなかなかなくて寂しかったんだからね」


 息なる口調変更、なんか違和感。


「じゃあ早く戻ってやれ。レオがそろそろ目覚めるぞ。あ、それとこいつをレオに渡しておいてくれ。今回は対面で渡せなかったのが残念でたまらないな。レオだけじゃなくて配下も来たら直接渡せたのに、配下を信頼しきれてないんだか自分なら犠牲になってもいいという考えなんだかわからないが将来が楽しみだ」


 そうカインが言った瞬間魔道具が手のひらに落ちてきた。その後俺は早く帰らないとと思いならが急いで広間に戻った。


「竜馬様遅かったですけどんいかあったのですか」


「何もないよ。ただちょっと話してただけ」


「よかったです。魔物がいきなりいなくなったので驚きました」


「そうだったんだそれはよかった」


「それとこれをレオに渡してくれと言っていた」


「これは、魔王に認められて証!レオ様めでとうございます」


「ん?何がおめでとうなんだ?」


「あ、先に見てしまってすみません。魔王と認められたのですよ今日は祝わなくては!」


「それはよかった」


 そう言ったレオは疲れたような顔をしながら玉座に向かった。そしてその裏に周り、何かを持ってきた。


「これは父上から貰った最後の贈り物だ。魔王として認められた時に開けろと言われているものだ」


 その中には封筒と小さな魔石が入っていた。なんの魔石だかわからないけれど代々受け継がれている魔石なんだと言っていた。紫と青のグラデーションになった綺麗な魔石。


 これでレオも神に認められた魔王になった。


 血まみれになった服を着替えてくると言ったレオは自室に行った。俺はレオのためにちょっとした料理を作って待つことにした。


 作るのはまんじゅう、みんなから好評だったのでみんなで食べられるかな?リオンとケンゴに味見してもらおうっと。


 作ったので早速食べてもらった。感想は…


「おいしい。なんですか?これは」


「まんじゅうです」


「おいしいです」


「レオに食べさせても大丈夫ですか」


「大丈夫ですよ」


 こうして中に肉に入った饅頭は食卓に乗ったのだった。


「美味しいな。これはなんだ?」


「饅頭です」


「まんじゅう?」


「はい、饅頭です」


 この後俺は話をする約束を取り付け、事件について話すことにした。


「最近ここのへんで何か変んあことって起きてにですか?」


「最近かぁ魔物の動きが活発なのと」


「魔王反対派の活動の活発化でしょ?」


「そうそう」


 魔王寮に行ってから連絡のつかなくなっていたカナとサナが出てきてそういった。この魔王城にいたらしいレオと離れたくなかったんだとか。俺はカナとサナが幸せならそれでいいと思ってるから自由にしてもらいたい。


 ちなみに快斗も毎回何処かに出かけている。どこに行ってるか知らないけど、なので俺のパーティーはメンバーが揃わないことの方が多い。


「こっちは事件で起こることがわかったって感じかな」


 そう言って俺はそれで魔物が襲って来たり、魔王が出たり、スケルトンドラゴンが出ると言うことを伝えた。


「スケルトンドラゴンは3年後出現だから召喚できないと思うけどな〜」


「じゃあ、スケルトンドラゴンに関しては心配しなくて良さそうですね」


「大丈夫じゃね?」


「それはよかった」


 この後は魔王量の被害状況を聞いて寝ることになった。今日はせっかく来たからと泊めてくれた。


 俺が朝起きた時にはもう騒ぎになっていた。何がどうなってこうなったのかはわからないけど結構な騒ぎだ。そんな中、俺の部屋のドアをノックする者がいた。


コンコン


「竜馬様、突然で申し訳ないのですがスケルトンドラゴンの出現反応が出たとダイゴ様から連絡が入りました。直ぐに準備をして、玄関へ」


「わかりました。戦力を連れてきた方がいいですか?」


「出来るのであれば」


「では一人連れてきますね」


 そう言ってコートを羽織り、名無しの転移?魔法を使う。


「紗理奈、格好はそのまんまでいいから出かけるぞ!緊急だ」


「はい、わかりました。剣を持ったらすぐ行きます」


「ああ」


 紗理奈は凄い勢いで消え、凄い勢いで帰ってきた。


「お待たせしました」


「待たせてないがな」


「あはは」


 少し会話を交わした俺はメイド服姿の紗理奈を連れて魔王城の広い玄関に転移した。


「待たせた」


「戦力とは紗理奈様だったんですね。早いですね。出発時間が早まりそうです。レオ様はまだ剣が研げていなかったらしく今研いでいますから」


「お久しぶりです」


「お久しぶりって程でもない気もしますね」


「確かに」


 今日はリオンもケンゴも戦闘服だ。いつもスーツをビシッと着こなしているからなんか新鮮……


「先行ってろ。俺は終わらない。後から追いつくから安心しろ」


 上からレオの声が降ってきた。メガホンのような魔道具でも使っているのだろうか?


「先に言ってろ、とのことですので出発しましょうか」


 そう言って出発することになった。メンバーはリオン、ケンゴ、紗理奈、カナ、サナ、俺の6人だ。このまま大魔王のいる。城に向かう。


 移動はレオの手懐けているスケルトンホースで行くらしい。馬なのに肉がなくてゴツゴツしてるから変な感じだ。紗理奈は馬に乗れない為俺と乗ることのなった。スケルトンホースも馬と同じように扱えばいいらしい。


 馬より扱うのが難しかった。だって……この馬大きいんだもん!いつも乗っている馬の1.5倍くらいの大きさだと思う。


「捕まっててね」


「うん」


 紗理奈を前に乗せて馬を走らせる。俺の身長が紗理奈より大きくてよかったと思った。俺の方が小さかったら前に乗せられないもん。後ろに乗せるってなんか怖くない?前にいてもらった方が安心できる。


 馬に乗るのが初めてらしい紗理奈は緊張してるみたいだった。いつもは快斗に乗るか走ってるからな。乗馬もできるようにした方がいいのかね?俺はやらされてるからできるよ。暴走したらお手上げだけど、


「紗理奈は自分で馬乗れるようになりたい?練習するの嫌だったらこれからも乗せてあげるよ」


「えっと、乗馬するなら剣とか魔法の練習したいです」


「じゃあ、剣とか魔法の練習もできて乗馬もできるとしたら?」


「竜馬さんと狩に行きます!」


「うん、うん?うん」


 俺は数秒間フリーズしたが理解した。なんとか、ね。


「もう着くぞ」


「ダイゴ様だ〜」


「元気かな〜」


「元気だよ〜」


 カナとサナはそんな会話をしていた。ダイゴ様ね。どんな人なんだろう?会ってみたいや。


 門の前まで行くと後ろから凄い勢いで走ってきているレオの姿が見えた。本当に間に合った。すげー。結構飛ばしてたのに……


 レオが追いつくと同時にギギっと音がして重そうな鉄の門が開く。


 中に入り、広間まで行く。玉座のある部屋の前まできた俺は疑問に思ったことがあった。それは、大魔王の城なのになんで使用人が一人もいないんだ!ということ


 中に入ると中にはもうタケルが来てきた。ウルハはまだ来てない模様。


「よく来たレオ。で、その二人が例の」


「はい、そうです」


「気に入った。討伐隊の作戦会議に参加してくれ」


「はい」


俺と紗理奈が返事をすると満足そうな顔をし、張り詰めていた空気が軽くなった。


「では、ウルハが来るのを待とうか」


 大魔王とは思えない口調でそう言った。

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