第39話 これからの予定が決まらなかった

 今俺はルカさんの仕事部屋にいる。ギルド長室ってことね。それで、今回得た情報はデカかった。だから、魔王様たちを味方につけられないか?と聞かれたので無理と答えておいた。


 なぜなら、レオ達は俺と紗理奈の魔力を気に入ってくれただけで人間自身を好きとは言っていないことや、俺たちだけついて来いと言って他の人間に魔王城の場所すら教えなかったことなどからレオ達は人間に良い感情を抱いていないのではないかと考えたからだ。


「魔王たちと協力してこの事件を解決できないかな?魔王たちも被害者なんだろ?」


「協力を仰ぐのは適切な判断ではないかと、それに、レオたちはレオたちで事情があって被害を受けている。その被害を収めるのは人間では無理だ。一流の冒険者でも若干手こずるかもしれない魔物をその辺の冒険者や貴族がそう簡単に倒せないでしょ!」


「確かにそうかもしれない。でも、魔王に話をしてくれないか?」


「魔王様、レオ達の反感を買って人間界が滅んでいいならいくよ。俺は生き残る方法あるから生きれるかもしれないけど」


「そうならないようにできないのか?」


「やるなら自分で行ってきてください」


「……」


 人間に良い感情を抱いてないのに協力しろって言われても協力したくないと思う。俺は転生者であり、人間ではないらしいから仲良くしてくれてるんだと思う。紗理奈はケンゴとリオンに気に入られていたのでレオも仲良くしてくれたんじゃないかな?快斗は魔物だしカナとサナはレオの義理の妹だったし……


「それで、原因の国はわかってるんだから早く証拠を掴めばいい話でしょ。これは国際問題なんだから王国と協力できるはずなんだけど、協力できないの?」


「いや、足手まといにならないなら兵を出してくれるそうだ」


 なんで足手まといにならないならなんだよ!王国の兵でもできることをやらせればいいでしょ!俺だけに仕事させるとかどうなん?魔王領の時だっておかしくなって帰ってきただけでしょ!なのに功績とか言ってお金もらってるし、おかしいよね。ほんとおかしいと思う。


「じゃあさ、他国に平民として移って生活して貰って情報を集めればいいじゃん」


「なんで兵がそれをやるんだよ!それこそ兵じゃなくてもいいじゃん!」


「じゃあそれは誰がやるんだよ!」


「竜馬くん」


「だから、やだって言ってるじゃん!あんなにコソコソ情報が行き来するのを眺めるのはうんざりなんだけど?それに、俺が他の国に行って、なにもおこらないわけないじゃん」


「そうだね」


「そうだねで終わりにしないでよ」


 向こうでもなんか大きな事件に巻き込まれて大変な目に遭うのは目に見えてるじゃないか!俺は気を張り続けた結果倒れる未来しか見えないんだけど……そうなる前に消息不明になってこの国に帰ってこようと思うけど。それに今貴族だとしても他の国では平民と同じ扱いだ。貴族が呼んだ貴族の場合は貴族の扱いを受けられるけどこれも相当相手に気に入られてないと貴族の扱いにはしてもらえない。


 不便な生活を何ヶ月もしたくないってのもあるけど、いちばんの理由はやっぱり面倒ごとに巻き込まれたくないからだよね。


 他国で何か変なことでもしてごらんなさいな!即刻チェックリストに書かれるよ。他国の人間は住民キーがないからすぐに分かるんだよ。


 住民キーとは生まれた時にもらえるバッチまたは鍵、腕輪のこと。これらは魔道具だ。とある機械でしか見分けられない術式になってるんだとか。国ごとにそれぞれの術式があって、術式にはなんらかの意味があるらしいけど誰もわからないらしい。


 俺はわかっちゃったんだな〜これはみんな魔術式だと思ってるかもしれないけど文字だから。魔法について全てを理解したものだけが分かる言語だから。これは多分だけど周りに言いたくないんだよね。言語だから人に教えればわかるし、読むこともできるんだと思う。憶測だけど、これが正しいなら他人に教える人はいないだろう。俺だって教えたくないもん!


「ねえ、そこ邪魔だから帰るなら帰る。いるならいるにしてちょうだい!」


 妄想に浸っていた俺を引き戻したのだった。


 お母様が俺の部屋の前にいる。大体俺は鍵をかけて寝てるから入ってこれないと思うけどここは子供部屋、親が鍵を持ってるなんて珍しいことじゃない。俺の部屋が外部から鍵を開けることのできるものかどうかはわからないから念には念を入れて魔法で鍵でもかけて置くか。今日講義を受けなかったのが気に食わなかったのだろうか?


 でも、一応大事な話ということで呼ばれていたので断れなかったのだ。俺にとっては大事じゃなかったね。むしろ逆かな、俺には迷惑な話だった。


 とりあえず簡単な魔法を掛けてドアが開かないようにする。これで1分くらいは時間稼ぎができると思う。1分の間にできるだけ複雑な魔術式を構築する。本当は時間がかかる作業だけどいっぱい使ってたらいつの間にかオリジナルの魔法を作るのもすぐに作れるようになってしまった。でも、人間じゃないくらいの規格外っぷりを見れば普通なのかな?


 最初に作ったのは簡単な術式だ。ある術式の決まりを知っていれば解けるものだ。俺は闇魔法の術式が得意なため大体の新魔法は闇魔法の応用だ。闇魔法は悪い属性だと言われているのでろくな魔導書がない。闇属性の魔法を極めたい場合は独学だ。教える人がいないのと、闇魔法は相性が関わってくるので相性の良いもの同士で新しい魔法を作らないと魔法が作れても使えない場合がある。魔力の波長を合わせればいいのかもしれないけどそんなのをこの世界の人間ができるとは思えないのでこの発想はボツになった。紗理奈にやらせたらできたけど。


 次は十分な時間が取れているのでもっと強い封印術式を組み立てる。お母様は意外とこういう感じの魔法術式を解くのが上手だから困る。俺が本気で解いても同じくらいに終わるんじゃないかな。


 なんかやけに早い。とりあえずこの辺で一回やめて次の術式を作ろう。今度は二つずつ作っていけば解かれる前に最強術式ができるかもしれない。どんどん組み立てていこう!


『竜馬くん、私がこの前転生させた個体が竜馬くんの暗殺を試みています。だけどうまくかわせてるみたいだね。これなら大丈夫そうですね』


『こいつやけに術式解くのが早いと思ったらそうゆうことだったのかだからあんなに早く、じゃなくてですね。俺みたいに特殊スキル使ってるの?』


『今は使ってますね。日本という国でプログラミングをやっていたものですのでこういう作業はこのかたはすごく早いです。戦闘系ではなく文系ですね。転生前は』


 そうなのか、この人術式解除早いんだけど!なんで〜俺が一生懸命に頑張って作ったのに!解かれないために頑張って工夫しなくちゃだとおもってたときだった。なぜか知らないけど魔力が上手く扱えない。なんで?おかしいぞ?


 俺はこの時、暗殺者に狙われてるなんて毛等の先ほども考えていなかった。


 魔力での戦いはしばらく続いた。でも、陽の光がだんだんと見えて来る明け方にはどこかに行っていた。


 結果、夜の襲撃はお母様ではなかったし、ローラマイナではなかった。ローラマイナの仲間かもしれないけどローラマイナに責任はないからね。


 で、今日の講義はお母様が来る可能性が高い。だけど俺はあの謎の襲撃について知りたいから襲撃について調べるために人形を置いて行ってきまーす。


まずはルカさんに話を聞いてもらってから行動しよう。このことについてはルカさんが知ってそうだから。聞いたら答えてくれそうだよね。


 そうと決まれば早速転移しないとね。


「転移」


 俺は素早く転移を発動させ、ルカさんに相談しにいく。そこには予想通りの光景が広がっていた。最近よく寝てなさそうだったからそろそ露我慢の限界だと思ったんだ。当たってる。ちゃんと寝落ちしてたよ。


「ルカさん起きてください。相談があります」


「今度は何?もう聞きたくないけど聞くよ」


「裏社会に転生者を発見しました。そこまで剣とかやってなさそうなっ振る舞いだったから魔法特化型かな?」


「幻覚かね。なんか最悪な単語が聞こえたんだけど」


 ルカさんはそれがアリクスのメンバーだと思うと言われた。アリクスはこのまえ潰したはずの暗殺団体らしい。どこかのギルドではないらしい。


 アリクスに狙われてるなら早めに排除したほうがいいらいいでも転生者はスキルをみてから殺してって言ってた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る