第38話 教師はギルドに脅された弱者
ルカさんが言っていた「家庭教師に殺されるかもしれない」というのは相当ギルドの上部にいる人間ではないとやらないことらしいが誰がギルドの上層部かはわからないらしい。理由はそのギルド、闇ギルドがお飾りのギルド長を会議などで出してくるから。一度も本物のギルド長が出てきたことはない。ここまで徹底的にガードされてしまうとどうしていいかわからない。
お飾りのギルド長は言われた事をただやるだけの人形だと言っていた。本当に人間じゃなくて人形だたりして…想像すると結構怖いね。
で、問題は野宿をする場所、この辺で安全と噂になってる森はないんだよね。例の森でいっか。というかここで寝るなら部屋で寝ても問題なくね?もういいや。部屋で寝よ。案外こっちの方が来るかもしれないし……
俺は布団に潜りながら明日の予定について考えていた時だった。暗殺などに用いられやすい「短距離転移」系の魔道具が発動した。わかった理由は魔力の動き、しっかりみてれば少しでも何系統の魔道具かぐらいは分かる。分かるようになったんだ!
俺は寝たふりををしながら近づいてくるのを待った。音を立てずに行動するのはなれてるのか?結構できてる。気づいてる俺が言うことではないと思うけど。
俺の目の前まできたので俺は起き上がり、話しかける。
「俺の部屋に入ってきて何か用?」
「ひっ」
「君ってさ、闇ギルドに所属してるんでしょ?誰の命令、誰から指示出されてるの?もしかして自分から犯罪の手を染めてる感じですか?」
逃げようとするので魔力を練って引き留める。そして悪役の台詞を、悪役じゃなくても言うけど、俺は悪役として言うから。実際は逃げてる方が悪いけど。
「俺から逃げられるとでも?」
「化け物」
化け物扱いとか酷いよね。俺は今ピアスを外してるから化け物ってのも頷ける。でも、口に出さんでええだろ!地味に傷つくわ!
「で、化け物の部屋に忍びこんだの誰?」
「私です」
「誰の指示」
「ギルドの上層部。名前は知らない」
使えねーやつ。
「で、俺の部屋に来たのは何する為?ステータス盗み?暗殺?」
「ス、ステータス盗みです。暗殺依頼は出てません」
「そう、このことは親に言わなくて良いよ。俺も言わないから安心しろ。そのかわり俺は自由に生きるからな」
「では、私は家庭教師から降ります」
「あのさ、やめられると俺困るんだけど。俺がやめさせたみたいじゃん。学園の内容はほとんどできるから応用の問題を頼む。教師しか買えない本とかあるでしょ?それ解かせて。抜き打ちテストとかして俺の実力確かめていいから」
「そうゆうわけにはいきません。犯罪を犯した身ですよ?」
「俺に怒られろと言うなら別だけど?だってどうせ何かで脅されたんでしょ。卑怯な手でも使われたんじゃないの」
「うっ」
なんで泣くかな。
「もういいから早く帰って怪しまれるよ。あと俺の偽のステータスならあげる」
そう言って一枚の紙を渡した。これはめんどくさい人に会った時に使う用のステータス、だからいくらでもあげるよ。
「ありがとうございます。でも、ギルドはやめます」
「じゃあ、闇から解放された姿でまた会おうね」
〈翌朝〉
「おはようございます」
「おはよう。じゃあ始めて」
「はい、早速始めさせていただきます」
そう言って教師はカバンの中から何かを取り出した。問題とかな?
「実力を確かめる抜き打ちテストです。これが終わったらもう終わりだから」
量多い……見た感じ羊皮紙50枚くらいかな。それが問題で書くのはまた別の紙だと思う。テストって普通そうなんでしょ?俺はテストなんて受けたことないから知らないよ。本での知識だけだから。
「じゃあ、始め!」
そう言ってローラマイナは時計を動かした。時間を測る感じの機能がついた高級な時計なんだ。いいの持ってるね。俺は使わないと思うけど。
さてさて問題はどんなのが出るかな?
問題形式は解答用紙が別についてるタイプで問題番号は大問35だった。
……1+1、5+1、6+4…なにこの簡単な問題は!これが試験か?もう見ただけで答えが出るやつばっかりじゃないか!楽しくない。もっと難しいのが出ると思ってたのに!どんどん解いて行った結果今はもう大問27まできた。この辺からやっとまあまあの難易度になった。でもまだ三桁の掛け算、割り算とかだけどね。
〈20分後〉
「終わった」
「へ?もう?」
俺はもう見直しも終えて間違いがないか確認してから声をかけた。
「終わった。間違いもないはずだよ」
「そ、そう。じゃあ、答え合わせするよ」
「はい」
ローラマイナに解答を書いた紙を渡す。
「なんでこんな短時間で解けるわけ?これは早くても午前中一杯はかかると思ったのに」
簡単な問題を出しておいてそれはないだろ!親が持ってきた問題集はもっと難しかったんだけど?だってあれも学園の問題だって言ってたよ。
ローラマイナはしばらく俺のかいた解答に目を向けていたが、顔を上げた。
「全問正解よ。あなたには家庭教師なんていらないんじゃない」
「そうだね。解いてる問題集が難しいとは感じたことあるけどわかんないとは思ったことない。ちなみにこれが問題集」
そう言っていつも解いてるものを渡す。これは今までの課題の中で一番難しいと思った問題集だ。それを受け取り表紙を見た瞬間ローラマイナが声にならない悲鳴を上げいていた。
「っ……」
まあ難しいもんね。そうなるよね。俺だってみた瞬間やる気失せたもん。難しいわめんどくさいわで顔を顰めたことが何度もあったような。
「なんで学園じゃなくて英才学園の最年長問題解いてるのよ。こんな問題誰が解けるのかと思ってたらここに化け物がいたわ」
俺そんな問題解かされてたの!それとその化け物っっての地味に心の傷が開く。
「えっと、じゃあ今日の講義は終わりでいいんでしょ。俺は用事あるからもういくね」
「待って、待って、こんなに頭いいのをご両親は知ってるの?」
「丸つけしてるのはお父様だと思うし知ってるんじゃない?俺は話してないけど、というか自分の事を自慢するの無理だからそんなのしない」
「あなたのご両親と話がしたいわ」
「勝手のしてくれ。俺は見ての通り忙しいんだ」
「勿論アルフ君も一緒よ」
「俺は用事があるって言ってんだろ!そんなに誘うってことはお母様に何か言われてるんだろ。俺は約束の時間まで少ししかないからもういく」
部屋を出た瞬間笑っているけど目が笑っていないと言うとても怖い顔をしたお母様が立っていた。
「いくわよ。ついてきなさい」
そう言われ、俺は無理矢理部屋に連行された挙句ギルドにも行かせてもらえないくらい質問攻めされた。問題には強いけど質問には弱いんだよな。
俺に家庭教師が付けられてからは自由が少なくなると思っていたけど今まで勉強を頑張ってきた為自由はけっこうあった。本当に良かった。
で、今日は王宮に換金したお金を貰いにいく事にした。先日は忙しくて行けないと王宮に急いで連絡したのを憶えている。
で、振り替えってこと、今日は家庭教師に来んなって言ってあるから来ないと思う。お母様が呼んでなければね。
そろそろ行かないとかな?早く行っても多分部屋に入れてくれるし、問題ないかな。
「転移」
「隠蔽」
俺は周りに怪しまれないように「隠蔽」を使いながら「転移」を使って早々と移動する。
「竜馬だ。監禁したお金を受け取りに来た。陛下と面会できるか?」
「竜馬様ですね。わかりました陛下にお伝えして参ります」
「はい。どこにいればいいですか?」
「この前の応接間で待っていてください」
「了解です」
そう言って俺は王宮に入って行く。王宮も何回もくればなれるモンだね。初めて来た時は緊張したもんね。前は緊張して入るたびにビクビクしてたっけ?
「竜馬またせたな」
「いいえ、陛下ところで鑑定の結果はどうだったのですか?」
「結構な額だぞ、学園に行く年になったら爵位をあげると言ったであろう?その時に屋敷でも立てれば良いだろう?金の使い道ならいくらでもある」
「そうですね。使い過ぎない程度で少しは贅沢しても良いですかね。毎回食事が魔物の丸焼きってのもだんだん飽きてきましたしね」
「お主、貴族なのによく魔物の丸焼き食べれるな。あれは一度食べたが味がなくてすぐに飽きてしもうた」
「陛下、もう知ってるかもしれませんがあの魔物は不味いので食べない方がいいですよ」
「アレは一回だけ食べた。不味かったな。たしかに美味しくなかった」
「俺は丸焼きで食べたので陛下が食べたもの以上に不味かったと思います」
「想像するだけで食欲がなくなるな」
換金金額は1,025億ゴールドいやあ凄いね貴族が高値で買ってくれたらしい。このお金は俺の分だけの金額なので手数料を入れたらもっと多かったんだろうけど。もうこれ以上金いらないからいいんだけどね
「じゃあこれが1,025億ゴールドだ。これからも竜馬の活躍を期待しておるぞ」
「はい、これからも期待に応えられるように頑張ります。それと、なんかいい問題集ないですか?あったら教えて欲しいんですけど」
陛下は考え込んだ後になにかを取りに戻ったと思ったらなんか変な本を持ってきた。本にしては小さく問題集にしては大きかった。
「陛下、それは?」
「竜馬にやるよ。この問題集はもう解けるものがいないんだ。答えもどこかに行ってしまったのでな。答えを教えてくれると嬉しい」
「はい頑張ってみます」
この問題集が解き終わったら新しい問題集をまた持って来てくれるらしい。これに似た問題集が山のようにあるから解いてくれると嬉しいって言ってた。解説付きの答えを作ったら双剣を二組くれるって言ってた。俺は報酬に釣られてこの依頼を受けてしまったが本当に問題が解けるのだろうか?
「ではまた今度な。良い成果を期待しておるぞ」
「期待しないで待っててください。緊張して問題の答えが間違っちゃうかもしれないです」
「それは困るな。では頑張ってくれ」
「分かりました。では、また今度」
「転移」
俺は転移で移動したらすぐにギルドに行き、ルカさんに家庭教師の話しをしようと思っている。ローラマイナのせいで冒険者としての俺でいられなかったんだからな!
「こんにちは」
「竜馬くんはもっとまともな登場の仕方はできないのかな」
「できない、で、家庭教師は脅された軟弱教師だったみたい。誰かに脅されてやってたんだって」
「へえ、上層部じゃなかったんだ。それなのにそんなことをさせたのはなんでだろうね。謎の事件といい、竜馬君の家庭教師といい、事件に巻き込まれてばっかりだな.こんなに賑やかなのは竜馬くんがきてからだもんねえ」
「黙ってください」
俺はある意味運が悪いのは承知している。魔物に好かれちゃうんだもんね。俺すごい!
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