第37話 約束の答え聞いてないのに家庭教師がきた家庭教師がきた

 ひたすら問題を解き続けることおよそ6時間。もういい加減に疲れた。時刻はよが明ける少し前。紗理奈がそろそろ起きる時間だな。


「竜馬起きてたの?」


「うん、起きてたの」


 魔王領に行ったお陰で二人とも喋り方は普通になった。ここは喜ぶところだよね。イエーい!わざとらしっ


「また勉強?倒れちゃうよ」


「倒れたら紗理奈がなんとかして。俺はこれ終わらせるのに集中できるね」


 そう言って問題集に向き直る。紗理奈がなんか言ってるけどいいかな?俺はこれを終わらすのに夢中なんだ。


「体壊れちゃうよ。倒れても何にもしてあげないから!」


〈4時間後〉


 多分今は8時くらいかな?


「竜馬、変なの来てる。着替えて応接間に来いって言われてる」


 ああ!なんだよ!俺は集中してんの!と言う心の声を抑えつつ俺は応接間に向かう準備をする。特に服装の指定はされていないのでテキトーに黒いズボンとコートでいいかな?寒くないことを祈って薄めので。これ、本当は戦闘服なんだよ。変なのだったら俺切るからそいつのこと。


 と言う意を込めて?かな?自分でもこれ選んだ理由わかんないや。でも、これは動きやすい!


 そりゃね。戦闘の時に着る服ですから。と言うツッコミを入れながらどうやって登場するか考えていた。


「隠蔽」


「転移」


 転移した後はそこにいた女性の頭の真上から魔力で作った水をかけてやった。冷たいだろーね。10秒くらいだけど。俺これやられたら激怒するわ。


「キャー、お化け」


「どうもお化けだよ」


 そう言って背後から姿を表す。


 すると女は目があった瞬間に鑑定を使ってきたので俺はそれを跳ね返しつつ逆に鑑定を仕掛けてやった。まあ、反応できなかったんだろうね。無事に鑑定できてるよ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ローラマイナ

レベル:38/67

性別:女

体力:29

魔力:347

属性:水 炎

年齢:24

素早さ:68

防御力:36

〈スキル〉

鑑定眼、スキル習得、記憶強化

〈称号〉

なし

〈職業〉

教師

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 へえ、称号ない人初めてみた。こんな人いるんだ。それに……スキルは少ないし、いかにも戦闘ではなく文学だよな。こいつ俺の教師だったりして、まあ俺には関係ない!だって約束を果たしてもらってないから。親の許可ないと他の国行けないんだよ10歳までは…あと4年!長い、ものすごく長い!


「いきなりなんなの〜」


「りゅ、アルフです。で、俺に何か用?俺、忙しんだけど」


 やべーやっぱ間違えちゃうんだよね。この名前意外とこの姿でもしっくりきちゃうから。


「家庭教師の話は聞いてないの?」


「条件飲まないなら教師来てもやんないって言ったから」


「……」


「じゃあね」


 そう言って部屋を出ようとした時だった。女、ローラマイナから声をかけられた。


「待って、その条件って何?私は君に勉強教えないと社会的に消されちゃうから!お願い」


「じゃあ聞いて、グリュアーノ、禁呪、ダンジョン、遠方への情報収集をする許可が欲しい」


「こりゃ無理だわ。その願いが何を指すか知らないの?」


「知ってるさ。国への反発だろ」


「それがまずいことだと思わないの?」


「思う。でも俺は知りたい。特にグリュアーノ、あれ、世間に出ている情報が嘘だから」


「そんなことないわ。あれはずっと昔からある情報よ間違えな訳がない」


「俺は、俺の方法で確かめた。条件飲まないなら講義受けない」


 俺は「隠蔽」を使って姿を消す。しばらくここでみてようと思ったのだ。どんな行動に出るのか気になるから。


「ちょっと待って!」


(待たねーよ)


 するとこの女はブツブツと何か呟き始めた。そこにお母様がきて何か話している。


「無理でしたか。てか、人の命かかってるって言ってもダメなんですか?あの子大丈夫かな?」


「アルフ君ですか?あの子もうほとんど学園の勉強終えているのでは?頭がとてもいいです」


「でも一応心配だから」


 ここで声を出せばいるのがバレる。というか。いないとは思われていないかもしれない。


「課題だけならやる。だが抗議はぜってー受けない」


「いたの」


「ずっといた。こいつは面白そうだったから」


「で、どこにいるのかしら?」


「言うわけねーだろ。俺はもうほっといていいから。というか、本物の俺でも偽物の俺でもわかんないでしょ」


「そんなことがあったの後で説教しなくてはね」


「遠慮しときます」


「今日はもういいわ明日から頼んだわ。うちの問題児を」


「わかりました」


 勝手に決めんじゃねー!


 あの事件の後俺は王宮に行って鑑定にかかる時間を教えてもらい、帰ってきた。


「3日後には終わってると思うから来い。と伝言があります。陛下は今、思わぬ来客の対応に追われていまして」


「いいよ。俺は今日は帰るね」


「ありがとうございます。3日後お待ちしてます」


 帰ってすぐ森に突入した。


 俺は朝の出来事を忘れる為に魔物を狩り続けた結果、森の魔物を絶滅寸前まで追い込んでしまった。ここまで人気で戦うことはしたことなかった。剣は硬い魔物の皮膚を切ったからだろうかもう何も切れないのではないかというくらいにまで切れ味が悪くなっている。これだと研いでもすぐに使えなくなっちゃいそうだな。


「はあ」


 さっきからため息をついてばかりだ。あの家庭教師気に入らない。強い人間じゃないと追いかけっこすらままならないじゃないか!


 案外あの騎士の人はいい相手だったのかもしれないな。今度、魔法を使わないでやろうかな。そうしたら体力つくかな。


 しばらく貴族社会から離れたい。離れているけど……あ、そうだ!あの人の授業は俺の作った偽物のアルフに受けて貰えばいいんだ。我ながらナイスアイディア!明日はそれで乗り越えるとして、初めの授業だから一応聞いておくか。


 「狩終わりにしてっと」


 俺は疲れて棒になった足を動かしながら魔物の件についてなんて言うか考えていた。これが決まらないとギルドに行けない…


「……」


 どうしよう。もう正直に話しちゃえ!最悪説教されるだけだろうし、魔石はいつも足りていない。この前俺が持って帰ってきた桃乃の死骸からかなりの魔石が取れたらしいけど俺はその数を正確に知らない。魔王領にいる監視役の魔物は数千匹以上倒したと思う。


「ただいま」


「静かだな。何かあっただろ。話してみ」


「家の裏の森の魔物が絶滅寸前です」


「……」


 黙ってしまった。また俺が黙らせてしまった。気にしてないけど!


「全滅しかけてる?」


「そう、無意識に狩続けたらいつのまにか足の踏み場もないくらいに魔物の素材(死体)があったの。で、使ってた双剣もいつの間にかこんなだし」


「剣ってさ普通そこまで使わないんだよ。そんなにいっぱいの魔物の急所を狙って狩ってればそうもなるよね。そこまで耐えさせる技術を持っている君もすごいよ」


「お褒めの言葉ありがとうございます」


「褒めてない。後半以外は」


 それってさ、褒めてるうちに入っても良くない?なんで違うっていうの?ではなく家庭教師の件について解決策を聞きたい。


「で、俺は家庭教師をつけられて暴れた結果がこれです。条件飲まないなら俺は講義受けないって言ってあるから受けなくても平気だと思う」


「あ、そうゆうこと。一つ言うと竜馬くんに教示つけるのは良くないと思うんだよね。だって学園で習うはずのことも全部予習済みで、それにプラス異常な知識持ってるもんね。教師が恥を掻くのが目に見えている。それに教師やってる人って性格壊れてるの多いからさ、子供に良い影響与えないんだよね」


「……」


 教師ってダメ人間がなる職業?


「子供に言っちゃいけないことだった。誰にも言わないでね。僕物理的に居なくなっちゃうから」


「しょうがないから守ってあげる」


 会話が続かない。で、解決策の話を出してみるか。


「で、俺じゃなくて人形に受けてもらっても問題ないんじゃないかと思うんだよね」


「うん、バレないように頑張ってね。それと、みんな目を合わせた瞬間鑑定仕掛けてくるから気をつけてね」


「今日の朝やられた。だから逆にやり返してやった」


「すごい!みんな闇ギルドに所属して貴族の子供のステータス高値で売るんだよ。だからみんなプロなはずなんだけど?竜馬くんスパイにもなれるんじゃない?ステータス売買する闇ギルドあるよ」


「そんなの入ってどうすんの!もう俺ギルド入らない。面倒だから」


「で、明日の授業だけ受けときな。一回受ければ大体教師が何について学ばせたいか分かるから」


「わかった。明日だけ受ける」


「そうして来い!頑張れよ。鑑定には気を付けろよ」


「わかりました。もう帰りますね。俺は今日野宿するので」


そう言って転移した。最後にルカさんが


「何言ってんの?家庭教師に殺されるかもしれないんだよ」


と言っていたのもちゃんと聞いていた。それが狙いだよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る