第35話 魔王量で迎えた誕生日
俺はもう監視役の魔物を狩るのが習慣になっている。ちなみに今日は俺の誕生日、10月25日だ。誕生日は祝ってもらいたいけど人間界にいないから祝ってくれる人がいない。レオ達には俺の誕生日のことは伝えてないから知らないだろうし……うん、祝ってくれる人いない。
朝も早く出てきてしまったので誰にも会っていない。魔王城に滞在させて貰ってからというもの紗理奈は白の家事をやっている。家事が終わり次第俺と一緒に狩をする。
俺の武器はもう半分以上消費してしまった。あれだけ買ってあったのに、思った以上に魔物の皮が硬くてすぐに使えなくなってしまう。毎日ちゃんと刃を研いで切れ味の確認とかするんだけど、次の日使ったら全然切れなくて吹き飛ばされたことが何度もあったような。
なんか知らないけど切れないのに驚いて固まったらすぐに可愛くない硬い尻尾で俺のこと引っ叩いてくれるんだよ。俺何にも悪いことしてないのに、さてると言えば敵を倒して素材にしてることぐらいかな?
魔物を毎日毎日送ってくれるのは大魔王反発派?だそうだ。俺はいい鍛錬になってるから文句言わないよ。
レオはちゃんと神に認められた魔王になったから仕事が減って剣を振っている時間が増えた気がする。リオンとケンゴはレオと一緒に訓練してるのをよく見かける。
魔王としてこれからも生きれてよかったな。って思う。俺が掃除したから見つかった変な文字の書いてあるのは魔王の証。先代魔王に付けてもらう筈だったけど戦争で急死してしまった為付けてもらえなかったらしい。そうゆう場合は自分でそれをつけなくてはならないらしいけど付けるマーク?が分からなかったからつけれなかったんだとか。そんなことを言っていた。
なんか今日はいつもより紗理奈くるの遅いな。何かあったんだろうか。こんな思考を巡らせてる間にも魔物は寄ってくる。だからなるべく外傷を負わせないように気をつけながら急所を狙っていく。いやーナイフさんが大活躍だな!
「お待たせしました。遅くなってすみません」
「今日なんかあった。ちょっと料理に手こずってしまって」
そう言って小さく笑う。なんか嘘っぽい。でも散策するのはかわいそうだし、そんな大事な問題でもないからいいかな。
「そうか。今日の夕食が楽しみだな」
「期待しててください。頑張ったので」
魔王領では食事は2回、朝と夜だけ、必要以上に栄養を摂る必要はないと考えられているそうだ。俺もだいぶこの習慣に慣れてきた。最初の頃は狩った魔物の肉をちょっと食べたりしてたっけ?まあどれも不味かった。そりゃね、食用じゃなくてあくまで監視用だから。まずくてもなんも言えない。
「今日はちょっと早いですけど夕食の準備をしてきます」
「うん」
なんかおかしい。でも誕生日が関係してることってないと思うんだよね。だって紗理奈には俺の誕生日伝えていないから。
〈1時間後〉
「ただいま〜」
「「「「お誕生日おめでとう(ございます)」」」」
「え?」
「今日誕生日なんでしょ?紗理奈ちゃんに聞いたよ」
「私はお母様に聞きました」
「俺の誕生日はなしたことなかったから知らないと思ってた。私、アルフ様の専属メイドなんですよ」
「それは初耳だ」
「同じく」
うん、それについては話さなくてよろしい。
この後俺は俺のことについて聞き取り調査?みたいなのを受けた。みんなに囲まれて隠してることを全部吐き出された挙句の果てには心の声を読んでくるもんだから俺はヒヤヒヤが止まらなかった。ずーっと、正座させられていたため足が痺れてて、まともに歩けないまま食堂に向かった。
「じゃあ、俺からのプレゼント」
「私どもからはこれを」
「私からはこれ」
レオからは魔王領でしか手に入らない高価なペンダント、リオンとケンゴからは何故か羽ペン、紗理奈からはピアス。お揃いらしい。
「みんなありがとう。こんなことしてもらえるなんて夢みたい」
「人間のくせに人間の輪に入れていないハブれものなんだな」
「いいだろ!魔力のせいで仲間はずれなんだから解決しようがないし!」
「あと、子供にしては出来すぎてるから気味悪がられている」
そんな理由もあるのか。俺は冷酷人間とかしたほうがいいのかな?
「俺からのアドバイスだ。わざわざ嫌味を言ってくる輩には本気の殺意を向けてもいいと思うぞ。君は転生者と見受けられるからそのくらい朝飯前であろう?」
「……」
転生者。なんでバレてしまうかな?
「だって、人間にしては強すぎるもん。紗理奈ちゃんはまあ、規格外だけど人間でいられるギリギリだけど、君はもう人間じゃないもん」
「それはそれは申し訳ございませんでした。人間の体で耐えられる限度というものを知らないもので」
こうして俺の誕生日は賑やかに過ぎて行った。
今日は俺たちがここにいる最後の日ということで昼食あり、だそうだ。これな関しては感謝しかない。早めにお昼の準備をし、ウルハとタケルを昼食に呼ぶそうだ。昼食を食べるときはみんなで食べようって決めてるんだって。大魔王様は今、出張中とかで魔王領にある闇の森に行ってるそうだ。そこは近づかない方がいいと言われたので行ったことがないが、一日中夜でアンデッド系のモンスターがウヨウヨしているらしい。そしてそこは一人で行ったら生きて帰ってこれないとか言ってたな。
「そういや、3年後にスケルトンドラゴンが出るんだ。このメンツじゃあ頼りないから強くなった君たちにもきてほしい」
「スケルトンドラゴンですか?それは伝説の生き物じゃ……」
「ここでは5年に一度出てくるウザったるい魔物だよ」
「えっと、頼りにならないかもしれない俺たちでいいなら」
「特に人数制限とかないから、強い人だったら何人連れてきてもいいよ」
「俺は人間に嫌われている身なので仲間が魔物以外で増えることは無いと思います。悲しいけど…」
「人間は差別が激しいんだな。俺たち悪魔はそんなの関係なしだぞ。それぞれ違うところがあるのは当たり前!の世界だ」
「俺も悪魔として生まれてたら差別されなかったのかなあ?」
『竜馬君が悪魔だったら成人する頃には神でも容易く魂ごと成仏させてしまいそうで怖いです』
『ローレシア!帰ってきたんだ』
『魔力が半分回復したので1ヶ月は持つかと、その後は3ヶ月ぐらい休憩が必要です』
楽しくみんなで会話をしながら昼食の準備をする。俺は魔法を使って食材を温めたり冷やしたり、と言うことをひたすらやらされていた。魔法をここまで繊細に操るのは大変だから、鍋とかでやってるけど、それは大変らしい。それでいいところにいいじんざいがいたとかなんとかでこき使われてるってわけ。俺がいるから温めるのも冷やすのも楽ちん!
俺は大変だけど、注文が多くて、特にレオさんと紗里奈さん。
二人とも食事のことになると人が変わったかのように注文が多くなるんだよな。
「そろそろできるよな。呼びに行ってくる」
そう言ってレオはキッチンから去って行った。
数分後、仕事の邪魔をされて不機嫌なウルハと、何をやったのか知らないが返り血で凄いことになっているタケルを連れてきた。
「えっと、全部洗いましょうか?」
「洗ってくれるのか?俺、魔物と戦ってる最中に連れてこられたからこんなで気持ち悪かったんだ」
「じゃあ息止めてください」
「わかった」
そして、俺は魔法を発動させる。タケルが水から出てきた時には綺麗になって出てきていた。服も濡れてないし大丈夫そうだね。
「お前、魔法の腕いいな。今度来た時は俺と一緒に監視魔物倒しに行こうぜ」
「その時は是非」
「次会うのは3年後だよ。ぶあーか」
レオが挑発してる。ここは居心地よかったからのいつでも来たいな。
「じゃあ、昼食始めましょうか」
紗理奈がそう言った途端みんながそうだったというような顔をした。忘れてたんだろーな。みんな昼食べてないことが多いからすぐに頭からぬけていた。
「「「「いただきます」」」」
食事のあいさつをし、食事を始める。食事の前の変な祈りはいらないと言われたので、今はしていない。というか竜馬の時はしてない。
そしてレオがウルハとタケルに人間界で起こっていることについての情報を話してほしいと言ったら話してくれた。やさしー魔王様だ。
で、人間界のことは人間界のことだから俺たちは知らないと言われた。今回の件は魔王領も被害者側なんだそうだ。主に荒らされてるのは反魔王派だからこちらに被害は出てないけど、被害を起こしたのが魔王たちだと思われてあの監視魔物らしい。飛んだ勘違いだな。
で、レオとタケルはこのことを知らなかったらしい。早く言え!という念を込めてウルハを睨んでいるが本人は気にもとめず、涼しい顔だ。
だんだんと夜行性の魔物が出てき始めたので俺たちは帰ることになった。
「またきていいからな」
「3年経たなくてもきていいから時間があったらこい」
「人間界でも頑張れよ。なんか人間離れしてそうだから、ハブられてそうだし」
その通りでございます。ウルハ様。
「この事件がひと段落して時間があったら3年経たないうちにお邪魔します」
「私もここ楽しかった。ここにきていっぱい喋ったから、スラスラ喋れるようになったの。ありがとう」
「レオ兄、ウル兄、たっくんまた会いたいです」
「なんで俺だけ君なんだ」
そんな呟きが聞こえた。
「またきてな」
その言葉を聞きながら魔法で人間界に帰る。
そういや、あの一緒にきた人たちどうなったろう?すっかり忘れてた。ヤベッ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます