第33話 出発!

 朝早く、夜が明けてすぐに起きた。今日は睡眠を十分に摂ったためみんな元気だ。今日、一緒に行くには俺と紗理奈、乗り物快斗にカナとサナ。


 ちょっとした食べ物を食べたら「転移」する。


「もう出ようか」


「はい」


『了解です』


「転移」


 着いた時にはみんな揃っていた。


「揃ったね。では自己紹介から」


「リクト、マリナ、ナイル、コウ、レオン、リュウだ」


「竜馬、紗理奈、快斗、カナとサナは寝てる」


「よろしくな」


「よろしく」


 今回のメンバーは結構強いメンバーだ。これなら、あの魔物相手でも生きて帰れそうだね。


「じゃあ、魔道具使って行くから、みんな手を繋いで」


「転移」


 俺はそう小さくつぶやいた。「転移」するための魔道具なんてない。正確に言うとまだ、ないだと思うけど。


 一瞬にして違うところに飛んだ。その事実にみんなが驚愕している。ここで具合が悪い人が出ないことを願う。


「体調に異変が感じたら言ってくれ、ここは闇、魔の属性が強い魔力が通っている。早めじゃないと帰れなくなる」


『紗理奈、聞こえる?聞こえたら心の中で返事してくれ』


『聴こえる』


『紗理奈は魔力の属性が聖寄りだから、ここにいるのきついと思う。だから自分の魔力で体を覆ってくれ。魔力が10分の9くらいになったら言って、俺の魔力あげるから』


『わかった』


 紗理奈は初めて魔力を自分で操作するはずなのにすんなりできていた。これが天才なんだな〜俺はこんな短時間でできなかったもんな。


 あっ魔物、俺の魔力に釣られてやって来たね。こんな調子じゃ、平和じゃなっちゃうなぁどうしようかな?そう考えてた時だった。


「失礼します。私は魔王レオ様に使える執事リオンでございます。以後お見知り置きを、」


 そう自己紹介しながら魔物を倒す。一瞬にして何匹もの魔物を片付けていく。すごい。


「で、レオ様からの伝言です。竜馬とか言う男とその隣にいる女はついてこい。そのオオカミも来てもいいと許可は出ています。それ以外は俺のテリトリーに入るな。だそうです」


「えっと?リクトさん達は帰れます?地図とコンパス渡すんで、俺たちは素直に連れていかれます」


「俺たちは、俺たちで活動してても?」


「いいけど、死なないでね。責任取れないよ?」


「了解」


「行きます。この3人で」


「ではこちらに」


 それを聞くとリオンは魔法を発動させ、転移門みたいなのを出す。そこをくぐる。


 潜った先は、まさに魔王城!暗い色の石で作られた城や外壁などが雰囲気を生み出している。ここは俺にとって最高の場所。


「レオ様に魔王城の案内をし、終わったら部屋に連れてこいと言われております。魔王城見学したら、行きましょうか」


 ここには魔王本人とその執事であるリオンそれともう一人の執事、ケンゴもいるらしい。でも、いるのはその3人だけ、魔王に婚約者はいないし、ろくに必要としている人材は少ないのだとか。


 廊下には蜘蛛の巣が貼ってあり、埃を被ったランプは光があまり通らないので薄暗い。


 案内中に聞かれたのは俺のこと、ここに来ると、大体の人間は壊れてしまうらしい。でも、俺と紗里奈は壊れなかった。だからレオ様が楽しみにしてるとかなんとか。俺たちはとりあえず魔王様に拉致されたってわけ。


 まあ、意外と面白いからいいや。魔王様に会ったら、いろんなことを聞けそうだ。


「俺の配下になれ」


 出会ってすぐ、魔王と交わした会話。第一声がこれだった。なんと性格がひねくれているのだろうか?出会ってそうそうこれではこの人と会話する気にもなれん!


「お前たちの魔力が気に入った。俺のテリトリーでウロチョロしながら俺を監視してるうざい魔物を狩ってくれた恩人だ。特別に俺の配下にしてやる」


「ん?」


「は?」


「ちょっと今はこうゆうのがやってみたいお年頃なのでございます。ここには、目を背けてくださると」


「……」


「俺と手合わせしろ。これは命令だ。弱っちいやつを配下にしても意味がないからな」


「えっと、レオ様?ですか?普通は魔王と人間なので戦うのかもしれませんが、俺戦いたくないです。レオ様?は俺の事をちゃんと見てくれそうですから」


「は?でも、実力を図るためにも戦闘はするぞ」


「どうしてもやらないとおはなしできないのでしたら」


「これをやらないなら大魔王様のところまで送ってやる」


 だ、大魔王様?誰だそれ?そんな人物いないはずだぞ?


「大魔王様の事を人間は知らない。はるか昔に起きた大きな被害を出した真の目的を!俺も知らないけど、だって俺まだこの世にいなかったもん!」


「じゃあ、はじめ!」


「は?っく」


 なんて威力、これは本気でやらないと勝ち目はないな。俺は魔王の攻撃の癖、攻撃の隙などを探す。だが、魔王にそんなものはないらしい。癖もなく、隙も無く、綺麗な剣技だった。俺はだんだんスピードの上がっていく攻撃を受けるだけで精いっぱいだ。流石、魔王というところか。


 俺はスピードの上がる攻撃についていくのに慣れ始め、少しずつだが余裕を持てるようになってきた時だった。


「こーさん、俺はもう全力出した。あんまり喧嘩みたいにしてもしょうがないからね」


「は、はあ」


 魔王の癖に俺たちの事を殺そうとしないんだね。なんか違和感。


「じゃあここじゃあ疲れちゃうからこっちにおいで」


 そういって案内されたのはまたまた不気味な部屋だった。蜘蛛の巣に埃のせいで暗くなった電気、これ、掃除とかしないのかな?


「じゃあ君たちがここに来た理由を当ててもいい?」


「今人間界で変な出来事と噂がながれてるでしょ?」


 なんでわかったのか不思議だった。この子は見た感じ7、8歳って感じだ。実際年齢は違うかもしれないけど。


「あたりだね、その事件に魔王領のものが絡んでると踏んだ。違うかな?」


「その通りだ。俺たちが見たのはここでしかもう実在しない魔道具、古代魔道具が人間界にあったからだ。それで、魔王領にいる誰かの力を借りているのではないかと考えた」


「そうゆう事ね。それなら特別にいいこと教えてあげる。この土地でかかわっている魔族は大魔王、魔王の中ではいない。そして、グリュアーノとこの領地は繋がっている。人間界からしか開けない扉がある。これは人間界のどこにあるかわからないし、俺が確かめることは不可能だ。だから、俺たちが干渉するのは無理がある。魔物の襲撃は俺たちのせいになってるみたいだけどあれ、自然現象だから。魔属性の魔力がいっぱいあれば魔物の襲撃って自分で引き起こせるらしいけど、俺は雑魚の相手すんのは勘弁だからやる気はない」


 それから、大魔王と、魔王の情報をちょっともらった。大魔王の名前はダイゴ、ダイゴの執事の名前はコウキ。魔王は全部で3人、レオとウルハとタケルらしい。それぞれに役割があるらしい、レオはとりあえず敵を倒す部隊、ウルハは作戦考える隊、タケルは情報収集隊だそうだ。まあみんな自分の得意なことをやった結果なんだとさ。大魔王様は完璧超人だから何でもできるらしい。今までに出来ないことがあったのは一つだけだそうだ。


 めちゃくちゃ気になる~


  で、今回の事件は魔王召喚じゃないって言っていた。なぜならこの領地からいなくなった魔王がいないから。で今回のは、あのおばあさんが言っていたことでほぼ間違いないんだとか。で、そのおばあさんに見覚えがあるらしいレオは黙ってしまった。


「う~、誰かのおばあちゃんだったような。あ、思い出した。ウルハのおばあちゃんだった。そうそう、あの事件に巻き込まれて人間やめたウルハのおばあちゃんだよ。やっとおもいだせた」


「てことはこの事件前にもやっぱりあったんだ」


「うん、あったらしい。俺がお腹の中にいたときにあったて言ってたな」


 俺は、自分の情報を開示しながら信頼を得て、情報を流出しながら情報を手にしたのだった。

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