第32話 魔王領偵察

 説教が終わった俺は無事?に戻ってきていた。サボった仕事が溜まっているのでそれを早く片付けないとなんだが、終わらない。たった3日サボっただけなにおよそ1ヶ月ぐらいかかっている。そして大仕事はこれからやってくる。


 魔王領にいくまで残り1日視察に行かなくてはならないが流石に歩いてじゃいけない。そのため「転移」を使いざる追えないのだが、もしも変なところに転移してしまったらと思うと、半端な覚悟では「転移」は使えないため使う気になれないでいた。


 時刻はまだ夜明け前誰も起こさないで出てきた。


 視察はルカさんと一緒なので今は行く気になれば行けるのだが行く気になれない。


「行きたくないですね」


「そうだね」


「夜が明けちゃいますね」


「そうだね」


「死にたくないですね」


「みんなそうだと思うよ」


「頑張れないですね」


「俺戦えないからね。竜馬くん頑張ってね」


「足手まとい背負ってく身にもなってください」


「ちょっとは戦えるし」


「ちょっとしか使えないから、助けて〜って叫んで俺が無茶振りする未来しか見えないです」


「一応ギルド長だし?行かなくちゃいけないよね?報告するのは竜馬くんだけど、出しに行くのは私でしょ?」


「俺が魔道具で録音でもしておきましょうか?1日一個」


「魔道具の金額は大丈夫?」


「諦めて自分で作ってるので安心してください。費用は俺の労働力だけですよ!」


「じゃあ、お金いらないね」


「え?俺、自分で作ってるから材料費がいらないって言っただけで労働力分はもらいますよ。王国に提出しちゃうので再利用もできないですし」


「は?再利用できんの?は?え?どうゆうこと?え?魔道具って使い捨てじゃないの?」


「それを改造したんで何回でも使えますよ」


「それ、後でレポートにして王国に提出してね」


「わかりました」


「他にもなんかあったらレポートにして提出!」


「めんどいので、魔王領から帰ってきて、素材を全て買い取ってくれるならいいですよ」


「じゃあ、行こうか?」


「転移」


「ぎゃー」


「魔物が寄ってくるのであんまり叫ばないでくださいって本当は言うんだろうけど、今はもっと叫んでください。俺が叫んだら喉が死んじゃうんで」


「いきなり転移しないでくれ!俺も叫んだら喉が終わるのは同じなんですけど!」


「ルカさんは声が出なくても問題ないでしょ?」


「問題あるわ!」


「何、会話してくれる人できたの?」


「……」


 反論できない証拠ある。俺が連れて行ってしまうから。


「魔物よってきたので後ろ任せますよ。無理だったら叫んでください。剣じゃなくて双剣にするから」


「最初から本気出してくれ」


 やだ!俺、初めて見る魔物には慎重になるんだ。多分。


 剣を鞘から抜いて構える。向こうはいつ襲いかかってきてもおかしくない。


『みんなこの方は悪い人じゃないよ』


『吸血鬼の言うこと聞けないのかしら?』


 サナ?カナ?どうゆうことだ?魔物を従えられる?


「双子の落ちこぼれ姉妹の言うことは聞くなってご主人様に言われている。指示を聞くことはできない」


『カナ、サナ下がってて』


『わたしたちにも武器ちょうだい』


『こいつらぶちのめす』


 物騒だな!でもいいよ。お金になるから、その分みんなの装備とかにと使えるし、いくらでも狩って!


『じゃあ、この前のお宝の武器か剣でどうだ?』


『そうする』


『同じく』


 俺たちはひたすら魔物を借り続けた。魔王領は一日中暗いから時間がわからない。でも今は四時で、お腹が空いていないと言うことは夕方の4時ではなく、朝の4時だと分かる。


 こんな風に時間を気にしながら狩っていく。俺の魔力に釣られて来てる魔物が沢山いるから、いくら狩ってもいなくなることはない。


「ルカさん、ここで魔法が使えなかったりするんですか?」


「知らない」


「ここの魔物をある程度片付けたら、一回帰ってみない?」


「そうだな」


〈十分後〉


「転移」


 なんで?魔法が使えない?いや違う。魔力回路が遮断されている。何かの術式を使うと使えない。今はわからないけど、わからないと逃げられない。


「魔物が、っ」


 なんで?魔物が強くなってる?帰る手段がない。どうしよう。


「ルカさん捕まっててくださいね」


 俺は一時空に避難することにした。今はルカさん自体も浮いてるから自由に動けるはずだ。


帰れない。これじゃあ、明日までに帰れない。どうしよう?


「どうします?生憎食料はいっぱい取れましたから数ヶ月は持つと思いますよ?」


「これで帰れないの?」


「ルカさんの魔力が持つんですか?」


「飛ぶのより地上走った方が早くなってしまった。「身体強化」が上手く使いこなせるようになったから、時速数百キロくらい走れるようになったんでこっちの方が早いでしょ?」


「その通りだね。私はついていけないと思うよ」


 どうしよう?とりあえずカナとサナに聞いてみるか?


『カナ、サナ?ルカさん運ぶのにいい方法ないかな?』


『あるよ〜』


『あるけど竜馬さんができるかわかんないよ』


『教えて』


 それから名前がないらしい魔法?魔術を教わった。teinté de malって発音してた。「魔に染まるもの」って意味なんだけど大丈夫かな?


『竜魔さんの魔力は魔と闇が多い。だから発動したのだと』


『ゲートって言って』


『行きたい地名を言う』


「ゲート、グラート」


 すると大きな門が出てきた。黒い石で作られた淵に中は紫の霧、なんとも不気味でしょうがないが、ここを通れば帰れると思って通るしかない。


 サナとカナが「アイテムボックス」の中に入ったのを確認して、念のためルカさんに触りながら潜る。


 ここにきた時は毎回これでしか帰れないのか。不便だな〜


「帰ってこれた〜光だ。外の光だ」


「街のど真ん中で太陽拝めないでください。俺はこの空気より魔界の空気のほうが好きだったので意味がわからないです」


「なんで?こんなに明るくて綺麗な世界!なんて素晴らしいんだ!」


『カナ〜サナ〜助けてくれ〜これはどうゆうこと?』


『魔界の魔力に当たりすぎたんですよ。しばらく放置してれば治ります』


『これの付き添いをする者のみにもなれよ!』


『竜馬さん魔力に酔わない。魔王様とお友達になれる』


 うん?魔王様とお友達になれる?どうゆうことかな〜空耳?空耳だよね?


 魔道具スイッチオン!おれは記録の魔道具に魔力を込めて発動させた。


 今はまだ壊れているルカさんの声を録音しながら足を動かす。


 そういや「転移」使えるんだった。


「隠蔽」


「転移」


 俺は早々とルカさんの部屋に転移する。これなら安心してルカさんを見守ってられる。


 俺は実験してみた。どうしたらこうなっても元に戻せるか?


「浄化」


「ヒール」


「夢干渉」


「落とし穴」


 ……どれも効果ない。一番効果なかったのは「落とし穴」だった。痛そうだったけど一番効果なかった。まだマシなのは浄化?これ以上浄化したら心が浄化されてしまいそうだから。されないと思うけどね。念のためね。


〈10分後〉


「あれ?私は何をしてたの?いつのまにかここにいる。しかもこんなど真ん中で?」


 ジトー。俺はルカさんを哀れな目で見てやった。だってほんとにこっちが恥ずかしかった。


「ねえ、竜馬くん聴いてる?なんで俺ここにいるの?」


「魔力にやられて恥ずかしいようなことをフツーに街のど真ん中で叫んでてたんですよ。それを「転移」で連れてきました」


 そう言って俺は魔道具を発動させた。聞くのは何回でも可能なのだ。


「っ……///」


「恥ずかしいでしょ?俺これに耐えたんだからね。これは王国に提出するから安心して」


「次から魔力にやられないようにするから。だから持っていかないで〜」


「だってこれ、いい資料じゃないですか!それに知ってる人のお手本ですよ。魔力にやられた」


「くっそ〜」


 俺は早速王宮の前に行き、面会予約をいつ取れるか確認しに行った。


「転移」


「すみません。陛下への面会、早くていつですか?」


「えっと、名前は?」


 今は竜馬としてきているから竜馬でいいかな?


「竜馬です」


「竜馬様、竜馬様がきた場合は早急に陛下の部屋へお連れするように言われております。こちらへどうぞ」


「ありがとうございます」


〈陛下の部屋にて〉


「今度は何ようだ?」


「魔王領に行くにあたり精神崩壊の恐れがあります」


「ちょっと待つんだ。どうゆうことだ?」


「そのまんまの意味です。精神崩壊、精神が壊れる可能性があると、証拠はこちらです」


「なんだ!これは?みんなこうなるのか?」


「この現象は魔力の属性で起こるか怒らないか決まる。必要属性は魔属性と闇属性」


「そんな人材はいない。でも治るんだよな」


「治し方はわからないですけど時間が解決しますよ」


 俺は魔道具を置いて俺の渡した魔道具は捨てないでくれと言っておいた。カラクリがあるからと。それから陛下から死ぬなよと言われて帰ってきた。


 それと、いい情報をありがとうと、これについては王宮魔道士に知れべてもらうと言っていた。


今日はもう寝ようか明日の出発は早いから。それに家にいるみんなを心配させているかもしれないから。

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