第27話 王族との会談
俺はなるべく早くことを済ませたかったので手渡したいものがあるという理由で面会を依頼した。面会を依頼した1時間後に返事が返ってきて驚いたものの、都合がよかったのだろうと中を開けてびっくりした。今夜の就寝の鐘に会談室にと書かれていた。
場所が分かりずらいところのを使うらしく地図も添えてあった。就寝の鐘まではまだ時間があるからシャワーを浴びても大丈夫そうだ。ここには使用人がいない。というか連れてきてないからいない。俺は親と一緒に寝たくないと言ったので個室がもらえている。抜け出すのは簡単だろう。
もう就寝時間になってるから楽な格好でいいし、手土産はいらない。緊急だったんだろう?
最後に加えられていたのはありがたい言葉だが服装は流石に無理だ。手土産がなくていいのは助かった。
〈就寝の鐘数分前〉
俺は会談室にいた。ここは内密な話をする為にある部屋なのだろう。防音結界が張ってある。これならお構いないなく話せそうだ。
「待たせてしまったかな」
「お初にお目にかかります。アルフ・グラートです。良き出会いに祝福を」
「礼服はいいって言ったのに」
「ですが」
「礼儀がしっかりしている。聞いた通りの少年だったね。竜馬くん」
「っ……」
声にならない悲鳴が上がる。
「なんで分かったかって顔をしているね。アルフ君、いや、今は竜馬くんか全てルカから聞いてるよ。君は転生者なんだろう。それに関しては公表しなくていいがこのような事件の時は力を貸してくれ。頼んだよ。期待してるからのぅ」
そう言って王様は豪快に笑う。俺はルカさんに後で問い詰めようと思う。こんなに人の情報をホイホイあげたのはあなただろう、と。
「では、本題を頼む」
俺は空き時間でまとめた資料を出す。面会がいきなり決まったから、急いで書き写した話の内容と纏めたもの。関わってる国、被害国、この国の協力者について簡単に説明し、魔道具を取り出す。紙を渡し、そしてそれを順番に発動させ、会話になるようにする。一つあたり30分、それを6つだから三時間くらいだ。
「こんな感じです。これは今後の活動に役立つかと」
「貴重な情報をありがとう。君には褒美をあげる。本当は内密に済ましたかったけど、こんなに騒がれている事件を少しでも解明した人を公に出さないと褒美すら出さないダメな王になってしまうからな。今回は大袈裟にやらせてもらうぞ。否定権はなしだ」
ニコーと笑う王様に俺は釘を刺されてしまった。逃げ場なし!
「そ、それはね〜無理というかなんというか……」
「もしや、親に冒険者として働いていることを言ってないのかね」
「うっ、その通りです」
「仕方ないな。今回は竜馬としてではなくアルフとして褒美をくれてやる」
「ありがとうございます。それに加えて延期していただけるとなお助かります」
「むりっ」
この後俺たちは今後の国についてを話した。たとえばもし被害が出るならどこの領地から?とか、国同士で揉めない為にどうしたらいいかとか。
後者は現状を非外国に伝えることが1番簡単だと思う。そう簡単にはできないかもしれないけど、できたらメリットは大きい。自分達が犯人だと言われなくて済む可能性があるからだ。
「今日はありがとう。明日楽しみにしててね。それと楽器の演奏よろしく。ゲストとして出てもらうから」
「ちょ、ちょっと待ってください。楽器の演奏なんて出来ませんよ!第一楽器ないですし」
「ああ、楽器はプレゼントするよ。はい、これでひいてね。ルカがね〜竜馬くんの楽器うまいんだよって言ってた。バイオリンとピアノ弾けたらよろしく」
「えーと、やらないって選択肢は〜」
「ない、命令じゃ。私のわがままにも付き合っておくれ」
「一応弾きますけど」
「竜馬くんの出せる最大の力でやってね。これも命令だから」
これで俺は完全に逃げ道を失った。そしてルカさんの説教の時間が伸びた。5歳児に説教されるなんて可哀想な大人。
今日は朝から夜までずっとパーティー、だからご飯も朝から豪華だった。こんなに沢山の料理があったら食べ過ぎてしまいそうだ。
朝、起きてみればもう準備開始時間だった。
今日は国王陛下に演奏してって言われてたでしょ?それのリハーサルがなかったから、どこかの小部屋で鍵閉めて防音結界でも張りながらリハーサルしようと思ってたんだ。
で、今は本番2時間前。そろそろリハーサルを開始したい。
俺は小部屋に入ると早速鍵を閉め、防音結界を張る。防音結果は俺の作った、俺が前世で習得した魔法だ。失敗した時の感覚なら分かる。
無事に防音結界の発動を終えた俺は早速バイオリンを弾き始める。まずは簡単なコードを弾いて、段々と難しいコードにしていく。これを繰り返したOK
〈2時間後〉
「りゅ、アルフ君君の演奏が素晴らしいと聞いたよ。ぜひとも聞かせてほしい。最高の演奏楽しみにしてる」
陛下〜りゅ、って言わないで〜
俺は国王陛下の横になぜか立っていた。そしてあろうことかプレッシャーまでちゃんとかけてくれた。
陛下からの注文はある曲を弾くこととその曲をアレンジすることだ。無理ではないがやりたくない。こんなに沢山いる中で本気の自分を見せてしまったらどうなるか分からなくて怖い。
もういいやどうにでもなれ!
俺は最初から最高何度のコードで弾いていく。最初は子供がこの曲弾けるのか?と言う声が聞こえてきてたけど、今はそんな声すら聞こえないくらい静かだ。でも、これはこれで面白い、声を張り上げたとしてもこんなに静かなことなんてない。
入れてみたいコードをどんどん入れてく。原曲より1.5倍くらいの長さになってるけど、アレンジしたからと片付けておこう。
演奏が終わった。そして陛下が話し始める。今度はピアノを弾いて欲しいらしい。まあ事前に聞いていたので今は大しておどおかない。
ピアノの椅子に座って、演奏の準備を始める。まだ体が小さくてペダルに足が届かないので補助器具を使う。
ピアノはノーリハーサルなしだから段々と難しくしていく。グリッサンドや和音なども多く入れて綺麗な音を探していく。大体の組み合わせはわかるけど、この音が入った方が綺麗と言うもの入れていった。
そして曲の終盤に差し掛かった。あと少しか。楽しかったんだけどな。曲の終わりもしっかりとアレンジして弾き切った。
「綺麗な演奏じゃった。よかったら演奏してくれるものがいるかね?ルカ、君はどうだ?楽器できただろう?」
そう言ってピアスを渡された。
多分魔道具だ。
周りの反応は良くなかった?のかな?みんながなんか言ってるけど何言って鵜か聞こえない。でも、いいことのように見えない。うー俺の演奏の何がダメだったのだろう?
「えーと、ピアノを少しなら」
「引いてくれ」
ルカさんは渋々と言った感じで演奏を始めた。簡単なところからだんだん難しくなっていく。ルカさんもすごく上手だった。
演奏が終わったルカさんはこっちにきた。
「竜馬くんピアノもバイオリンもすごく上手だったよ」
「ありがとう。ルカさんは帰ったら説教するから覚悟しておいてね」
「え?ちょっと待って、は?どうゆうこと?」
「それすらもわからないんですかい」
「え?何?教えて」
「説教するときに」
ルカさんはしばらく頭にはてなを浮かべたままだった。
「ところで、ここにいるってことは何か意味があるんだよね」
「よくわかったね」
「今日は?」
「上で朝から酔ってる裏切り者がペラペラといろんな情報を話してくれるものでして」
「そうゆうことね。私も聞いていようかな?」
そう話していた時だった。
「アルフ・グラート。前に」
そう声がかかった。
「行ってこい」
「うん」
陛下〜と思いながら俺は前に行く。延期を願い出たのだが……
俺はまた壇上に登り陛下の前で跪く。ここは一応こうしておくに越したことはない。
「表を上げよ」
「其方は古代魔道具の魔道術式を解いた。そしてこの国に新たな知識を与えてくれた。褒美をだしたい。何を望む?学園に行く時に爵位を与える。そのつもりで考えてくれ」
「それでは、ダガーを頂きたく存じます」
「本当にそれで良いのか?」
「はい」
「数日後までには準備する」
俺もなんでこれを選んだかわからないけど、そうした方がいいと心が訴えていたから。それに魔道具はもうもらっている。
俺はこの後陛下に面会予約されて、帰ってくるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます