第28話 パーティー

 今日はパーティーの日、まあ、地獄の日ってことだ。これでも我慢してきたんだから行かないと言う選択肢ないよね。情報収集のためと言い聞かせている。


 今日のパーティーの主催は王族、だから勿論会場は王宮だ。これが大変なんだな〜俺は王宮に行ったことないから、地図見て転移しなくてはならないのでどこに転移するかわからない。


 で、俺は今日貴族としてパーティーに出るから本当は家族と行かなくてはならないのかもしれないが、俺はお母様に問い詰められてパーティー前に体力が尽きるのは目に見えているから、馬車には俺が作った人形が載っている。あと、魔王領にい行くことは親に言っていないから、秘密がバレる可能性を考え、本人が乗るのはリスクがあると考えたので人形を乗せておいた。あから様に違う馬車で行くとか言ったらおかしいから一応同じ馬車……人形さん頑張って、


 で、本物の俺はルカさんのところにいる。二人で行こうと言うことになったのだが、ルカさんは俺を乗り物にするつもりだったらしい。「転移」を使わせて自分は楽しようと言う考えだろう。卑怯だ!


「で「転移」で連れて行けと?」


「勿論」


「今回だけですよ。次からはやりませんからね」


「それと俺、いったことないところはその町のどこに転移しようが文句言えないですよ。これだけは言っておきます」


「いいよ」


「転移」


 転移したら、スラム街だった。ここでは教会から食事が貰えているらしく、そこまで酷いところではなかった。多分教会のおかげだろう。ここのスラム街はまだいい方だ。酷いところなんて本当に酷いから、ちなみにだけど俺の家がある領地、グラート領はスラム街ないよ。


 俺が頑張ってスラム街の人たちを仕事につけ、生活できるように街を広げたりと色々やったからだと思う。まだ、苦しんでいる人はいるかもしれないけど俺にはもうこれ以上は無理だ。自由にできるお金がない。まあ、稼いでいるから最近は金欠になってないし、武器買っても全然残ってるから問題ない。


「隠蔽」


 スラムについた時点で「隠蔽」をかけておけば怪しまれることもないし、危険も回避できる。これであと30分くらい歩けば、王宮に着くはずだ。


 30分歩いた俺はもう足が痛くて動けなかった。これは、筋肉痛とかの方じゃなくて靴が当たって痛いの方。パーティーだから勿論革靴だしね。


 ルカさんは腰痛いと言っている。お爺さん?とからかってみようかな?


「ルカさん腰痛いの?お爺さんになっちゃった?大丈夫?」


「年齢的におじいさんじゃないでしょう?」


「でも、腰痛いのってお爺さんやお婆さんがなるんでしょ?」


「どこからの情報?」


「本」


「本、本ねえ、間違ってるけど間違っていない。普通の労働とかしてなかったら腰痛くなんないし…」


「え?ルカさん誰かにこき使われてるのそれとも奴隷にでもされた?」


「心配の仕方がわざとらしいわ!」


 だそうです。まあわざとだったわけだけどね。よくわかったね。分かるように言ってたけど……


「風気持ちよかったな〜」


 俺は暑いから風を自分に向けて送っていた。そのついでルカさんにもやってたわけだけど、もっとやってほしいと。ゼーっ対やだね。俺は自分でできるから暑ければ風送るけど、俺今暑くないから。


「どうも」


「俺はこの辺で」


 そう言って「隠蔽」を使い、偽物の俺と入れ替わる。これはうまくやらないとバレるからね。リスクが大きい。


 入れ替わったら、術式を解除して平然としていれば問題ない。


「ガルアーク・グラート様、レティートゥア・グラート様、アルフ・グラート様入場」


 俺は想像していたことは起きなかった。俺が入ってきたら悲鳴が上がると思ったのに。そして俺は子供が集まっているところに連れて行かれ自己紹介をさせられた。


「男爵家アルフ・グラートです。以後お見知り置きを」


 何かひそひそ言ってる。


「聴力強化」


 俺は盗み聞きした。聞いてはいけない内容だった。俺は今日、パーティーにしては実にラフな格好をしてるが、それについてではなく、カッコいいだのなんだの言われて作り笑いが崩れかけている。自分でも顔が引き攣ってるのが分かるくらいだよ。


 俺はここから早く逃げ出したくて近くにいたルカさんに助けを求めたら


「子供の会話に大人が入れるか!」


 と、口パクで言われてしまった。俺はしばらく解放されないのだろうか?


 気づいたら女の子たちに囲まれてるし、もうどうしたらいいかわからない!黎明国にいたらしい聖徳太子ではないのでみんなに一気に話しかけられても返事できない。


「あの、話すなら最大3人で!一気に言われてもこの人数だとわかんない」


「えっと」


 と言って、男爵家の子たちだけ残った。まあこの人数ならどうにかなるかな?


 俺は色々な質問をされた。おかげでもうくたくた。挙句の果てには婚約しない?だからね?もう俺無理。で、やっと解放されてので大人の会話を盗み聞きしていきたいと思う。


 まずは話題でよさそうなのを見つける。魔石について話してるのは2階テラスにいる貴族だ。俺はその下に行って、盗み聞きする。念の為魔道具で記録もしておく。この魔道具は俺のお金から出ているけどいい情報があったらお金は返してくれるって。


 座って盗み聞きしていたら、一人の女性に話しかけられた。


「リーラ・スプラです。アルフくんですよね。お時間いただいても?」


「勿論です」


「場所を移して話したいのですが」


「わかりました」


 俺は「聴力強化」に一層魔力を込めてもっと聴こえるようにした。ちょうど話が終わったのか、お酒を入れ始めた。でも、ここだけら聞きたい。


 着いたのは反対側のテラス、こいつ〜マジで嫌味か?


「で、なんですか?あいにく忙しい身なのであまり長話はしたくないのですが」


「残念です。こちらは娘のルーナリア・スプラです。よかったら仲良くしてくださいね」


「……」


「ルーナリア・スプラです。以後お見知り置きを」


「こちらこそ、アルフ・グラートです」


 俺はなるべく早く本題に入りたいのだがなかなか話さない。どうゆうことだ?なんで離さない。もしやこの女と話せと、絶対やだね。こいつの香水の匂い嫌い。それとこいつは騎士爵の人間だ。地位や金目当てなのは分かりきっている。それに俺は婚約するつもりない。次男が生まれたら俺は後継としての権利を剥奪するつもりだ。こんなのに毎回なんて出てられない。


 ここからはもう俺じゃ無理だとわかった俺はもう夜になったのでカナとサナに録音をお願いした。2人は尾行とか上手いから大丈夫だろう。


『カナ、サナこれにちょうど魔反対の魔石について話している奴らの会話収めてきてくれ』


『了解』


『ご主人様のご褒美欲しいからやる』


 これには苦笑いしか出てこない。


 ここで笑ったらおかしいから笑わないけど、相変わらず作り笑いを貼り付けて話を聞いている。俺は話さないよ一言も、これじゃあいる意味ないけど情報に関してはカナ、サナがいるから大丈夫


 こうして女の子の話にひたすら付き合う羽目になったのは言うまでもなく。


 女の子に話しかけられていたおれは気づかなかったが、あの女の子の母親がいなくなっていた。これはまずい、足止めされた。と分かった時にはもう遅かった。いつの間にか連れてこられていたらしい俺の親は顔を見合わせていた。俺がそう簡単に変な人についていくとは思わなかったのかもしれない。


 俺はこの後爆弾発言をされた。女の子は俺が言ってもない事を言っていたと嘘をつきだしたのだ。これにはさすがの俺もあせった。だって言ってもいないことを言ったことにされるんだよ。誰だって焦るよね。


「アルフ様はね私に好きって言ってくれたんだよ?ルーナリア嬉しい。それに婚約しようって言ってくれたんだよ」


「いや、言ってない。俺こういう人間嫌いだし。嘘ばっかり、言ってることが嘘ばっかりだったから俺飽きちゃった。ちなみに吹き込んだのはお母さん、あなたでしょう?俺こんな奴らに騙されないから。それに、俺の仕事の邪魔もされて、時間も無駄にされて俺もう帰るよ。さようなら、次会ったとしたら俺が俺じゃない時だよ」


 俺はこう言ってテラスを去ろうとしたが両親に止められた。


「この子が嘘言ってるという根拠は?」


「じゃあ、こいつの記憶見る?幻滅するよ。顔がちょっといいからって調子乗ってる姿しか見えないから」


 そういって俺は両親に「記憶転送」を使い記憶を無理やり見せてやった。


 そこには親が底の女にいろんなことを吹き込んでる映像が流れているはずだ。男の子に気に入られて婚約をしてもらえるように仕向ける練習をさせている姿、あとはしぐさなどの演技の練習をしている姿、様々な映像が流れている。俺も見ているから同じなことに間違いない。


「……」


 2人して黙ってしまっている。何を見せられていたかわからない母親は娘の可愛さなど色々な自慢をしている。ちなみにルーナリアには映像を見せておいた。だから今青ざめている。


 たまたま通りかかったルカさんがこっちを見ながら通り過ぎようとしたので、助けてくれないと「転移」で送ってやらないとハンドサインで示せば助けてくれた。俺は小部屋にこもって話をしたい。


 さすが王族主催のパーティー、招待された人はみんな王宮に泊まれるという特権付き。王族がパーティーに参加するのは2日目から、だから今日は大してあいさつもないし俺は子供だからという理由で免除されていると思う。邪魔だと言わんばかりにおいていれたもんね。


「あのーりゅ、アルフ君かりていきますね」


「ヤルウィ家の三男様?」


「はい、かりますね」


 そういってルカさんは俺を連れ出してくれた。助かったー急いで向かった先は小部屋、ここは絶対防音の会談室みたいなところだった気がする。


「ルカさん、ありがとうございます。助かりました。婚約詐欺に巻き込まれて香水女と婚約させられるところでした。マジでありがとうございます」


「竜馬君がそれだけ言うってことは相当香水きつかったのかな?」


「ルカさん、嗅覚障害ですか?」


「私の家はお母さまが香水きつかったからあんまり気にならないんだよね。でもまあ、俺でも香水強いな~って感じたってことは相当強いんでしょ」


「マジで、嗅覚障害になるかと思いました」


「で、俺を呼び止めたのはこれだけじゃないでしょう?」


「よくわかりましたね。実はこの会場にあの事件の手引きをしたものが出席している可能性があります。それについて、話していた人がいたのですがあいつらに連れ出されて、今に至るって感じです」


「あーね。で、竜馬君は誰かに聞いててもらってるってわけ?」


「ご名答、俺も避け入れる前までは聞いてたのでわかりますよ」


「教えて」


 俺はあの怪しい人たちから得た情報をルカさんに話した。


 内容はかかわってる国と、被害国、この国で手引きしている代替の人物、名前はわからないが顔のデーターならある。それらを話していく。


 かかわってる国はスプールド共和国、ルーレライノム国、レーティー帝国、ステラ皇国、被害国は俺のいる国ダイカ、グリュアーノ、ウェアラージュ帝国だ。この国で手引きしてるのは金で釣られてだろう騎士爵の人間と王族に恨みを持っている元王族の公爵だ。まあみんなこの国に恨みを持っている人間だ。なんと醜い人たち、


「あーやっぱりか。そうだよね。恨み持ってればこうもなるよね。でもこれでこの貴族を罰せる。君は優秀だね。魔道具で記録してるなんてね~そこまでしてるとは思わなかったね。で、君が王国に提出してね。頼んだよ」


「で、これは俺が王国に提出するなら、後で面会以来出さないとだな~」


「ふぁいと~」


そういって、面会の予約に仕方を丁寧に教えてくれる。俺はやらない予感満載!ちょっとくらい手伝ってよ~


 ルカさんと会話をして終わった。まあ一日目は収穫ありかな?二日目は一番めんどくさい日、頑張るぞー


「頑張って出してくるんだよ」

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