第20話 女同士は分かり合えるらしい
俺は紗理奈が心配で早く家に帰った。ルカさんにはお似合いだ!とからかわれたけど、それは無視してきた。さて、お二人さんは…‥
「りゅ、アルフです」
「入ってらっしゃい」
あ、あぶね〜竜馬って言うところだった。俺は最近アルフより竜馬って名乗ってる方が多いからね〜間違えないようにしないと…
俺が部屋に入ると、楽しそうにお茶を飲んでいる紗理奈がいた。お母様に気に入られてたから今頃死んでないか見にきたのに…これなら心配いらなかったな。
「今までどこにいたの?一緒にこの部屋に来ると思ったのに」
「人形にされることがわかっててここに来る人なんていますか!俺がからかわれてげっそりしている未来しか見えないです」
「や〜ね〜、そんな酷いことしないわよ。人形にするのは否定しないけど」
否定しろ!というか、紗理奈はお母様の着せ替えに耐えたのか?素直にすごいと思う。
「……」
一才の誕生日だよな?俺着せ替え人形にされて大変なことになったの覚えてるんですよ。お母様は俺に話してないから知らないと思っているかもしれないですけど。俺、知ってるんだよ。気絶したの……
「りゅ、アルフ様のお母様は優しいですね。私が平民って分かってるのにこんなによくしてくれます」
「優しい…平民なのにというのは否定しない。だけどそれ以外は優しくない。例えば俺が部屋にこもってる時に挑発と取れる手紙を送ってきたり、俺が一生懸命人形にすんなって言ってるのに聞いてくれなかったり…そのほかにも沢山あるよ」
「まあ、いいじゃない。母親の特権ということにしてちょうだい♡」
お母様の言った言葉の最後にハートが見える。なんか…いいじゃない、許してオーラがすごい。俺がめげろと闇に訴えてる…
「よくないので、この話はまた後で」
「いいじゃないの〜」
「なんか、りゅ、アルフ様とレティートゥア様は仲がよろしいのですね」
紗理奈、めちゃくちゃ俺の名前間違えるね。聞いてるこっちがヒヤヒヤするぜ!しかも俺が聞いてる中で2回ということは今まで何回間違えそうになったのだろうか?
「そういえば紗理奈ちゃん、なんでアルの名前を言う前に「りゅ」って言うの?」
「えーとですね」
(アルフ様、言ってもいいですか?)
(からかわれるのが目に見えてるからヤダ)
(それ以外に答えが見つかりません)
(幼馴染と間違えたとか友達に似てるからとかなんでもいいから言っといて)
俺と紗里奈は目で会話をしていた。これが意外と通じるんだよな。
「んーと、私がよく小さい頃遊んでた子がいたんですけど、その子にアルフ様がそっくりなんです。ちょうど同い年だったし」
うん、いい嘘をついてくれた。これで俺は安心してこれからを過ごせる。
「紗理奈は家に帰らなくていいのか?」
「私は家ではいらないもの扱いなので家にいない方が喜ばれます。私は大してお金を稼ぐこともできないのにご飯はちゃんと食べるからって。私は家族からあまりいい印象を持っていないので」
紗理奈は嘘を言わない純粋な子だな〜今まで話して一回も嘘ついてないや。
嘘をついてるついてないが分かる理由はカナとサナが教えてくれた名無しの魔法のお陰だったりもする。ヴァンパイアの秘伝らしい。そう簡単に教えてしまってもいいのかと思ったりもしたが、俺を信用してくれていると思っておくことにした。
「じゃあさ、俺の専属メイドになってくれない?」
「え〜紗理奈ちゃんは私のです〜」
「紗理奈を助けたのは俺です」
二人でこのような口論を続けた後……
「「紗理奈ちゃんはどっちがいい?」」
紗理奈に話が行き、紗理奈は答えることができない状態が続いたのだ。
「え、えーと」
この後お母様とボードゲームをし、勝った方が紗理奈を専属メイドにできるということになり俺が勝ったのだった。
まあ、このくらい朝飯前ですよ?
ところで、今日俺は新たな発見をした。それは、女同士は分かり合えると言うことだ。俺は男だから分かり合えなかった。でも紗理奈は俺のだから…
紗理奈はこれで家族からの風当たりはなくなったが、この後紗理奈の親が押しかけてくるのは別のお話!
今日はもうお母様に会いたくないので外食にした。早めだったがそれはそれでよし!
「夕飯何にする?」
「じゃあ、出店で何か食べたい」
「今日はメイド就職記念だから好きなのでいいんだよ。新しいメイドさんを歓待しない貴族じゃないから…」
「じゃあトルティーヤが食べたい。安いのに美味しいの」
「へえ、とるてぃーや?」
「トルティーヤね。美味しいの、貴族の人は多分見たことも聞いたこともないと思う」
そうだな、俺もまだ街に出たことないからな。俺のこと知らない人に方が多いだろーな。これからも人前に出ることはしようと思わないから、貴族としては。貴族としての最低限はするけど、
「どこがおすすめの店?」
「そこの突き当たり」
そう言って俺を連れて行ってくれる紗理奈、この街は来なれてるのかな?どうやら店に着いたようだ。
「どれが美味しいの」
「んっと、野菜が沢山入ったのと、鶏肉が入ったのかな?これに辛いのを少しつけると美味しい」
意外と辛いの食べるんだ。俺も結構好きかな辛いの。前世の名残かな?
「すみません。これとこれを二つずつ」
「えっ、あっ、ちょっとえ?」
「違った?」
「違くないけど、そんなに食べられないよ。一つでも結構あるのに…」
「残った分はカナとサナ、俺の仲間が食べるよ」
そういや、快斗が寝てるの忘れてた。ヤベッ、まあ怒られてもしょうがないか…言い訳は快斗があまりにも気持ちよさそうに寝てたから、でいいよね。
「おまちどう」
「ありがとう」
「じゃ、食べよっか」
「うん」
オーこれ結構ボリュームあるな、残ったのはみんなが食べるでしょ。そういやそろそろ夜か、カナとサナも出てこれるかな。
『カナ、サナ?夜だけど外に出る?』
『出る』
『出ます』
術式解除っと…そしたらカナとサナが勢いよく出てきた。
「この二人は特殊な言語がないと話せないんだ。言葉通じないと思う。ちなみにこっちがサナでこっちがカナ」
「よろしくね」
『紗理奈だ。よろしくって言ってる』
「よ、ろ、し、く、ね」
「よろ、しく」
えっカナとサナ喋れたの?人間の言葉…初めて知ったんだけど。言ってくれ〜俺知らなかった。
「これ食べていいよ」
「た、べ、る、」
「いた、だき、ます」
この片言は聞き取りづらい。もうよく分かんない言語でい〜よ〜
「ご馳走様」
「美味しかった」
じゃあ、そろそろ目的の街に行くぞ!そこは、宝の町!
「じゃ、宝の街行くぞ」
俺はお代を払ってみんなをひっぱり、「転移」する。そこはもうやり切った感がすごいところ。
「うわ〜」
「すごい」
「す、ごい」
お宝が見つかるかもしれないところ、自分で探すところ。ぜんぶが興味を引く。ここは誰でも使える稼ぎ先だ。さて今日は何が見つかるかな?
「この洞窟はいらない?」
「ここ、いい」
みんながここいいと言うので入ってみる。見た感じ魔物の気配はほとんどしない、宝を守っている守護神以外は……
「このまま下降りるぞ」
俺は床を抜いて突き進む。そしてそこにいたのは…龍……
「竜ですね」
「(龍ね)」
「(龍ですわね)」
これが倒せると思えないのだが……火龍だね。水が沢山必要かな?必要だね。
「みんな息止めろ!」
「え?」
「は?」
「ん?」
「水よ。我が願いを叶えよ」
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