第19話 メイドに殺された元王族の幽霊さん
「ぐへ、ぐへへへへ」
幽霊なのに、幽霊なのに死んだ部屋から出てる〜!普通でないんでしょ?普通は自分が死んだところから出られないんでしょ?なんで出られるの?ここ門の外なんだよ?なんだよこの規格外で気持ち悪い幽霊は!
ちなみにカナとサナは俺の魔術術式を破って外に出てきている。今日は満月だから力がみなぎっているとか…‥頼もしい仲間のおかげで幽霊相手でも落ち着いてられる。みんなに感謝だ。
俺は聖属性の魔法が苦手だ。紗理奈は魔法なんてできないと思ってやった事なかったらしい。と言うことは俺しか戦えない!
「ぐへへ、し、ね。全員、死、ね」
これ、小さい子からしたら恐怖でしかないわ。しかも腹の出てるたぬきってところがまたね〜恐怖を煽るよね〜
『カナ、サナ、紗理奈を守って!遠距離攻撃もある気をつけろ!』
『わかりました』
『了解です。ご主人様』
ご主人様呼びなんとかなんないのかな…後で言ってみよう。
俺は剣に聖属性の魔力を纏わせる。ナイフや手裏剣でも攻撃しつつ剣で攻撃していく。快斗はさっさと紗理奈を背中に乗せてうずくまっている。戦力外……
幽霊さんは余裕があるようで紗理奈をカナとサナから奪おうとしていた。
ちなみに紗理奈は幽霊怖さに失神中だ。早く終わらせて寝かしてやりたいが生憎こいつが逃してくれそうにない。
「殺せ、しん、にゅうしゃ、を、こ、ろせ……」
この幽霊おかしい。死ぬ気配がない。魔石の位置が違う…のか?魔石があるのは…足の裏・・・攻撃できない。魔力放出で焼く、魔力量ゴリ押しの大技だ。その準備をし始めた時、幽霊が叫んだ。
「グアああああ」
そしたら、大変!沢山幽霊が寄ってきたよ。みんなでお祭りでもやるのかな?俺は人間のお祭りに参加したいな……
「ゔゔゔゔ」
何言ってるかわかんない
「殺せ、殺せ、殺せ…‥…」
殺してやるよ。いつかな
「私可愛いでしょ」
キモい
俺は心の中で幽霊達の言っている言葉を批判していた。
こんなに集まって何するんだろうと思いながら聖魔法を放出する準備をしていた。そしたら、あのたぬきお化けの周りに集まって、段々と小さくなっていった。そのお化けたちはどこに行ったのかと言えばたぬきの鎧になったとしか言いようがないだろう。これじゃあさ俺がどれだけ頑張っても倒せそうにないじゃん!
『ご主人様、加護って持ってますか?』
『確か女神の加護だったかな?持ってるよ』
『それを発動させてみてください』
は、発動?
「女神の加護」
うわっなんか体が光ってる。すげー
「(早く戦ってください、じゃないと加護が切れちゃいます)」
時間制限付きってことか。早く肩をつけよう。俺はためてた魔力を剣に移し女神の加護と力を合わせた。これが、俺の全力だー
「うおおおおおおお」
幽霊達は光に飲まれたどうかこれで成仏してくださいと手を合わせた。俺の願いが届いたのだろうか、幽霊達は消滅していた。
『紗理奈、カナ、サナ、快斗!大丈夫か!』
『無事です』
『大丈夫です。ご主人様』
大丈夫じゃないのが2匹いたな、紗理奈と快斗だ。紗理奈は失神中、快斗は怯えてシャットダウン中……だめだ〜「転移」か〜使って早く帰りたいがな。紗理奈がな〜
『ご主人様の部屋で寝かせたらどうです?』
『うーん、宿を借りるにはもう遅すぎて借りられないし、なにより一人にできないし……カナの意見はいいのかもしれない。俺のベッドで寝かせとくか』
『賛成です』
「転移」
大丈夫じゃない二人と戦力になる二人を連れて俺はギルドに転移した。4人は外で待っててもらって俺は報告してくる。その時、ギルド長に呼ばれたが紗理奈の状態を伝えると返してくれた。そのかわり俺は明日拘束されるけど……
「転移」
俺は確認もせず部屋に入り、紗理奈をベッドに寝かせる。俺のベッドだけど我慢してもらおう。俺は部屋に鍵をかけ、書類と筆記用具を紗理奈の寝ているベッドの横にある机に置く。
『カナ、サナ、快斗は好きにしてていいからな。俺は書類を終わらせる』
水を用意して書類をやろうと一枚めくったら問題集だった。これは前世に知識を使えば簡単に分かる問題ばかりだ。歴史以外は…こんなのさっさと終わらそう!答えはちゃんと抜かれてるらしい。
カリカリ……
時刻はもう夜明け…終わった問題冊子の量は3冊残りの問題集は5冊、流石に終わらなかった。まあコツコツ頑張るか。
『暗いところ入れて』
『ああ、魔物の血も吸っていいぞ』
『うん、飲む』
紗理奈はそろそろ起きるかな?快斗は疲れて睡眠中!俺は徹夜、双子は今から睡眠、休憩無いの俺だけじゃん。
今日は朝食に出るか。紗理奈を紹介しておきたい。そろそろ使用人が動き出すかな。
「ん。」
「おはよう、紗理奈」
「ん、おはよう、ここどこ?」
「俺の家、かな」
「竜馬の家?」
「ここではアルフって呼んでくれ。朝食をここで食べてから帰ったらどうだ?後これは昨日の報酬サリナに全部あげる」
「ありがとう、朝食食べてく」
「じゃあ行こ」
俺は紗理奈を連れて朝食を紗理奈の分もお願いしに行ったのだった。
俺は料理長に頼んで紗理奈の分も用意してもらった。流石に部屋で食べるわけにいかないからお母様やお父様と同じところで食べることになると思うけど紗理奈はテーブルマナーが結構できているから大丈夫だろう。あとは服かな?流石に真夜中意識がないのに着替えさせるのはね、ちょっと…
とりあえずシャワーを浴びてきてもらおう。肌着などは使用人に一応支給されるものの予備でいいだろう。上は俺ので下は…側仕えに支給されているはずのスカートの予備でいいかな。
「そこにシャワー室あるからシャワー浴びてこの服に着替えておいで」
「流石にここまでしてもらうわけには」
「俺の親と一緒に食事になっちゃったんだ。本当は貴族の服で食事をしてもらいたいがこの家に女児がいないから服がない。お母様が見たら着せ替え人形にされると思うから頑張ってお相手よろしく」
過去に事件起こってるからね……
ここまで話して紗理奈は体を洗いに行った。朝食までまだ時間はある。ゆっくりしてくればいい。俺は自分の終わった課題を持っていく準備をし、貴族の服に着替えた。いつものラフな格好は見せらんないからねー
「お待たせ」
「かわいい、似合ってるよ」
「そ、そう」
「じゃあちょっと寄り道してから朝食に行こうか」
俺はそう言って自分の書斎に向かう。紗理奈は確か高密度鉄の武器を持っていなかったはずだ俺が買ったけど使いずらかた剣をあげようと思ったんだ。紗理奈なら大切に使ってくれると思うから…
「これ、やるよ」
「え?」
「俺じゃ、軽くて使えない」
「こんなにもらうなんて「俺じゃ使えないからここにあっても意味ない」
「遅くなったけど、パーティー結成祝いとして受け取って」
「うん」
紗理奈は剣を持って驚いたような表情をした。すごく軽かったんだろう。俺は重さがないと重い攻撃ができないけど紗理奈は素早さでそれをカバーできる。
「じゃあ行こうか」
そう言って昼食を取るための部屋に行った。
「おはようございます。お母様、お父様、紹介します。森で倒れていたので家に連れてきました」
「新たな出会いに祝福を、お世話になります。紗理奈、です」
「あらまあ、アル?もう女の子連れてきたの?早いわね」
「森にいたので助けただけです」
「一目惚れしたのではなくて」
そう言った瞬間紗理奈の様子が変だった。
「ちがいます。お父様も何か言ってください」
「楽しそうだから断る」
「じゃあせめて食事を始めましょう」
そう言ったらみんな席についた。昨日なんも食べてないから腹減った。昨日の夕飯はカナとサナと快斗で全部食べたらしいお陰様で腹ペコだ。
「それと、課題ですか?三冊は終わりました」
「も、もう?だってこれ学園に入学して授業受けないと分からないはずよ」
「残念ながら俺には解けてしまったようです。今まで習った事の応用ですよね?そのくらいなら解けますよ。流石に1日じゃ無理でしたけど」
「嘘、天才だわ〜」
「答え合わせして返す」
「はい」
朝からガッツリ食べた。紗理奈も美味しそうに食べてたから大丈夫だろう。それとお母様と仲がとてもいい。だから俺は何も問われなかった。紗理奈ナイス!
食事が終わったので部屋を出る。その時お母様から紗理奈は昼まで借りると言われたので俺はギルドに行ってくることにしよう。
紗理奈は支度が終わったらお母様の部屋に行った。
「転移」
気持ちよさそうに寝ている快斗を起こさないで転移し、ギルドに向かって歩く。快斗は転移して起きた。季節は夏、流石にわかっただろう。
『竜馬さんひどいです。起こしてください』
『だってもう朝食の時間過ぎてるんだよ。快斗の朝ごはんはこの肉ね』
ちょっと残っていた肉を渡したら一口で口に入れしばらくもぐもぐしていた
俺はギルドに急ぐ。ギルドに入ってギルド長の部屋に直行する。
「入れ」
「失礼します。竜馬です」
俺はルカさんに挨拶をし、紗理奈が家にいることを伝えると昼までに帰してくれるそうだ。ありがたやーと言うことでさっさと要件を済ませていく。
まずは昨日のお化け屋敷の中と、騎士の所在などを説明していく。話し終えた時にルカさんは顔を顰めた。あの俺たちの言った屋敷はもうとっくに壊されているそうだ。その屋敷があること自体がおかしいのになんで騎士なんかいるのかと。でも岸は人間だった。魔力の感じなどから幽霊ではないことを伝えると、幽霊が誰かを呼んでいるのかもと言っていた。一体誰を呼んでいるのだろうか?
一通り昨日の報告を聞いたルカさんは調査隊を出すと言っていた。早めにこの件が終わってくれることを願う。
「ああ、相談なんだがねもう一度…「絶対やりません」
「そこをなんとか」
「食事奢るから」
「お金ならあります」
「紗理奈を婚約者にしてもいいから」
「それは、俺たちで決めます」
「じゃあギルド長の座あげるから」
「お荷物なんでいりません」
「それは私も同じだ〜」
承知の上で言ってるんですね。
「仕方ないので紗理奈と仕事がない時間ならいいですよ」
「本当か?竜馬くんは優しいな〜」
「……」
いつの間にか時刻はお昼前、俺はそろそろ帰らないと…
「あの時間は」
「あ、今日は帰っていいよ。時間があったら帰ってきてね」
「時間がありましたら」
「君には「転移」があるだろう」
「転移」
俺はさっさとギルドを立つのだった。
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