第17話 ギルド長

 俺がギルドの扉を開けた途端声を掛けられた。


「竜馬さん、ギルド長がお呼びです」


 そう言われて途端周囲がざわついた。わざと聞こえるように言っているのか知らないけど全部聞こえている。だが気にしないでギルド長室に向かった。ギルド長のことはヤルウィさんと呼んだ方が良いだろうか。まあ、こっちの方が言いやすい。


 ヤルウィさんっていつも書類に埋もれているイメージしかない。苦労の絶えない人だ。こんなことを考えながら俺は扉をノックした。中からヤルウィさんの声がして、部屋に入るように指示された。


「良かったな竜馬君!君は騎士の方に気にっていただけたからもう一度護衛任務の依頼が来ているよ」


「良くないのは俺だけですか」


 お茶を入れていたメイドがいなくなった後ヤルウィさんは俺に質問した。


「一体何があったんだ?詳しく聞かせてくれ」


「わかりました」


そう言って俺は順を追って説明した。闇属性の魔石を取り出して見つけた時の事を答えていく。聞かれてことに対して答えていくだけだから俺は大変じゃないけどヤルウィさんはメモを取りながらだから大変そうだった。


 次にゾンビを操るゾンビの話。この時はきちんとゾンビの死体を渡した。ヤルウィさんはこんなの要らないって言ったけど研究のためと押し切った。


 その次は騎士との鬼ごっこ。これはお土産なし…


 次は吸血鬼の姉妹カナとサナについての話。これは実物を見せる。


 次は護衛対象の溺れた大事件これもお土産なし、嘘、大きなお魚美味しいらしい。


 次は暗殺者と銃についてこれは銃弾がお土産。ちなみに俺はもう大切に大切に保管してある。


「他に質問ありますか」


「いや、大丈夫そうだ」


「そういや、竜馬君君にこの任務のお礼で渡したいものがあるんだ。受け取ってくれるかな」


 そう言って箱を渡してきた。そこにはピアスが入っていた。これは多分なんか効果ある。


「気がついたみたいだね。これで魔力量と属性を抑えられるんだ」


「こんなの貰っていいんですか」


「君以外に必要な人がいないんだ。受け取ってくれ」


「ありがたく受け取ります」


「そうしてくれると嬉しいよ」


「これって今つけてもいいですか」


「耳に穴開けないとつけられないよ」


「自分でやります」


 そう言って入っていた道具で穴を開けた。そして早速つけて魔力を抑えるのをやめてみる。お、これはすごい!


「魔力に違和感がなくなったな」


 ピアスの形は、十字の飾りがついたものだ。魔法が付与されているのは耳につけているところの魔石だと思う。だけどこれはすごいな。どんな仕組みなんだろう。


 これは片耳ピアスなのでもう片方もなんかいい素材が手に入ったら作ろっと、なれないピアスをつけているがこれで日常生活が楽になるな。


 でも流石にずっとつけているわけにいかないから外さなくちゃいけない時もあるんだろうな。


「で、いい話なんですけど…これを買い取ってください」


「これならギルドに多額の利益が出るでしょう?」


そう言って素材たちを取り出した。全て血抜きされて新鮮な状態で取り出した。


「な」


「これで全部か?」


「この十倍くらいですかね」


「これは変えてやるが、売れたらな。肉は売れるだろうし魔石は王国や貴族が買い占めるだろうし、珍しい素材は研究所に高額で買い取られると思う今度交渉に行くから一緒に行こうか。次の任務までは最長3ヶ月あるしね。ゆっくりやろうか。腐らないのは」


「はい、ルカさんに賛成です」


 こうして俺たちは魚屋肉屋に行って買い取ってもらい利益の4割をギルドと王国に収めた。これは大変だった。昼くらいにギルドに着いたのに仕事が終わったのは、就寝の鐘がなる頃だ。


 お金の計算が大変だった。そしてそのあと俺の次の任務について話していた。まあ、これからの冒険者としての活動についてもだが。

 

 いつまでもソロでやり続けるのはキツい。でもだからと言ってパーティーを組んでもヒミツが多い為ろくに戦えない。


 剣術ゴリ押しは出来なくないが、ダンジョンなどでは剣術以外が使えないことで命取りになるかもしれないだから、新しくできたパーティーに入って信頼できる仲間を探すか、仕事を一緒に受けてもらって、この人は信用できるって言う人を探すか。のどちらかという事になった。


 まあそう簡単にパーティーに入れたら苦労しないんだけどね。ちなみにレベルは9だから歓待してくれるところもあるだろうって言ってた。


 俺は今日からパーティーに入れるように頑張るぞ!


 こうして俺のコミュニュケーションのなさが露わになるなだった。




「パーティーに入れてください!」


「でもな〜お前みたいな小さいのは…」


 これで断られたのは58パーティー目…断られる理由1、小さい!理由2、弱そう!理由3、怖そう!俺のどこが怖いんだ〜小さい弱そうははしょうがないって諦められるよでもさ怖いはないよ〜俺怖くないもん!俺じゃなくて快斗だったりして……それでも悲しい。


 そういやいつも一人でゴブリン討伐してるローブ姿、性別不明、片手剣の人と任務を受けてみよう。俺のコミュニケーション力よ、仕事してくれ!頼む!一回でいいから。


「あの、一緒に任務受けない?」


「君は?ゴブリン討伐なら受けてもいい」


「えっと、俺は竜馬、気軽に呼んでくれると嬉しいな。ん。ゴブリン討伐でいいから受けさせてもらうよ」


「竜馬、一緒に受けようか」


「よろしくね」


 喋らないと有名な紗理奈が喋った〜びっくり!


 ちなみに性別わからないって言われている理由は近接戦闘が超うまいと言うのと誰も声を聞いたことがなかったからだ。年齢は俺と変わらない5歳だ。家が貧しい為働きに出ざる終えなかったのだろう。こうゆう子供は結構見かける。


 この子となら喋れそう。私も早くランクを上げてお金を稼がなくちゃだからいいパートナーになるかな。この子も一人だったみたいだから寂しかったのかな?初めてのお友達嬉しい。(紗理奈)


 紗理奈か、多分黎明国の人だろう。という事は刀とか使うのかな?


 俺は依頼を受けに向かった。紗理奈も一緒に来ている。


「えっと、臨時パーティーでこの依頼を」


「了解です」


「紗理奈さんは次でランク昇格ですね。頑張ってください」


 そう言って奥に入り、手続きを済ませ帰ってきた。


「では頑張ってください」


 そう言って俺たちに手を振った。


「ランク昇格なんだなスゴいじゃないか」


「でもまだFフランクですよ」


「これからも時々よろしくな」


 そう言って目的の場所まで歩いて移動する。移動している時に簡単に情報交換をしてある程度の情報は得た。これなら大丈夫だろう。


 紗理奈は黎明国の出ではなかった。お父さんが黎明国の出だったらしいだから紗理奈っていう名前なんだそうだ。紗理奈のお父さんは有名な侍だったらしい。だけど紗理奈たちを守る為に命令違反し処刑になったそうだ。


「もしよかったら正式にパーティー組まない?」


「ああ、お願いします」


 俺はやっとパーティーを組むことができた。じゃあ、気を取り直してゴブリン討伐だ!


「探知」


「多分この先に巣がある。作戦を立てて行くぞ」


「す、すごい」


「これは簡単だよ。今度教えてあげる」


「いいの」


「勿論」


作戦はこう、俺が先に穴に入り外に出てきたゴブリンを紗理奈が倒す。めっちゃ単純、いわゆる俺は囮というやつだな。


 反対とは言われなかったからOKなんだろう。


「じゃあ行ってくる」


「気おつけて」


「うん」


 さっさと終わらせたい。その為には早くゴブリンを撤去しなくちゃ。


 早く出口を見つけて逃げ出せないように片っ端からかき集めていく。外に逃しつつ俺も倒していく。これなら早く終わりそうだ。中にあったものは高価そうな指輪だけ。


「全部いなくなったよ」


「そう、お疲れ様」


「出土品はこれな。これは君が換金するといいよ」


「いいの?竜馬君の分は?」


「俺はいらないよ。討伐報酬の半分でいいかな」


「だってほとんど竜馬君が倒したのよ」


「いいの」


 俺はそう言って紗理奈の手を掴み転移を発動した。着いた場所はギルドの建物の裏…


「じゃあ報告に行こう」


「え?は?え?な、なんで?」


「後で話すから行こう」


 そう言ってギルドに報告し、ちょっと高級めな飲食店に入った。


「これは俺の奢りだから安心して食べて」


「で、でも」


「いいから、さっきのお詫び」


「うん」


 俺はトマトとベーコンのパスタと紅茶、ストロベリーパフェを頼んだ。紗理奈はカルボナーラと紅茶。俺は勝手にサリナの分のデザートも頼んだ。これはおススメで…


 料理が届いた。


「じゃあ、食べよっか」


「神々にもたらされた食事に感謝を、いただきます」


「あなたは貴族?」


「まあそんなとこかな」


「紗理奈も覚えてみたら?」


「そうする」


 俺たちは楽しく喋りながら食事を摂って、デザートまでもらえないと言われたが無理矢理食べさせたのだった。


 俺にとっては初めての人間の友達だ。大事にしたい。こうして俺の楽しい1日は終わりを告げた。

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