第11話 ギルドへの報告
『竜馬さん、どこまで真っ直ぐ行くんです?もうかれこれ2時間は全力疾走してますよ。竜馬さんの魔力のおかげで持ってますけどさっき魔力ギリギリって言ってましたよね』
『ローレシア、耳塞いどいて。それはな嘘だ。多分だがお前がいなかったら俺は間違えなく「飛翔」で帰らされていた。それを避けるための嘘だ」
『了解っす』
『あら〜、竜馬君あれ嘘だったんですか?なら今から「飛翔」で帰ってもいいんですよ?」
『ローレシア様ご遠慮いたします』
『そういえば竜馬は驚いてくれませんでしたね?私、竜真と契約してるって言ったのに』
「は?はぁーー!?」
『え、竜馬さん聞いてなかったんすか?』
『うん、耳が拒否反応示してたみたい』
『なんとも失礼なご主人様、貴方様のおかげでこの世界に実態を表すことができないってのに』
'
『ちょっと待ってくださいっす。え、この方神界にいた人なんすか?』
『うんそう、こんなだけど一応女神だよ』
『一応ってなんですか、一応って!」
『街が近くなったよ』
『すっとぼけんなー』
はい、無視無視こんなの相手にしてたら街に着くまでに処理できないから。そういえば竜馬の時に使えた魔法が全て使えるっていうことはもしや「転移」や「魔力爆発」「援護魔法」も全て使えるってこと?まじか今度やってみよう。
『街着いたぞ』
さっきの時間二人は盛り上がっていた。流石、異世界人達……俺は話に入れない。コミュ力無いのか?俺…
「検査をさせてくれますか?」
「はい、そちらの連れは?」
「これは俺の仲間だ」
「首輪をつけないと街には入れないがどうする?」
「仮の首輪って買えるか?」
「首輪は無料で渡していますのでそれで良いのであれば」
「じゃあ頼む」
『そういや、お前の名前なんだ?』
『つけてください。ないので』
『そうかゆっくり考えさせてもらう。お前にピッタリの名を』
『ありがとうございます』
「お待たせしました」
「ありがとうございます」
そう言って俺は首輪を受け取りウルフに付けた。重い首輪は嫌かと思ったので「重力軽減」を使ってみた。
そして俺はギルドに向かった。もう夜に近いのでギルドは酒場となるだろう。その為俺は裏口からギルドに入った。受付に行きゴブリンの牙とオーク丸ごとを出して換金してもらうことにした。
「依頼達成ですか?」
「はい、ゴブリンの牙です」
「全部で108、ということは54匹のゴブリンを倒したということですか?これ一つの巣穴ですか?」
「はい、そうですけどどうしたんですか?」
『竜馬君、ほんとーに気付いてないんですね。一つの巣穴にあんなにゴブリンがいることはほぼないんですよ』
「そういう事」
「……?」
『声が出てます』
ヤベッ。まあいっか。
「いや、なんでもない」
「は、はい」
そう言って受付嬢は裏へと入って行ってしまった。
〈待つこと30分〉
「すみません、ギルド長がお呼びです」
「はい」
どうしたんだろ?てかなんでギルド長?俺なんか不味いことした?もうよく分かんない。いいや。どうにでもなってしまえ!
「失礼します。アルフ様をお連れしました」
そう声を掛けたら中から男性の声が帰ってきた。
「入れ」
受付嬢が入ったので俺も中に入る。
「失礼します」
そう声をかけ、名乗ろうとしたら声をかけられた。
「君のことは大体知っている。ギルドに登録したカードを少し見せてもらったよ」
それはやばい。見られたとなるとあれが…あーダメあれだけは勘弁してください。マジ偽造が欲しいくらいだったんだから。見ないでっつっても見ちゃうし、隠すのやめよー。
「私はギルド長のルカ・ヤルウィー、私も一応貴族の出なんだよ。ヤルウィー家の四男。君はお披露目の時に騒がれたというグラート家の長男だろう?」
「その通りです。それが何か関係していて?」
俺は警戒心を丸出しにしながら答えた。だが、意外なことにギルド長は気にしているように見えない。この人は俺に危害を加えるような人ではない気がする。
「君に一つ提案があるんだある護衛依頼を受けてほしい。あんな遠いところにある巣を難なく見つけ出し、54匹のゴブリンを無傷で倒してくるなんて凄いことだろう。この依頼を受けてくれたら偽造カードを発行してあげるよ。君のステータスだと誰ともパティー組めないだろう?」
確かにその通りだ。このステータスを見せるわけにいかないからパティーを組むことは今後もないと思っていた。だがこんなにあっさり問題が解決するなんて…この依頼はただの護衛、守ればいいだけ最悪結界を使いながら戦えばどうのでもなる。
「受けさせてください。カードの件もお願いします」
「了解だ。ではカードは先払いということでこの紙に記入してくれるかな?」
「ありがとうございます」
そう言って俺はカードを記入した。今回の依頼はこのカードで受けることになっているらしい。ランクやレベルはどちらのカードで受けようが共有されている為関係ないらしい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名前:竜馬 ランクF
レベル:3
年齢:5歳
魔力:ーーーー
剣術:並
ステータス:非表示
称号:非表示
仲間:ウルフ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
これで俺の平凡カードができた。やっと安心できる。なんかレベル上がっている。オークを倒したからかな?後ゴブリンもすごい数だったからな。
「では明日の朝2の鐘ギルド前集合だ」
「了解しました」
「あと、君に聞きたいことがある。君は転生者なんじゃないか?その規格外の力、未知の能力…他にも隠蔽で隠しているみたいだけど」
は?なんで?なんで見抜けた。見抜けないようにある程度の隠蔽は使っていたつもりだったんだけど?まあいいやこの人にはどうせバレている。
「そうだ。俺は転生者だよ。人間に殺された哀れな獣人さ」
「すまない。よくないことを聞いてしまったな。だが転生者は10年に一人くらいで現れると言われていたが、100年以上現れていなかったんだ。だから、この世界は荒れ放題だ。これは君がもう少しランクが上がれば分かるよ」
「平気です」
『バレバレな作り笑いですね』
『うるさい』
『すみませんねー』
ぜってー思ってねー。わかってるよ。恨みの人間に転生してでもやり直したかったんだよ!そろそろ帰ろ。俺はこれからもこの人にお世話になる気がする。
「では、家に帰れなくなるので失礼します。明日お願いします」
「明日はよろしくね」
「はい」
そう言って部屋をさっさと出た俺は聞いていなかった。ギルド長がこんなことを呟いていなかったんだなんて
「あの子の魔力は凄い。圧が、量が、いろんなところが規格外だ。あの子は取り入れてみせる。この国の安全の為に他の国には行かせられない」
そして次の日の朝。
俺はギルド長と話した後建物の裏に周り、魔法を発動させる準備をしていた。早く家に帰りたかった。あの事を気にしていないわけではないが周りに迷惑を掛けたとは思っている。1日部屋に籠り切っていると思われているだろうから。
『何をしているのです?』
『新しい魔法?「瞬間移動」かな?』
『そんな魔法あるんすね?』
『この世界にはこの瞬間まで存在しなかったんですよ』
『その件に関しては俺が直接話をする。明日の朝早くはどうかな?』
『了解いっす』
「お、いった」
思わず声に出てしまった。この世界で初めてだから想像ではなく手で描いた。その為時間がかかった。まあそこは見逃して慎重になってただけだから……
俺は「瞬間移動」を発動させた。「瞬間移動」はうまく行ったみたいできちんと今は俺しか入れない鍵のかかった隠し部屋についていた。「転移」と変わらない効果だった。ただ魔力の燃費という問題で考えれば「転移」が良いだろう。
『ねえ、これ便利じゃね?』
『はい、とってーも便利です♪』
ご機嫌そうで何よりです。まあ俺の部屋に探知をかけ、誰もいないことが確認できたら模擬戦用の剣や真剣を取りに行きたい。この服も運動に向いていない為、訓練着を持ち出そうと思う。
「探知」
誰もいないみたいだ。とりあえず家族や側仕えに会わなければいいか?
とりあえず、剣と服、お気に入りだった筆記用具と参考書でいいか。確かこの辺に…あった、あった。これで部屋に戻ればOK、扉の前まで来た時隣にある机の上に食事が乗っていた。お腹も空いていることだしまだ名前のないウルフとご飯を食べるか。俺は置いてあった食事も持って部屋に入った。
『なんか食事が置いてあったから一緒に食べよう。なんか量がすごい多いし…』
『いいんすか?やったーお腹空いてたんですよ』
『それ早く言え!言ってくれたら向こうで買ったきたのに』
『それでしたら竜真さんだって「瞬間移動」?使えるのに使わなかったでしょ』
ごもっともでございます。私も早く思い出していればあなた様の体力を消耗せずに済みました。
『すみません、神界から話している為魔力が膨大に必要だったのですが、魔力切れ起こしました。しばらく休みます』
『お大事に〜』
『早く戻ってきてくださいね』
『余計なこと言うなウルフ!早く戻って来れれると俺はドブネズミ退治が待っている!ドブネズミだけはやだ!絶対やだ。貴族なのにそんなことしてたら外聞悪い』
『すんません。じゃあ変装したらどうですか?フード被れば大体の人からは怪しまれませんよ』
『おーいい案だ。じゃあ明日はなんか服を見にいくか?お前の装備もついでにいいのあったら買おうか』
『いいんすか。ありがとうございます』
じゃあ金も持って来なきゃだな。一応は貴族の長男、お小遣いも貰っている。そういやお父様にやっとけって言われた書類あったんだっけ?あれもさっさと終わらせときますか。
『今日の飯は肉とパンそれに野菜スープか、どれ食いたい?』
『えーと、肉で…というか俺肉しか食ったことないっす』
『じゃあ肉で、俺はそのほかの食べていいか?』
『一応竜馬さんのご飯ですよ』
『こんなに食ったら太る』
そう言って俺は食事の挨拶をし、食事を始めた。目を通すだけの簡単なものはやりながら食べていくその返事は考えてひたすら記憶……
食事を早めに食べ終えた俺は早々と書類に取り掛かる。これはこうでこれはこう……よしできた。これで書類は全て終わり…紙になんか書いとくか。
書類は全て終わらしておきました。食事ありがとうございます。美味しかったです。明日も夕飯お願いします。他に書類仕事がありましたら前の机に置いておいてください。剣や魔法の訓練はしていますので心配しないでください腕は鈍りません!
と、これでいいかな?これを机の前に置いておけばいいかな?俺は「探知」で人がいないか確認したら外へ出て机に食器と書類を置いておく。
『えっと〜俺のこと忘れてません?それにしても書類仕事早いですね。あんなに束になってたのに……』
『まあ、あれは一週間分だったし?まあ多いのかな?』
(多いのか?で済ませないでください)
こんなウルフの心の声は無視して名前の候補を上げていく
『なあウルフ名前どれがいい?快斗、アルト、湊‥‥…どれがいい?』
『数が多すぎて…でも一番ピンときたのは快斗ですかね?』
『じゃあ、快斗で決定な』
ウルフの名前なカ快斗で決定!これは俺が気に入ってる名前だったから嬉しいな。
これはこれは7年前のこと……前世の時だね。快斗って名前かっこよくないか?と親友に言ったら、ビミョーな顔をされてしまった。何故だかわからないがダメだったみたいだ。その後俺はネーミングセンスが無いと思って名前を口にすることは無かったのだ!はっはははははは〜
ネーミングセンス悪いのは笑い事ではないぞ!深刻だぞ!
それは置いておいて明日は任務、早めに寝て明日の備えることにした。
『快斗そろそろ寝ようか』
『スピー』
『もう寝てる、ということで俺も睡眠に入りますか』
俺たちは明日に備えて早々と寝ることにしたのだった。ちなみにお風呂はギルドで済ませてあります。綺麗ですよ?
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