第9話 お披露目会後の生活

 お披露目が終わって次の日の朝、俺は鍵のかかる小部屋にいた。魔力のことでではなく、あんな荒れている俺を見せて普通にするなんて無理!こんな状態だった。いわゆる引きこもり……


「失礼します。アルフ様お目覚めのお時間です。あれ?いない…アルフ様いらっしゃいますか」


 物音がする。多分探しているのだろう。俺は物陰に隠れたりしない、そんな簡単に見つかるところにいない。簡単に見つかったら引き摺り出されるのも時間の問題だ。


「あれ?あの部屋だけ魔法が掛かってる。アルフ様はここですかね」


 答えはしないが「正解」俺があの後やっていたのは部屋に魔法を掛ける事だったらしい。覚えていないがローレシアと考えてたのは確かだ。


「魔法を解いてみますか?私だって魔法使えるんですからね!一応10個上ですから!」


〈30分後〉


「全然分からないです。こんな組み方見たことありませんし……一つも解けないのは悲しいですが、アルフ様の状態を報告しなくては!」


 やっと行ってくれた。これで俺も問題なく活動できる!ローレシアは魔法を教えてくれると言っていた。今日から訓練開始だって!その前に準備は必要だけど


(ローレシアこれで訓練できる?魔法解けないこともわかったし)


(はい、大丈夫ですよ。では隣町の冒険者ギルドに行きましょうか?この町で目撃情報出たらまずいですから。じゃあギルドに登録できたらまた呼んでください)


(りょーかい)


 一番遠い隣町には徒歩で6日半か……って遠い!「身体強化」して走って29時間、「飛翔」を使って16時間……魔力消費が激しいのは身体強化、技術が必要なのは「飛翔」どっちにするか……


(なるべく早く着いてくださいね。時間が勿体無いので)


 早く言え!じゃあ「飛翔」だね。早速窓からレッツゴー!


 16時間後……ハアハア疲れたー!休憩しようとしたらローレシアが休憩禁止って、これも訓練だからって。もう無理ーすんげー体だりー。


(お疲れ様でした。では早速ギルド登録をしましょう!ギルドの場所は分かりますか?)


(うん、分かる)


アルフ君の現実逃避になってるみたいでよかったわ〜


〜ギルドにて〜


「今日の用事はなんですか?」


「ギルドの登録を」


「ではこちらの紙を記入してお待ちください。必要な書類を持ってきますね」


 よし、かけた。こんなんでいいのかな?記入物って少なくない?名前、年齢、レベル、魔法が使えるか否か、剣が使えるか否か。俺は貴族出身の為どちらも使える。


「お待たせしました。では拝見させて頂きます。おかしなところはありませんね。ではこれに血判を押してください」


「はい、わかりました」


「礼儀正しいですね。字も綺麗ですし…貴族出身ですか?」


「まあそんなところですかね」


「あ、いけない冒険者の方にこんな質問はご法度ですね」


「気にしないでください」


 会話をしながら血判を押す。するとカードが光った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前:アルフ・グラート   ランクF

レベル:1

年齢:5歳

魔力:ーーーー

剣術:最強

ステータス:非表示

称号:非表示

仲間:女神

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「このステータスカード見せないとダメですか?」


「はい、ダメですね。会員登録しますので…」


「なるべく見ないでください」


「は、はい」


 どういうことだろう。まあいいよね。


 そう言って受付嬢は奥に入って行った。その後悲鳴が聞こえたのは言うまでもなく……


(だから言ったのに、みるなって)


(しょうがない、しょうがない)


 しばらく待っていると受付嬢が出てきて、カードを返してくれた。それに説明書を加えて。


「このカードは無くすと再発行できないので気おつけてくださいね♪では依頼は掲示板からお願いします。詳しいことはその紙に書いてありますので、では」


 ここから俺の初めての冒険者生活は始まる。

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