第4話 誕生日パーティー
あの後俺が気絶して大騒ぎになり着ていた女の子の服でパーティーに出る事になってしまった。第二の人生初めての誕生日が女装してなんて嫌だよ。どうせならフツーの服で出たかったよ。
気絶するという事件が起こってはいたが、パーティーは無事開催することが出来た。服装は無事じゃないけどね。ちゃんと女装したまんまですけどね。はじめにお父様とお母様からお祝いの言葉があり、プレゼントを貰った。側仕えからも代表として俺の筆頭側仕えリョウナからお祝いの言葉とプレゼントを貰った。みんなからプレゼントを貰って女装のことなんか頭に無くなってしまった。
「アルフ今日は誕生日おめでとう。お前がここまで元気に育ってくれて嬉しいよ。これは俺からのちょっとしたプレゼントだ。大きくなったら使ってくれると嬉しい」
「アル〜お誕生日おめでとう。これは私が今までで一番上手に出来たドレスよ。きてくれると嬉しいな」
「おとーさま、おかーさま、あいがと」
プレゼントを早速開けてみるとお父様とお母様からのプレゼントにはこれから必要になるであろう筆記用具や魔石、フリフリのレースがついた可愛らしいドレスを貰った。こらは素直に嬉しい、ドレス以外は。
「アルフ様、お誕生日おめでとうございます。代表してアルフ様の筆頭側仕えジャイネがお祝いの言葉を言わせていただきます。アルフ様はこの一年でとてもご立派になられました。これからもアルフ様の役に立てるよう精一杯支えさせていただきます」
「「「「「お誕生日おめでとうございます」」」」」
「ジャイネ、あいがと みんなもあいがと」
「キャーかわいいです」
「こんな可愛い生き物いるんですね。可愛すぎます」
流石にそんなに可愛いと言われると流石に男でも照れるぞ。まだまだカタコトな言葉だが喋れるようになっただけマシだろう。
側仕えからのプレゼントは女性陣が刺したと思われるハンカチが沢山に、男性陣が作ったと思われる木製の色がついた積み木に椅子だった。俺は小さいので大人と同じ椅子にはまだ座れない。そうなると必然的に床に座る事になる。それを見て作ってくれたのだろう。優しい側仕えたちだ。ハンカチはこれからいくらでも使うだろうからどれだけ貰っても困らない。積み木は嬉しい。暇つぶしにぴったりだ。
いくら歩けるようになったとはいえ一人で歩く事はあまり出来ない。なぜなら俺は棚に頭をぶつけて後ろに倒れたらちゃんと歩けるようになるまで部屋の外で歩くの禁止という親バカなルールがついたのだ。
プレゼントを開けて満足したところで料理が運ばれてきた。いつもより一層豪華な料理だった。俺は側仕えに食べても良い料理だけ取り分けてもらう。今日は俺の誕生日だからいくら料理を食べても怒られない。この後はデザートがあるので少しお腹を開けておかないとと思っていたけど美味しくてつい食べ過ぎてしまった。でもデザートは別腹!
ちなみにきょうの料理はトマトがたくさん乗ったマルゲリータ、名前のわからないドレッシングのかかった美味しいサラダ、チーズたっぷりのミートドリア、俺の好物のコーンスープと玉ねぎスープ、カレー風フォッカチャ、ナン、カレーなどよくわからないが多分、栄養バランスや合う合わないを考えずに俺、お母様、お父様の好きな料理が並んでいるのだろう。まあこれはこれで美味しいものがたくさん食べられていいな。
今日は特別な日の為、側仕えや文官もこのパーティーに参加している。騎士の方達は違うところで警備をしながら交代で食べているそうだ。流石に屋敷を無防備にしない。だから料理の数が多くてもOKだったのだと思う。
この屋敷にいる使用人は騎士を抜いて143人貴族の中では少ない方だ。騎士は300くらいいるのかな?全員の顔を見た事があるわけでは無いので分からないが300は確実にいる。
そして最後の食後のデザートといえば……ケーキ、ゼリー、プリン、マカロン、フルーツポンチなどなど沢山出てきた。これはもう食べたいものを食べても大丈夫だろう。俺は満足するまで食べ続けた。
パーティーもそろそろ終わりかなと思ったら。扉勢いよく開いて騎士の方たちが数名入ってきた。
「アルフ様、お誕生日おめでとうございます。これは私達からのプレゼントです。アルフ様が早く大きくなられて私どもと模擬戦ができる事を心待ちにしております。では私達は仕事の途中なのでこれで失礼します」
あまりにいきなりの事で頭が追いついていない。お父様やお母様、使用人の方達もだ。
騎士の方達は大きな箱を3つ置いていった。それを開けたいと訴える。
「あれ、みたい。ジャイネ、い?」
「はい、いいですよ」
そう言ってジャイネは俺の所に箱を持ってきてくれた。その中に入っていたのは、模擬専用の剣と子供でも使いやすい軽い木剣、シンプルな銀の剣が入っていた。
「しゅごいね。これしゅごい」
「ええ、すごいですね」
「アル、プレゼントの中でこれを一番喜んでるでしょう」
「みんな嬉しい」
「ほんとかしら」
「ん」
俺は銀の剣に触れた冷たくてカッコよかった。今まで使ったことのない材質の剣はとても使いやすそうだった。この剣をくれた騎士のキルトさんサイコー
「キルトのやつ、この子になんてものを討伐しろと言ってんだ。あんなとこにいる怨霊なんぞ自分で倒せるだろうに。意味のわからないやつだ」
こんな事を聞いてもなおこの剣を貰ってよかったと思えるのは俺だけだろう。俺はいろんな魔物と戦ってみたいんだ。
「あらあらこんなに目を輝かせて、アルはやっぱり男の子なのね」
俺は剣に夢中で聴こえていなかったがお母様がこんな事を呟いていて、それに父も賛同していた。
そろそろ仕事終わりの鐘が鳴る頃になると、パーティーの片付けが始まった。食器の片付けはもう終わっているので、後はパーティー会場の装飾を外すだけだ。なのですぐに終わり、側仕えも帰れるだろう。
俺は就寝の準備が終わったので今日もらったプレゼントで遊んでいた。積み木をたくさん積んでみたり、魔法で浮かせてみたりしていた。
就寝の鐘がなると俺は寝台に連れていかれ、読み聞かせが始まる。寝る前なので5ページだけという約束で。まあ子供に読む話なので5ページもあれば終わってしまう。挿絵などは入っていないから話が短ければ早い。
こんな感じで寝る前は過ごし、お話が終わったら目を瞑って考え事だ。これは竜馬の時からの癖で毎回考え事をしながら寝ている。こうしていると落ち着いて寝れるということがわかった。初めのうちは悪夢にうなされている事がよくあったがこの寝方をし始めてからは特に何も起こっていない。
俺はもう1歳になったのだ。もう一人で寝れる、いや寝れない!
俺は眠りについた。この日常がずっと続く事を願って、もうこれ以上竜馬みたいな人が現れない世界を夢見ながら。
この頃アルフの部屋を魔法を使って覗き見ている連中がいた。その人たちは男で柄が悪そうだ。出来る事なら関わりたくないと思うだろう。だが、この者たちはいくら柄が悪そうでも一応貴族の代理としてやってきている。だから追い返すわけにはいかない。これからアルフに降りかかる危険を回避する為に頑張って貰わなくてはならない。
貴族社会地は面倒なのだ。いろんなしがらみがありいろんな考えをぶつけ合う仲間とでも言おうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます