第5話 5年後の生活

「う〜ん」


 グラート家の一室で心地よい朝を迎えた。


 ここに転生して早5年


 この世界は快適で自然が多い、しかもグラート領の民はそこまでお多くないが賑やかでいい所である。


 主なスケジュールはこんな感じだ。午前中は勉強で主に魔術、魔術具の作成、算術、周囲への振る舞い方、ダイカの歴史、世界の歴史、音楽などを勉強している。午後からは剣術だ。素振りをして父上やキルトに相手をしてもらう。そして、仕事の時間が来ると仕事の手伝いをさせられる。仕事の終わりにお祈りも忘れずにね。


 俺はお父様に勝てたら合格で、合格したら一人で狩をしていいって言っていた。早く一人で狩に行ってみたい。狩りというのは心が踊る。だから毎日頑張っている。


 怪我をする事なんてほとんどない手合わせする時に木剣が当たった時ぐらいだからあんまり多くない。お父様もちゃんと手加減してくれているからね。


 朝起きると何故かお母様が俺の部屋にいることがある。毎日って訳でもないけど結構いる気がする。まだ、俺の準備が出来てからならいいのだけれどまだ、寝ている時に来るから困るんだ。で、そんな事件がよく起こるんだけど……最近はお母様がくると分かるようになってきた。ある意味成長した、と思う。


 人間が来ると分かる能力を俺は人間察知と呼んでいる。人間察知は戦闘にも役立っている。これはスキルではなく第六感だが……

 

 ちなみに俺の筆頭側仕えのジャイネが指示を出して準備を整えてくれている。


 朝起きたら、ゴテゴテとした服に着替えさせてもらい顔を洗って身なりを整えたら朝食のために長テーブルのある部屋へ行き、朝食をとる。


 朝ごはんは、主にパンだ。いろいろな形といろいろな味がある。たまにフレンチトーストのようなものが出る。フレンチトーストにジャムや砂糖、果実などを添えて食べる。俺は果実を添えて食べるのが好きだ。母上は砂糖とジャムを父上はジャムを添えて食べるのが好きらしい。飲み物は、主に果実水で食器は箸、スプーン、フォーク、ナイフを使う。


 いつものように朝食を終える。そしてお茶を飲みながら世間話をし、家族といられる楽しい時間だ。この時間は唯一、家族と世間話や情報交換をする大事な時間だ。今まで、この情報にどれだけ助かったことか。この場ではいろいろな視点から見た情報がある。どの情報が合っているのかわからないからこそみんな慎重になる。


 そして次は勉強だ。教師はローラマイナ。10歳になると学校に通う。学校は魔力量や知識の量で学校が分けられる。俺は頑張れば上から2番目の学校に通えるって言われた。魔力量の関係で、一番上の学校は無理だろうとのことだ。生まれが中領地だからいくら魔力量が多くても、一番上の学校はいけないと言っていた。


……ステータスを見ているとそうでもなさそうだけど


 小領地だけどある程度栄えていて人口も、収入も、魔力の奉納状況もしっかりしているから中領地でも大領地に近いのだ。足りていないのは領主一族だけ、だからなるべく多くの子供が必要とされている。俺の両親はまだ若いから後2人くらい子供を作ることが出来ればとよく言われている。跡取り争いがあるかもしれないが、大領地になれる方がいいのだろう。


 俺自身は兄弟が増えるのは大歓迎だ。一人は寂しいからね。お家が賑やかになるのは楽しみだ。


 後取りになれるように今から教育も頑張ってるんだ。だから、絶対後取りになってみせる!


「ここの計算わかんなっ」


(なんだこれ)


今は、課題をやっている最中だ。多分だけど、これはどこかの学校の問題だなっ…てどっからこんなのでてきたんだ?習ってね〜の出すんじゃねぇってものすごく思うの俺だけですかね?


 ローラマイナさん?あなたはこうゆう事よくするんですけど趣味ですか?俺の頭がパンクしちゃいます。勘弁してください。必殺技!前世の記憶!


「・・・」


「おしまい」


 そして、家族と昼食を取る時間になった。


 俺の好きなメニューはハンバーグと玉ねぎスープだ。ハンバーグはいろいろな種類のタレがあって俺はトマトとチーズのタレが好きだ。


 たまに父上が狩をしているみたいで、父上の取った獲物が出てきたりする。父上は狩が上手いから美味しい肉が手に入る。俺も早く狩に行きたいと獲物を見るたびに思う。


 そして昼食が終わったら、お茶を飲みながら勉強の進み具合を報告して褒めてもらうんだ。


 そのあと父上に剣術を教えてもらう。まずは、素振りを100回やって、基本の形の練習をする。4歳まではここまでだったけど、今年から手合わせまでやることになった。初めての時は10秒くらいで俺が負けていたけれど最近は手合わせっぽくなってきている。魔力を使わずにやるのは難しい剣に意識していると魔力がダダ漏れになる。ダダ漏れになると俺が勝てるけどそれはルール違反だ。魔力がダダ漏れになると相手の身動きが取れなくなるみたいだった。人間に魔力は見えないらしいけど俺には見えるんだな。これは俺だけの秘密だけど、魔力が漏れ始めたら魔眼を通して視力強化をすることにした。魔眼を通す事により多くの魔力を消費する。そうすれば魔れる魔力を有効活用できる。


 鍛錬が終わったら仕事の時間だ。これは俺が嫌いな時間だ。よく分からない書類を写すだけだ。これは鐘の音で区切られている手伝いだからね、お菓子ももらえる。やった量が多い日はいっぱいお菓子がもらえる。たまーにお金だけど。仕事が終わったら夕飯だ。


 仕事が終わったら、お祈りする。お祈りしている女神は、この前会った女神っだったりして、そんな事ないか


 朝と昼よりも豪華なご飯だ。夕飯だけは、何が出るのか予想できない。いつも見たことがないような料理が出てくる。名前もいまいちよくわからない。


(でも美味しいからいいんだ〜)


 その後は湯浴みをして寝巻きに着替えれば準備完了。それが終わったら自由な時間だ。いつも、魔石作りか読書に励んでいる。


 自分の魔石を作るのは簡単で、魔物から得た石(魔石)に特殊な液を入れて魔力を注ぐだけ。学校で使うのだそうだ。何に使うのかわ知らないけど……


 読書は父上に課題として出されたものが多い。特に魔術についてが多い気がする。秘密で魔術の演習をしていたら大変なことになった。水魔法を使ってびしょびしょになったり、風魔法で吹き飛んだりと大変なことになった。たまーに魔術の練習をしているけれど魔術で髪を乾かすのが出来るようになるのは大変だった。魔力量が多いからだろうか、調整が難しくて周りのものが大変なことになっていた。側近の誰も使えなかったから教えてくれる人がいなかったからね。それでも乾かせるようになったのだから万々歳。髪を乾かす魔法が使える事を知っているのはジャイネだけだ。


 こんなふうに過ごしていると鐘がなる。鐘がなったら寝る約束だ。鐘が鳴ってから少しして側仕えが見にくるのだ。寝ていないと本を没収されたり魔力奉納をやらせたりするのだ。魔力奉納は1人でやるのだけれど、どのくらい注いでいいのかわからなくて困る。


 俺の魔力は底が見えない、ほとんどの子供が生まれた時点で魔力量が確定するのに、俺は今だに魔力量が確定しない。これは女神様からの贈り物だと俺は思っている。人間離れした記憶力に、戦闘力、魔法の才能もずば抜けている、らしい。周りのレベルを知らない俺はわからないが…この事を両親は誇らしく思っているらしく、周りからの嫉妬が絶えない。というか、言いふらすな。


 こうやって忙しくしているうちに1日が終わりを告げる。


 お披露目会まで残り1ヶ月、場所は王宮だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る