第2話 新しい日常

数百年も続いたダイカ王国とステラ王国の戦争も終わり平凡な日常が戻ってきた。ダイカ王国、グラート領において新たな命が生まれた。


「おぎゃー、おぎゃー」


「おめでとうございます奥様。元気な男の子でございます」


白い天井に豪華なシャンデリア、それに絵に描いたような美しさの女性。多分俺の母親だろう。そして嬉し涙を流して顔をぐしゃぐしゃにしているのが父親だな。名前は…わからん!


「この子の名前は何にしましょう?」


「この子の名前はアルフ、アルフ・グラートだ」


「アルフ、気に入りましたわ。貴方の名前はアルフですって。ガルアーク様がつけてくださいました」


頭を撫でてくれた。名前をつけてもらった瞬間俺の前に透明なプレートが現れた。それはステータスというもので、俺の能力が書かれていた。


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名前:アルフ・グラート 年齢:0

レベル:1/∞

性別:男

体力:543

魔力:ーーーー

属性:闇 水 炎 土 雷 風 命

素早さ:738

防御力:126

〈スキル〉

錬成、治癒、魔力暴走、肉体強化、未来予知、スキル習得、神の声、魔眼

〈称号〉

女神の加護

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俺は魔眼を試しに使ってみた。すると魔眼で見た人の情報が見れたのだ。他にも使い方があるのだろうけど今はこれで十分だ。


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レティートゥア

レベル:35/50

性別:女

体力:68

魔力:540

属性:聖 水

年齢:18

素早さ:123

防御力:36

〈スキル〉

レベルの違いがあり過ぎて表示できません。

〈称号〉

命の神の加護(子供を授かるともらえることが多い)

〈爵位〉

男爵夫人

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ガルアーク

レベル:75/75

性別:男

体力:359

魔力:152

属性:闇 炎 風

年齢:21

素早さ:563

防御力:983(防具なし)2591(防具あり)

〈スキル〉

レベルの違いがあり過ぎて表示できません。

〈称号〉

低級神の加護

〈爵位〉

男爵位

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なんじゃこりゃお父様の「低級神の加護」って何?俺「女神の加護」だったよね?ヤバくない。俺暗殺されたりしないよね?一応両親の情報は得られたみたいだ。これは女神様のお陰かな?普通こんな事出来ないもんね。なんか俺、ステータス凄いことになってるよね?気のせいであって欲しいけど気のせいではなさそうだよな…さようなら俺の平和な第二の人生……


「リョウナステータスを」


「承知しました」


さてさてこの人は誰かな?


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リョウナ

レベル:45/45

性別:女

体力:148

魔力:450

属性:命 炎 風

年齢:21

素早さ:328

防御力:452

〈スキル〉

レベルの違いがあり過ぎて表示できません。

〈称号〉

中級女神の加護

〈職業〉

男爵様の筆頭文官

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いつの間にか魔法を発動させていたらしいお父様の筆頭文官、リョウナはステータスを見た瞬間に固まったしまった模様。周りを見るとみんなそうだった。お父様はなんとか口を開いた。


「規格外過ぎて何も言えぬ」


「ガルアーク様のお子様は流石でございます」


「初めて見るスキルばかりですね」


だって。俺はなんか凄いらしい。眠くなってきた〜そろそろ昼寝の時間かな?それにしてもこの体は便利だな。これなら転生者であることは当分バレなさそうだ。おやすみなさい。Zzz


その日、俺はとても幸せな夢を見た。


アルフが寝ている頃、お祭りがやっていた。アルフの誕生を祝う宴だ。宴といっても名前を公開するだけの簡単なものだ。正式なお披露目は5歳の時、ある程度知識や作法が身についた頃だそうだ。


「 グラート家の新たな命に祝福を!名はアルフだ。これからよろしく頼む。ここからは平民も貴族も一緒に楽しもうじゃないか」


「「「「わああああああ」」」」


このささやかな宴の中、他国の者がこの宴に参加していた。今はまだ、この事を知るものは誰もいないただ1人を除いて……


数日後


お母様レティートゥアの部屋に俺はいた。俺の部屋の家具を入れるためだと思う。そこにお父様がきた。


「レティートゥアアルフの様子はどうだ?」


「アー」


声を出してみた。ご満悦な表情を見せながら。赤子とは暇なものだ。なんせやる事がない。寝て食って笑っての繰り返し……


「アルったらもう声を出すようになったのですよ」


「それは凄い。元気そうで安心したよ」


人間の世界は凄い。今まで見た事がないような物がたくさんある。俺が一番驚いたのはシャンデリアかな?一番豪華そう。この様子を見ていると飢えなんて嘘のようだ。もしこの生活が崩れるなら俺は全力で阻止する。どんな手を使っても。


その時が来るまでに飢えを凌ぐ為の準備を進めていこうと思う。冒険者になってお金を稼げば他領からの輸入が可能だし、魔法で田畑を作って食料自給率を上げ、貯蔵しておくのもいいと思う。腐らないようにするのは一時的に俺の魔力でどうにかすればいいから。


冒険者にはなってみたいがこれは夢のまた夢だ。年齢もそうだが、両親が許してくれないだろう。貴族なのだから、といって。


こんな毎日を送れるなんて俺は幸せ者だ。平凡な日常が戻ってくるなんて死んだ時点では思ってもみなかったから改めて幸せだと実感出来た。


そういえば女神様から貰った膨大な書類といっていいほどの量がある手紙とは思えないあれは、まだ読めていないというかどこにあるのかすら分からない。


ちなみに、この世界の共通語は日本語だ。この領地の言語もあるみたいだけど、それはまだ読んだことも見たこともないので分からない。


とりあえず俺はこの体が早く大きくなる事を願っていた。何故なら何にもできなくてものすごく暇な時間をしばらく耐えなくてはならないのだから。会う腰くらい期待したっていいはずだ。なんせ俺は頭だけ異世界人だからだ。


さっきからずっと一緒に俺のことを見つめているお父様とお母様を無視して睡眠時間に入ることにしよう。じゃあおやすみなさい。


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〈女神〉

あら、もう私の領地に虫がよってきてしまったみたいです。アルフ君はまだ小さいので戦力になりませんし、奥さんの方は出産直後なのでなんとも言えませんし……グラート領はどちらかというと武ではなく文ですからね。兵も少ないですし……ちょっと私の力で領地を守らせていただきましょう。アルフ君はまだ小さいので私がお守りいたしますわ。そしていつかアルフ君と一緒に冒険をするのです。絶対に、絶対にするのですわ。

おほほほほ……

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