Shangri-Laの野望 Ⅲ

「素晴らしい力だ。そこら辺のギフトに振り回されるホルダー擬きとは違うな」

「……突然、なんですか?」


 姿が見えたなかったシャングリラが、突然虚空から姿を現した。普通に考えたら罠でしかないのだが、なんというか無警戒過ぎて本当にこちらに向かって話しかけているだけな気もする。それでも、一定以上の距離に踏み込んでこないのは僕の時間停止対策なのだろうか。どちらにせよ、簡単に空間と融合することができるシャングリラを捉えることは簡単ではない。


「神から与えられたかのような超常的な能力を持つホルダーこそ、世界を統べる者に相応しいと思わないか?」

「そんなこと、思ってもないだろう」

「ふっ……あの女か。確かに、俺はこの世の全てを破壊したいと思っている。だが、それもこの世界の弱肉強食を無視した人間の摂理の話だ。俺は、ギフトを持つ者が誰にも認知されずに下に見られていることが気に入らない」


 本当に、シャングリラはそう思っているのだろうか。そもそも、その考え方が本当なのかどうかも怪しい。


「どちらにせよ、ギフトは表世界では満足に使えない。表世界の人間にも、ギフトによる超常現象は認知できない」

「そこで、俺のギフトだ」


 そこまで言われたようやくシャングリラが何をしようとしているのかわかった。この男は、表世界と裏世界を自らのギフトで融合させ、表世界へとギフトを持ち込むつもりなんだ。


「だが、俺のギフトにも限界がある。だからこそ、俺はこの場所に保管されている三種の神器を取り込むことで、人間を超える必要がある訳だ」

「本当にあるかどうかもわからないものの為に、こんなことをしたのか」

「あるかどうかもわからない? あるんだよ……三種の神器はな。ホルダーは遥か昔から存在しているのだからな」


 本当に、三種の神器が実在しているというのだろうか。だが、それが本当だとしたらシャングリラの融合はまずい。人間を超えるという表現はよくわからないが、とにかくこれ以上の力を付けられたら問題しかない。


「まぁ、その反応を見る限り……お前たちは反対のようだな。ならばここで死ね」


 シャングリラがそう宣言した瞬間に、シャングリラの身体から大量のモンスターが溢れだしてきた。


「融合できるということは、いつでも分離できるということでもあるのだ」

「くそっ!?」


 二十や三十ではきかない数のモンスターが突然現れたので、四人でその対処をしなければならない。ただ、これだけの数を四人で対処することができるのかも怪しいし、シャングリラもすぐに裏世界と融合して消えた。いつ、不意打ちをかけられるかもわからない状況でモンスターの大群を相手にすることが、できるのだろうか。

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