Shangri-Laの野望 Ⅱ
僕たちの連携はかなり複雑なものだ。と言うのも、椿と日菜が好き勝手に動いて、僕がそれを繋ぎ合わせるように動いているだけなので、一見するとそれは連携ですらないのだが、片方の攻撃に対応しようとすれば僕がそれを妨害してもう片方の攻撃が通るようにできている。
椿と日菜は相当な実力者で、これだけでも大抵の敵は倒せてしまうのだろうが、目の前のシャングリラはそんな簡単にはいかないだろう。
「消えたっ!? 蓮!」
「エリー、どう?」
「ま、全くわからない……辺り一面からシャングリラの気配がするわ」
日菜の攻撃を避けた瞬間に、僕が加速した状態で突っ込んで攻撃を繰り出して態勢を崩させたのは事実だ。その隙に椿が念動力で衝撃波を撃ち込んだのに、その場からシャングリラが一瞬にして消えた。
エリーのマッピングでも全く特定できない動き方は、やはりエレボス団長の言う通り裏世界そのものと融合しているからこそだろう。
「くそっ!?」
全員で固まって周囲を警戒している最中に、加速している僕の視界内で僅かにシャングリラの動きが見えた瞬間に時間を停止させる。現在の僕が止めていられる時間は十秒と少しと言ったところだ。しかし、何もない空間から突然現れたシャングリラまでは到底届かない。
時間が動き出すと同時に、僕は狙われていた椿の前に割って入って刀を振るう。
「むっ!?」
「食らえ!」
一瞬だけ反応が遅れたシャングリラは、刀の切っ先が頬を掠めたがなんとか避けたようだ。僕の動きを視界に入れていたのか、シャングリラが僕から離れると同時に日菜がレールガンのようなものを放つ。
「避けられましたね」
「また逃げたわ……本当に何処にいるのかわからない」
「何処にいるじゃなくて、何処にでもいるんだよ。これがシャングリラの融合か」
エリーはマッピング能力で敵の位置を把握しようとしているが、そもそもシャングリラは裏世界なら何処にでも存在している状態な訳だ。エリーのマッピングがいかに優秀だったとしても、裏世界全てに溶け込んでいる相手に対してマッピングなんてできる訳がない。
「どうするの? 出てきた時に適時反撃しているだけじゃ一生終わらないわよ?」
「それもそうだし、他の騎士団がやられた理由がわからない。そんな簡単に負けるような連中じゃないはずなんだけど……」
この皇居に向かって来ている青の騎士団は全戦力なので、確かに玉石混交の実力なのだが、その石も玉も関係なくやられているのだ。普通に考えて、シャングリラにはまだ隠している手札があると考えていいだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます