明かされたTruth Ⅲ
「それで、シャングリラの動向は掴めないんですか?」
「いや、アイツが狙っているものはわかった」
ドゥアトさんに怒られ続けて、渋々と瓦礫掃除を始めたエレボス団長に、僕が質問をする。青の騎士団を総動員しておきながら全く相手の動きが掴めませんでしたなんて言われても困るのだが、なんとか動きが把握できたらしい。まぁ、裏世界と融合するなんていう反則能力を補足する方が無理かもしれないけど。
「なにを狙っているんですか?」
「裏世界の皇居だ」
「皇居? 皇居って……あの皇居ですか?」
「その皇居だ」
これはなんとも……また行きにくい場所が出てきたな。裏世界とはいえ、堂々と皇居に侵入するのはすごい気が引けるし、もしなにか大事を起こして裏世界の皇居を破壊した結果、表世界の皇居にまで影響が及ぶことを考えると……胃が痛い。
「現在、全戦力を皇居に向かわせている。ここで瓦礫掃除しているのは基本的には戦闘能力のない下っ端だな」
「僕らもそちらに行けばいいんですか?」
「お前らはヘルヘイムを待て。ここに寄るように言ってある」
「そうですか……なら、掃除でも手伝いますよ」
椿が寄ってくれるなら、僕たちはここで待っておこう。
「えー……掃除?」
「文句言わない」
「吹き飛ばせばいいんですか?」
「やめなさい」
エリーは面倒くさそうだし、日菜は頭の悪そうなことを言っている。ここに椿も加えるのか……大丈夫か?
「ところで、皇居にはなにがあるんですか?」
「……そりゃあ、天皇が住んでいるんだろう」
「裏世界のですよ!」
こんなところでそういう回答求めてないから。エレボス団長までふざけ始めたら何から何までおかしくなる。というか、僕の頭がおかしくなる。
「冗談だ。そう怒るな」
「全く……」
はぁ……僕、この組織に残って本当に正解だったのだろうか。
「三種の神器ってあるだろう? あれがな……ある、らしい」
「三種の神器って、あの日本神話に出てくる?」
天叢雲剣、八咫鏡、八尺瓊勾玉の三つを、総称して三種の神器と呼ぶ。その本物があるかどうかは定かではないが、確かに宮内庁と天皇家が護っているという話ではあるのだが……本当に裏世界には実物があってもおかしくない。
「とにかく、シャングリラは自分のギフトである融合を上手く使う奴だ。もし、狙いが三種の神器そのものではなく、古くから続く神性だった場合は、とてつもなく面倒なことになるだろうな」
「そういうことですか」
目的は神話の武器ではなく、神話の時代から通じる物体と言う訳だ。確かに、そんなものを手に入れられたら、もしかしたら取り返しがつかないことになる可能性は充分にあり得る。
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