明かされたTruth Ⅱ

「ふーむ……とりあえず、よくやったな」

「あ、あの……」


 本部までニライカナイを届けに来た僕たちは、唖然としていた。エレボス団長は特に気にした様子もなく僕たちのことを褒めてくれたけど、青の騎士団の本部は半壊していた。

 エレボス団長の背後では、ドゥアトさんが中心になって瓦礫撤去作業が行われており、人的な被害は少ないようだが建物がもう使い物にならなさそうだ。


「な、なにがあったんですか?」

「ん? あぁ……これのことか?」


 聞かざるを得ない状況だろう。というか、この状況の中でも全く気にせずに報告を受けているエレボス団長の方がおかしい。

 破壊跡から見ても、なにか巨大な物で押し潰されたような被害に見えるし、どちらにせよただ事ではなさそうだ。


「これはな、近くに潜伏していたらしいシャングリラにやられた」

「敵のリーダー、ですよね?」

「そうだ。私が探し求めていた男でも、ある」


 ここは詳しく話を聞いてはいけない部分だろう。エレボス団長は、シャングリラの話を始めると、必ず愛憎入り混じったような表情をする。一体どんな過去があってこんなこになっているのか、とても聞きたい気もするが、わざわざ藪をつついて蛇を出す必要もないだろう。出てくるのが蛇ならマシな方だ。


「裏世界で潜伏と言っても、ドゥアトさんの感知があるなら発見できたのでは?」

「無理だな。シャングリラのギフトは『融合』と言って、完全に裏世界と同化することができる。そうなれば、ドゥアトでは感知できん」


 融合とはまた変なギフトだな。しかし、それならばいきなり奇襲を受けて本部が半壊している事実にも理解が及ぶ。とんでもなく厄介な能力かもしれないので、充分に気を付けなくては。それに、こんな威力で本部を半壊させる力すらある訳だからな。


「団長、そろそろ貴方も手伝ってください」

「……団長に瓦礫の片づけをさせるのか?」

「そもそも、貴方が敵を倒すために至近距離で隕石を落したのが半壊の主な理由ですよ?」

「え?」


 この被害、シャングリラが出したものじゃないの?

 確か、エリーは前にエレボス団長のことを「災厄」だと読んでいたけど……まさかギフトで隕石を落すなんていう無茶なことができるとは思わなかった。というか、自分で破壊したなら冷静でいられるのも当たり前か。普通に手伝った方がいいのでは?


「す、すまん」

「全く……どうするんですかこれから。本部には大事な資料も沢山置いてあったのに……」

「わ、悪かった!」


 あ、これはずっと怒られるパターンだな。僕はさっさと逃げておこう。

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