明かされたTruth Ⅳ

「蓮、迎えに来たよ」

「う、うん……」


 なんというか、これから激戦地に連れて行く人間なのに、まるで早く学校行こうよと言う幼馴染みたいな軽いノリで言われると違和感が凄い。いや、椿は幼馴染なんだけども。


「やっと来たのね」

「あ、椿ちゃん」

「…………まだ、一緒に行動してたんだ」

「いや、しょうがないじゃん」


 一緒に行動しているうちに、なんとなく日菜のことを心の中で許し始めている自分の甘さは自覚しているけども。エリーに関しては、単身で日本に残ってくれた上に、レボリューショニスト壊滅のために協力してくれているのだから、無下にはできないし。


「まぁいいや。エレボス団長、私たちはこれで」

「ん」


 椿はエレボス団長に頭を下げてから、歩き始めたので僕たちもその背中を追う。


「皇居、だよね」

「らしい。といっても、私も情報だけで現場がどうなっているかは知らない」

「んー……壊滅していてもおかしくないですね」


 日菜の発言は、青の騎士団のことを舐めているからではない。椿はそう捉えたのか、鋭く睨みつけるような視線を送っているが、僕ももしかしたら先に行っている人たちは壊滅している可能性もあるかもしれないと思っている。それだけ、シャングリラという人物の力は得体の知れないギフトであり、そんな人間が古い神性を取り込もうとしているのだ。

 日菜への視線を遮るように立ちながら、僕は椿と真っ直ぐに見つめ合う。


「敵は強大だよ」

「…………わかってる」

「いいや、わかってない」


 これはエリーにも言えることだが、椿は裏世界で活動してきた時間が長いから、どこかで常識的な価値観が生まれているのだと思う。僕のように裏世界での活動歴が短い人間は、経験がない代わりに非常識なあり得ない現象もいち早く受け入れることができる。

 そういう意味では、性格的に慢心しそうにない日菜は問題ないだろう。慢心しないというより、常に手加減を知らない生き方をしているだけだが。


「これから先、何が起こるかわからないんだ。もしかしたら……裏世界そのものが崩壊する可能性だってある」

「そんなことができる訳ない」

「本当に? 相手は裏世界そのものと融合できるギフトを持っているんだよ?」

「……」


 もし、裏世界が簡単に崩壊して、僕たちがギフトを使うことができなくなり、敵であるシャングリラだけがギフトを使えるようになったら、表世界も終わりを迎えるだろう。


「僕たちはあくまで裏世界でしか戦えない。でも、裏世界で世界を救うことができるんだ。だから、力を合わせて頑張ろう」

「……うん」


 僕の言葉に、椿は納得して頷いてくれた。

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