暴走するHolder Ⅴ
「そもそも、なんで日菜は僕たちの味方をしているのかな?」
「え? もうレボリューショニストなんて関係ないからですよ。私は神代君にも椿ちゃんにも会えましたし」
日菜はやっぱり、情緒が育っていないという表現が正しいだろう。彼女にとって、僕と椿にもう一度出会うことが最優先のことであって、そこに至る過程の話など全く欠片も興味がないのだ。エリーを撃ったことも、多分邪魔だったから程度の認識なんだろう。力はあるが、危うさが勝ってしまう。
それはそれとして、強力なホルダーが味方になるのは良いことだと思う。これからどうやって動くのかはまた考える必要はあるが、一先ずは半分消し飛ばされた建物から出てきたチンピラどもを叩こう。
「ふざけやがぇぁっ!?」
「ぶげっ!?」
「ひぃ!?」
「大したこともないチンピラどもね」
ギフトに慣れてすらいないチンピラは、建物から出てきた瞬間にエリーと日菜によって蹴散らされていく。すぐに状況を理解しようとして逃げ出そうとする奴もいるけど、それは僕が抑える。
「全く……こんなチンピラばっかりなのね。モンスターの方が数百倍はマシじゃない」
「こんな本部の近くにモンスターの巣でもあったら、それこそ総動員で破壊されてると思うけどね」
チンピラ相手に物足りなさそうなエリーいは苦笑してしまう。僕は裏世界のチンピラ相手であろうとも、あまり戦闘すること自体が好きじゃないから。今だって、チンピラを相手するのに刀を鞘付きでも振り回すこともない。
三人でやれば、チンピラ程度はすぐに制圧できた。とは言え、所詮はチンピラだ。青の騎士団本部が近いと知りながらこんな所にアジトを、チンピラが進んで作るとは思い難い。誰かしらが裏で操っているはずだ。
「おやおや……こうも簡単に制圧されるとは。それにしても、簡単に裏切って組織を捨てましたね」
「あ、ニライカナイ。さっさと逃げたのかと思ってた」
灰崎を唆し、僕とも正面から戦闘をしたことがある真っ白な仮面のニライカナイ。ギフトの『幻覚』を武器に戦う面倒な相手だ。直接的な攻撃系のギフトを持っている訳ではないが、いつ幻覚にかかっているのか分かり難い点や、幻覚の汎用性が高いことから中々の実力者である、レボリューショニストの幹部。
日菜の話だと、レボリューショニストは既に解散直前の状態で、ニライカナイの性格からすると逃げ出していると思っていたようだ。
「勿論、私は小心者で利己的主義者ですが……個人的に、裏切りというのは許せない性格でして」
「へぇー……難しいのね」
「ふふふ……貴方を始末してからでないと、落ち着いて夜も眠れませんので」
笑いながら、ニライカナイは銃を取り出してこちらに向けてきた。丁度いい機会だし、ここでさっさと幹部を減らしておこう。
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