暴走するHolder Ⅳ
「で、僕たちはどうすればいいの?」
『そこら辺に、チンピラのアジトがあるらしいから、潰してもらえると嬉しい』
結局、数十分後に椿からかかってきた電話によると、青の騎士団の本部周辺には、レボリューショニストに加担しているチンピラ共がアジトにしている場所があるらしいので、僕とエリーはそれを潰しにいくことになった。
「……日菜は?」
『さぁ? 流石に本部に置いていったほうがいいんじゃない?』
「えぇ……そもそも、処遇に困ってるから僕に頼んだんでしょ」
なんというか、日菜に構っている暇がないのだろうな。本格的に青の騎士団とレボリューショニストが衝突し始めた訳だし、ただ幹部格だったからという理由では、日菜は聞き出す情報もない人材な訳だ。僕が傍にいれば暴れることもないので、半分放置されているみたいだけど。
「……私も手伝いましょうか?」
「遠慮しておくよ。片腕片足の腱を切られてる人は、足手まといになるでしょ」
「神代君が切ったのに……」
動きを止めるにはそれが一番よかったからね。
「でも、この程度の怪我ならちょっと集中すれば治せますよ? 戦闘中には無理ですけど」
「は?」
僕は日菜の言っている意味がわからなくて振り返ったら、平然とした顔で腱を切断されたはずの足を使って立ち上がる日菜を見てしまった。というか、いつの間に鎖を引き千切ったんだ。
「はい、これで戦力になりますよ?」
「えーっと……エリー」
「知らないわよ。でも、裏切らないなら大きな戦力には違いないでしょう?」
いや、その通りなんだけども。
やっぱりここら辺は日本人的な感性を持っているか持っていないかの差なのかな。
「それに、いざとなれば蓮が取り押さえられるでしょ」
笑顔でそう言うことを言わないでくれ。日菜も頷くな。
結局、人手不足なことも本当なので断り切れずに日菜を戦力として連れて行くことになった。椿からの情報では、所詮はチンピラレベルの相手しかいないから、僕とエリーでも充分だとは言っていたけど、僕はなんとなく面倒なことになりそうな予感がする。そもそも、青の騎士団の本部近くに、ただのチンピラしかいない訳がないと思うのだが……そこら辺は幹部たちに任せよう。
「突入するわよ」
「いつでも行けますよ」
突入すると言いながら、日菜がなんか巨大なレールガンらしきものを構えているのだが、これはどういうことなのだろうか。
エリーに視線を向けると、覚悟を決めた目で頷かれるだけで、なんの説明もしてくれないし。
「その、レールガンは、なんなのかな?」
「はい」
僕の質問を無視して、日菜は一発でチンピラのアジトである裏世界のマンションの半分を消し飛ばした。誰がそこまでやれと言った。
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