暴走するHolder Ⅱ

「うーむ……まさかレボリューショニストの幹部を連れて帰って来るとは思わなかったな」


 本部に戻ってきた僕たちの報告を受けたエレボス団長は、ちらりとエルドラド……日菜の方へと視線を向けて苦笑い。まぁ、僕だってただの調査と言われて向かわされた先でレボリューショニストの幹部と戦闘することになるなんて想像もしていなかったので、勝手に頭の中で対等だと言い訳しておこう。


「まぁ、なんにせよお手柄だった訳だが……朝倉日菜、と言ったかな?」

「はい?」

「シャングリラは、今はどこで何をしている?」


 さっきまで苦笑いを浮かべていたエレボス団長だが、シャングリラの名前を口から出すと同時にとんでもない殺気が部屋の中を満たした。横にいるドゥアトさんも唾を飲み込むような迫力を醸し出しているのに対して、質問された日菜は首を傾げた。


「知りませんよ。だって、レボリューショニストの役目は終わりを告げたと言っていましたから」

「なんだと?」

「終わったって……どうして?」


 流石に我慢できなかったので、僕も日菜に質問させてもらおう。

 レボリューショニストという組織は、そもそもシャングリラという男が一人で創設した組織で、資金源も人材確保の手段も、なんなら目的すらも殆ど不明な組織な筈なんだが、その組織が役目を終えたとはどういうことなのだろうか。


「なんでも、既存の社会構造を破壊する手段ができた、らしいですよ?」

「は?」


 既存の社会構造と言えば、日本の社会を言っているのだろうか。資本主義とか、競争社会とかそういう話なのだろうか。


「……まぁ、奴の考えそうなことではあったな。すると、やはり目的はホルダーを持つ者の救済ではなく、ただ社会への恨みを晴らしたいだけだろう」

「た、建前だって言うんですか?」

「そうとも。そうでなければ、あんなテロリスト紛いなことする訳ないだろう」


 いや、言われてみればそうなのだが。そもそもシャングリラとやらに会ったこともないのに、僕には判断することができないのだから仕方ないじゃないか。


「私は単純に奴を止めたい……無理なら殺す。そのための青の騎士団だ」

「……僕だって、社会を破壊されたら困るので、なんとか頑張りますよ」

「私は、青の騎士団の幹部だからな」

「まぁ? 蓮が戦うって言うなら私も戦うわよ。役に立つかどうかはわからないけど」

「…………幹部を招集しましょう。青の騎士団の全戦力を使ってレボリューショニストの動向を探ります」


 ドゥアトさんの言葉にエレボス団長が頷いた瞬間に、青の騎士団が一斉に動き出す。もしかしたら、これがレボリューショニストとの最後の戦いになるかもしれない。

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