Peaceな日常 Ⅱ

「ふむ……最近はモンスターが減少傾向だな」

「はぁ? なんで、呼ばれたんですか?」

「そう焦るな。三人には是非、頼みたいことがあってな」


 平和な日常を堪能していたのに、何故か青の騎士団本部でエレボス団長に呼び出された僕、椿、エリーは出された茶を飲みながら話を聞いていた。


「まぁ、やってもらいたいことと言っても、そこまで危険な任務だったりする訳でもない。少し、今週の土日にでも調査に行って来て欲しいだけだ」


 そう言いながら手に持っていた資料をこちらに渡してきた。何故か幹部であるはずの椿は、僕が見ろと言わんばかりに視線を向けてきたので、大人しく資料を手に取って中身を見る。


「……ここ、温泉地ですか?」

「そうだ。なにやら、最近はそこら辺で裏世界の歪みが酷いらしくてなぁ……こっちは倉庫のことで忙しいから、手の空いている奴にな」


 まぁ、最近は確かに手が空いていたけども。

 因みに、エレボス団長の言う裏世界の歪みというのが、モンスターが多い場所に発生するもので、これを元にドゥアトさんがモンスターの存在を特定して青の騎士団が動き回っている。


 最近のモンスターが減少傾向にある状態は、レボリューショニストがビアンコとの関係を終わりにしたからだろう。どうやら、青の騎士団が気が付いていなかっただけで、裏世界ではなく表世界で二つの組織が結託してたらしい。ドゥアトさんのギフトは表世界では全く効果を発揮しないので、仕方がないことだ。そもそも、エリーのように表世界でギフトが十全に使える人の方が少ないのだが。


「別にいいですけど、僕たちは問題児ですよ?」

「構わない。問題児だろうとも、実力があればな」


 なんというか、勝手に寄り集まってできた反レボリューショニストの組織らしい考え方だと思う。本当に、ただ力が強い奴が集まっているだけの組織なんだろう。


「わかりました。椿もエリーもそれでいいよな?」

「いいよ」

「当然よ。私は蓮について行くだけだから」

「惚れられたな」

「黙ってもらっていいですか?」


 人が最近気になっていることをずけずけと言葉にしやがって。本当にこの人は空気も読めなければ、性格も悪いな。というか、性格が悪いから空気を敢えて読んでない感じだろう。本当にムカつく。

 ムカつくはムカつくのだが、少しイラっとしただけで、前回のように組織を振り切ってなにかしたいと思うほどのものではない。


 青の騎士団のことは信用していないが、日常を破壊しようとするレボリューショニストは個人的にも放っておけない。ここは素直に言うことを聞いておいた方が、双方に得となるはずだ。

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