第1話 ぼくたちの秘密の裏山
遠い昔のことだ。まだぼくたちが小学5年生の頃の話だ。
そのときはまだ学校の裏に山があってぼくたちは授業が終わり次第そこへ走って行っていた。
「ミツル! シノ!」
オレは元気よくすでに秘密基地に集まっていた2人の親友に声を張って名を呼んだ。
「遅刻は厳禁だってコウイチが決めたくせに本人が遅くなるなんて」
指さしながら不機嫌そうに文句を垂らすシノ。自分が優等生だからと言ってオレへの突き当りは勘弁してくれ。
「すまねぇ…先生に捕まっちまってさ…」
テストの点数があまりにもひどくて先生に予習を受けていたんだ。なんとか時間までに抜け出したくて人の回答ノートを丸暗記(カンニング)して合格したというのは秘密だ。
「コウイチが早々抜け出せるなんて…カンニングでもしたのか」
心にナイフがぐさりと刺さった。図星だ。ミツル…お前本を読むよりも透視能力があるんじゃないのか? いやはや恐ろしい怖ろしい。
「それよりも今日は何するの? わたし、お絵かきしたいなー」
「ぼくは昨日買った本を読んでおきたいんだ。いいかなー」
まーた自由勝手な奴らだ。だが、「いいぜ! 好きにしな! リーダーである俺が言うんだ!」って顎に指を当ててカッコつけていった。
あー…またやっちまった。秘密基地を作ったはいいのもの、なにをするのやらここで遊んだり話したり家でできないことをしたりとやるぐらいだ。本当は裏山にある洞窟や池、建物の調査として探検隊を結成してやりたいのに、オレとしたことが…弱いんだよなー。
未練と不満がタレタレのオレを見てか、ミツルが一言。
「今日さ、ここに来る前に奇妙な箱を見つけたんだ」
そう言ってテーブルの上に置く。それはルービックキューブのような形をしたものだった。それがなんで奇妙なのかだろうか。その疑問はすぐに分かった。
ミツルが手を放した瞬間、ルービックキューブだったものが形を変え、オルゴールへと変わった。それがなぜそんな形になったのかは説明できない。なぜなら説明するほどの言葉を知っているわけじゃないからだ。
オルゴールへと姿を変えた”奇妙な箱”は、意識を持つかのように突然回転し、音を鳴らした。そして、ぼくたちは無意識のうちに事件へと巻き込まれることとなった。
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