第6話 喧嘩と入れ換わりの経緯
昨日、喧嘩をした理由とは何だったのだろうか?
アナベルの私と連絡を取る。
この間は僅か1秒もかかっていない。
「ベクティアールはなんで怒ってる訳?」
私になっているアナベルは、
喧嘩した理由を語りはじめた。
「私とベクティアールは、ベクティアールの酷い暴力に耐えかねて、
私は出ていこうとしたの?」
「なんでベクティアールから暴力を受けたの?私、これからそんな目に遭うの?」
「言うことを聞いていれば、暴力を振るわれることはないけど、
窮屈な日々を過ごすことになるのは変わりないわ。」
うーん。どういうことか?と、
アナベルの私はよくわからなかった?
「どういうこと?」
と具体的に聞いてみた。
「言った通りよ。うちの旦那は女はコントロールできるものだと考えている訳。だから、言うことを聞かないと暴力を振るうのよ。『お金があればなんでも許される』と考えているのよ。」
「お金があれば、なんでもできる?それは正しいようで、正しくない考え方ね。
人なんでその人本人にしか縛られないはずなのに。」
「この時代ではお金の価値はあなた方が住んでる世界よりも高いのよ。権利なんていう概念は成立していない。地位とお金さえあれば何でもできる訳だよ。」
この時代の男女の概念について学びはじめた。
「今の時代といっても1000年後ぐらいだけど、未だに男女差別は残ってるわ。
金で他人の自由を買うこと。たとえば、人を雇う場合はそれに当てはまるわ。
でも、家庭内で人をお金で買うなんてそんなことをする人がいた訳?」
「男は稼いで、女は尽くす。この時代では過去世から現在に至るまで変わらないことよ。」
「男の性という奴よ。同性とは時に協力し、時に反目し、異性には性的に見ている。これが男よ。そんなことも知らないで14歳まで過ごしてきた訳?ちょっと幼すぎるのではないの?頼むよ未来の私。」
「私の世界と根本的に野性的という訳か、人類が今まで螺旋階段今まで頑張って登ってきたのに、エスカレーターで一気に下の階に降ろされた気分だわ。」
「そのベクティアールがいる世界とあなたがいた世界は全然違うのよ。」
「女というのは男に使われつつ、男を裏でちょっとずつ操っていく生き物よ。まだお嬢ちゃんにはわからないか。」
コネクト装置の時間が切れ始める。
コネクト時間には制限時間があるのだ。
「で、言うこととは何を聴かなかった訳?」
「お風呂に一緒に入らないか?という提案を断ったことよ!」
たった、そんな理由?
と、内心思った。
「一緒にお風呂に入ればいいのね?簡単じゃん。」
「わかったわ。一緒にお風呂に入るわ。」
2人の"私"を操って-前世と今世のシンクロ- メグルハ @meguruha
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