第5話 VS過去世の"私"の旦那

領主が出てきた。


「ベクティアール男爵様、アナベル様をお連れしました。」


この腐ったマンボウのような男の名前を知ることができた。


「よくやった、クレアン。もう帰って良い。」


この、白い針金棒はクレアンというらしい。


「あのな、アナベル、お前のために今日はわざわざお前の好きなうさぎの照り焼きだぞ。いやぁ、これを獲らせるのも大変だった。」


「えっ、うさぎ??うさぎを食べるの?」


「お前、うさぎ大好きだったじゃないか?何を言っているんだ?」


「いやぁ、そういう話じゃないんだけどさ。」


「なるほど、これからうさぎが食べられるから喜んでたんだ」


「違う。そういうのじゃない。」


「だったら、どういうことなんだよ。」


「いやぁ、そういう訳では。」


「じゃあ、どういう訳か言ってみなさい。」



しまった、ここは時間も場所も、

私が知っていたところとは違う。


時間も場所も違うんだから、

異国文化というレベルのカルチャーショックじゃないじゃない。これ。

なんという状況に来たんだろう。

と、内心、思ったけれど。


「なんで、うさぎを食べるの?」


「それは昨日お前が怒ったからに決まってるだろ?」


「なんで、怒ったらうさぎを食べるの?」


「うるさいなぁ。いちいち言わせるなよ。」


「お前は黙っていたら綺麗なのに、喋りだしたら、まぁ、出るわ出るわ。こんな環境に置いてやっているのに、どうして、こうも不平不満を言うかね。」


「はぁ~!!!何?私が好きでここに来たとでも言うわけ?」


「でたよ。昨日の続きか?」


「昨日の続き?」


「そうだよ。覚えてないのか?」


そういえば、そうかと昨日の私、飛鳥ではない、

アナベルの方の記憶が流れてきた。


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