レーフェ編 第12話 急襲
「なぁにがそう言うことにしとくか、だ!!イチャイチャしてんじゃねぇぞ」
突然知らない男性の声が聞こえてくる。直後、俺の左肩に一本ナイフが刺さり、
「星の一撃!!」
「コウシ……!大斬!」
男の声に反応したミシアがすぐに剣を振るい、相殺することに成功した。が、完全に俺の肩はいかれてしまっている。初めてのこんな体験に声を漏らしてしまうが意外と大丈夫かもしれない。くそ痛いけど。
すぐに肩からナイフを抜き、血が少し出るがなんとなく一発叩いて自分の中で無かったことにする。そのナイフを後ろの方に捨て男の姿を見る。
男はフード付きの上着を羽織っているがフードはかぶっておらず完全に顔が見えている。少し発色が悪く、目元のくまや頬の煤け具合からあまり健康的な生活を送ってないことがわかる。
両手にはまんま俺の世界のメリケンサックがはめられており、顔からは想像できないが武闘派なのだろう。
上から右手を差し出しながら飛び降りてきただけとは到底思えないほどの衝撃波が襲いかかってきた。それが『星の一撃』というものなのだろう。ミシアもただ振るうだけじゃなく『大斬』と言っていた。この二人はそれらを扱える。と言うことは、俺とは明らかにステージが違う。そんな戦いを目にして足がすくむかと思ってたが意外とそんなことはなかった。
男に向かい走り出し、距離が縮まったタイミングで拳を構えて
「星の、一撃!!」
と叫ぶと男は警戒してすぐに
「
と唱える。
大地と言われたので咄嗟に地面を見たが、それでも対応できずに整備された地面が剥げ中から土の柱が飛び出て俺を上に飛ばす。
この隙にミシアが殺してくれればいい、と思ったがそこまでうまく行くわけもなく、ミシアの攻撃は防がれていた。
俺は体勢を崩してしまったが、それを活かして家の壁に足をつけ勢いを殺し、破風板に着地し、そのまま男に向かって蹴り出す。
「こっち見ろ!!星の……一撃!!」
俺の拳にはそんな大層な力は乗ってない。ただ、この時間稼ぎはこの勝負にとって絶対的なものとなると確信していた。
「ふん、星の一撃!!見えてるぞ!
くそ!俺の拳は男の一撃に完全に圧倒され横の民家に飛ばされナイフを刺されたときぐらいの痛みを負う。それまでは良かったがミシアへのパスであることもバレていた。先ほどと同じように柱を出し今度はミシアと男の間に壁となるようにしていた。
「コウシ!ありがと!!精霊の風!」
「精霊斬!!!!」
しかし、ミシアはそれをものともせず少しだけ空を飛び、男が出した土の壁に阻まれない角度に移動し、そのまま不思議な力で一瞬にして傍に近づき首を落とした。
俺は起き上がり左肩と叩きつけられた背中が痛むがミシアに近づく。肩に刺さったナイフは抜くと血がプシュッと出る。そのナイフの血をを制服でさっと拭いて刃が上ムキになるように胸ポケットに入れる。
「殺したのか……」
「あ、なんか用事あった?」
「用事っていうか……初めて人を殺すのを見たし……なんで襲ってきたかとか聞けたらなんか、良かったかなって」
「あーそっか。私だって初めて人を殺したよ?でも必死だったし私は弱いから手加減して瀕死に止めるのができないの。あとこいつは多分スリよ。殺して金を取るの。臓器とかも売るんじゃない?」
「そ、そうなのか。じゃあ殺して良かったな。……なんかすまん」
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