レーフェ編 第11話 人間領最大の国:レーフェ
「レーフェ?そんなすごいのか?」
「うん!!人間が気軽に入れる国の中では最大級の規模を誇る国よ!」
しばらく歩いていると林に囲まれた一本道を抜け山に囲まれた街が姿を現す。
そこで初めてあの村が山にあったのだと知った。
にしても最大級という割にはそこまで大きくない。
小さいとはいえないが、あの赤龍に襲われればすぐに半壊しそうだ。
あの世界で例えるとユーラシア大陸かと思ってたらオーストラリア大陸だった、みたいな。オーストラリアも決して小さいわけではないが大陸としては小さい、ってことだ。
そういえば、セシアが国ってそんなに無いみたいなことを言ってた気がする。
「これが最大級?他の国もこんなもん?」
「うそ!ちっちゃい?そんなことないって」
「いやいや、ちっちゃいって」
「いやさ、それあれでしょ?コウシの世界ではでしょ?」
「まぁそうだけど。びっくりしたなぁってだけですー」
「ふーん。とりあえずさ、ここに降り立つでしょ?なんか行きたいとことかある?」
「そうなの?それは賛成するけど、行きたいとこかー。それ自体は特にないからミシアに付き合うけど、俺とにかく金ないよ?金稼がないと寝れないけど」
「え、あーそういえばそうだったね……。何日か分はもってるからいいけど……職探さないとだね」
「どんな仕事があるかわかんないんだけどさ、なんか気軽なのない?面接とかめんどくさいんだけど」
「んー、ベタなやつで言うと冒険者とか?旅しながらでも続けられるし……。お金も月末に入るんじゃなくてその場その場で支払われるから助かるかも。私もできるし」
「冒険者か……。それって何すんの?洞窟探索とか?」
「それもあるかもね。大体は魔物倒したり警備したり喧嘩を仲裁したりかな」
「やるわ。イージーイージー。どこでそれ始められるの?電話とか必要?」
「そんな……まぁそれくらいの方いいかもね。電話って言ってもコウシ使えないでしょ?組合に行くだけよ」
電話が存在はするのか。魔法で、とかか?
「よし、いくぞ。案内してくれ」
「私だっていっぱい地図読んでただけだから迷子になっても責任取らないからね」
ってことで街……レーフェだったか、に行くことが決まったはいいものの目の前には崖がある。山とは言っているものの完全に崖。でも、ミシアはなんも気にしてない。どうする気なんだ。
「よいしょ」
そんな気の抜けた声で軽くジャンプして飛び出し、数メートルもある崖から軽々と着地した。
うそでしょ。無理よ。え、俺もいける?この世界では?よし。やるか。
怖くはないけど常識と照らし合わせて流石に死がちらつく。
怖くないから飛ぶけど。
おぉ、変な感じがする。こういうのって意外と一瞬って言うよな。
内臓が上に上がってくような感覚を感じながら地面に着地しようとするが一瞬不意にフワッとする感覚がきた。そのおかげで勢いは完全に消え、足を痛めることなく着地することに成功した。
「コウシー?危ないって。策もなしに普通に飛び降りたでしょ?」
「おう。お前が普通に飛んでったから俺もいけるかなーって。策って何?」
「私はちゃんと魔法で落下速度を抑えてたの!コウシは使えないでしょ?」
「魔法か……まぁ使えないけど。どうやって使うの?って言うか何?魔法って。どんなのがあんの?」
「んー、今のは風魔法を応用したやつだし、もちろん攻撃できるやつもあるし、生活に使うのもあるし。そもそも発動方法が根本から違うのもある。ほんとにめちゃめちゃあるよ」
「ふーん……そういやさ、村のシャワーの場所あるじゃん?あそこで魔法陣起動したら黄色?だったんだけどなんか知ってる?」
「黄色?え……?ちょっと待って。はい、これに魔力注いでみて。できる?」
そう言ってミシアは俺にあそこにあったやつの中に書いてある模様を消したまっさらな魔法陣を出してきた。
俺はそれにさっきの感覚を思い出しながら魔力を注いだ。すると、魔法陣はさっきと同じように黄色に染まった。
「え……これ、黄色じゃないわよ?金よ、金!!異世界人だから……?」
「金?まじ?どうなの?」
そんな話をしながら俺たちは自然と歩き出し、なんとなく街の中心を目指していた。
「んーとね、この色って変えられないんだけど、金色の魔力を持つ人で普通の人は過去をみてもいないの。みんなが軍のトップにいたり、王様だったり、うちで言うとカルミル教の開祖がそれらしいし……。あ、さっき上から見た感じこっち通れば早く着くと思う」
ミシアは大きめの道からそれた人通りの少ない路地に進んだ。
「わかった。異世界人はみんなそうなのか?」
「あんまりわかんないけどそういう話はあんまり聞かないなぁ。っていうか、コミュニケーションが取れないってよく言うよ?そういえばコウシは普通にしゃべれるよね。なんか違うの?」
「あーそれね。なんかさ、こっちに来る時に一個能力を選んでもらえるのよ」
「ふんふん。それめっちゃイージーじゃない?ずるいんだけど」
「待て待て、話は終わりじゃねぇんだわ。それで、最強の剣をもらうとか億万長者になるとか選べるんだけど、そうだなぁ、俺は何選んだかわかる?」
「うーん、なんだろ。喧嘩が強くなるとか?」
「正解は異世界の言葉が話せて理解できる、でした」
「え?それだけ?」
「おう。俺は頭がいいからな。これで力を選ぶとコミュニケーションが取れないってわけだな」
「なるほどね……。それ以外選んだ瞬間死じゃない?」
「そうだな」
「意外ときついって言うか……親切じゃないね?」
「ほんとだよな。ま、でも俺なんかが最強の剣を手に入れても剣なんか持ったことないし扱えないだけだから。それで言うと喧嘩が強いはいいな。俺でもできる」
「ふーん、そんな自分のことを悪く言わなくてもいいけどね」
「そういうことにしとくか」
「なぁにがそう言うことにしとくか、だ!!イチャイチャしてんじゃねぇぞ」
突然知らない男性の声が聞こえてくる。直後、俺の左肩に一本ナイフが刺さる。
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