第3話

 あれ。

 何してたんだっけ。

 瞼を開けた先には、描き途中の絵。昨日から描き始めた絵だ。それは覚えている。もっと何か、大切なことがあったような...

「あっ」

 僕の足元には白い封筒と黒い厚紙が落ちていた。それを見た瞬間、僕は全てを悟った。

 今日はコンクールの結果発表があって、僕は佳作だった。何故だか涙が溢れて、泣いて、泣きまくって、泣き疲れて寝てしまったようだ。なんで泣いたのだろう。悲しかったのだろうか。悔しかったのだろうか。どちらも違う気がする。いや、でも悲しい、悔しいという思いもある。多分、それ以上の大きな感情が僕の涙腺をぶっ壊したのだろう。その正体は分からない。

 なんにせよ、佳作は佳作だ。事実は変わらない。もっと上手くならなきゃ。僕はクロッキー帳を取り出し、デッサンを始めた。


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