第2話
今日は、コンクールの結果発表が行われる。結果は手紙で直接送られてくる。
僕は筆を置き、息抜きとしてポストに通知が届いているか確認に動く。中をのぞくと白い封筒が一つ入っていた。宛名には僕の名が記してあった。
部屋に戻り、封筒にそっとハサミを滑り込ませた。空いた穴から親指と人差し指を入れる。硬い感触があった。取り出してみると、それは二つ折りの黒い厚紙だった。今まで何回も見てきた。その度に期待で胸が躍った。今回も例外ではない。体が熱い。数秒後から始まる輝かしい未来に、身も心も興奮している。
思い切って紙を広げる。
一番上に刻印された結果にピントを合わせる。
人生で二度目、これ以上ないほど、最大限目を見開いた。10秒ぐらいそのまま固まってしまった。
「えっ、え?」
一度眼を擦って、もう一度結果を見る。もう一度眼を擦って、見て、擦って、見て擦って、見て...。何度やったって同じだ。
書かれていたのは佳作の二文字。
嘘だ。嘘だ!
今まで最優秀賞やグランプリなど、一番上の賞しかもらったことないのに。
鳥肌が止まらない。呼吸ができない。冷汗が背中をすうっと流れた。目に見えない何かに押さえつけられているようだ。俺は一番上でなきゃいけないのに。
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