選手は天を仰ぎマネージャーは地を這う 中央大学校歌斉唱 V.1.1

@MasatoHiraguri

第1話 中央大学校歌 男子優勝 2022第67回全日本学生拳法選手権大会

https://www.youtube.com/watch?v=RnlVboVmcv0


「灯りは燭台に置く」二チボー貝塚監督 大松博文


① 校歌斉唱時、選手は天を仰いで泣き、マネージャーは日本女性らしく、(マスクで)顔を隠し下を向いて泣く。

 

② 斉唱式を終えると、9人の選手たちは天を仰いで両手を振り上げ(ガッツポーズ)て声援に応える。

  マネージャーはその最後尾から、選手たちの忘れ物がないか、下を見て目を配りながらついて行く。


③ (感激・興奮気味の)選手たちは(応援席と試合コートを隔てる)青い衝立を蹴散らし気味に試合場から出ると、応援の人たちと抱擁したり握手をしながら、自分たちのブースへ向かう。

  マネージャーは、相変わらず選手たちの後ろであちこちに目を配り、最後に(片手でプラカードと自分のカバンを持ちながら)斜めになった衝立をきれいに直し、再び選手たちの後をついて試合会場から去って行く。


 → 映画「モロッコ」1930年のラスト

  外人部隊の後を、マレーネ・ディートリッヒが裸足になってついていきます。

  映画内容と今回のマネージャーさんとでは、モチーフ(表現される動機)はまるで違いますが、「ラストの印象深さ」という点に限って言えば、有名な「第三の男」1949年のラストと同じくらい、この校歌斉唱ビデオのラストにもインパクトがありました。


「中央の横井」及び選手のみなさん、

会場からの声援と賞賛という大きな光を浴びるあなた方の一番後ろには、こうやって、下ばかり見ながら黙々と、皆が浴びる光の影を見て回る人がいるのです。

  彼女こそ、今大会において、先頭を担うキャプテンと同じくらい立派に、チームの殿(しんがり)を務めた10番目の選手と言えるでしょう(「あんたに言われなくてもわかってるぜ」かもしれませんが)。


  人間の行動には、あるパターンや類型というものがあるものですが、今大会のこの場面(優勝チームの後ろからサポートしていくマネージャーさんの姿)に私は、類型(一般的なスタイル)を超えた典型(ひとつの象徴ともなり得るほどの強烈な芸術的存在感)を見た思いです。


④ もうひとつ、感動したのは、校歌斉唱が終わって監督・コーチ・選手全員が礼をする時です。男性陣は、優勝の興奮からか、全員がバラバラに礼をしているように見えますが、彼女だけはきちっと「トン・チン・シャン」のリズム・タイミングで、長くもなく短くもない、一番美しい礼をされています。

  彼女の姿はごく一般的なマネージャースタイルです。

  しかし、その礼は「場と間合いとタイミング」という日本拳法の美しさを、改めてここで見せてくれました。


⑤ 中央大学の選手のみなさんは、日本拳法の殴り合いの美しさを試合で発揮し、彼らのマネージャーさんは美しい礼によって、その最後を締めくくったのです。

 今年の中央大学は、ラインとスタッフの(整合の)美しさでも見せてくれました。


「形あるものの下にはかならず、それを支えるものがある。灯は必ず燭台に置く、とキリストは言った。人はその灯を見るけれども、燭台は忘れる。しかし、燭台はなければならないものだ。」(ニチボー貝塚 監督 大松博文)


2023年1月19日

V.1.1

2023年7月26日

V.1.2

平栗雅人


*** このビデオを撮影し投稿して戴いた方(竹村明KGtv日本拳法 )、誠にありがとう御座います。***


  今年優勝するチームは、校歌斉唱の時、どんな「泣き方」を見せてくれるのでしょうか。

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