生徒会長、綿貫みさき
「みさき、大丈夫?」
友里が近づこうとしたが、みさきはすぐに立ち上がった。
立ち上がったみさきは、髪色が金に、瞳が燃えるような紅色に変わっている。
「え?みさき? 大丈夫?」
「どうした?」
友里と拓海がみさきの顔を覗き込む。
「大丈夫よ。そして、もう2度と仲間を傷つけさせないわ! 大和、武器装置の実験装置で使えるものって何があるの?」
「報告です。主砲、副砲には原子力発電型レーザー砲、近接防空システムとして、レールガンで圧縮した海水を発射するCSR(Compression Seawater Railgun)、海中防衛は超指向性超音波を展開できるDUD(Directional Ultrasonic Defense)が装備されてます。 どれも実験済、結果は良好でした。」
「なるほど。良いじゃないの。」
みさきが阿久津と向かい合った。
「大和を私に預けてもらえますか? 」
「あ。な、何か策はあるのか?」
キャラ変した阿久津でも、金髪、紅色の瞳のみさきには完全に押されている。
「弾数無制限の火器があればグロワース艦なんか余裕で叩き潰せるわ。」
「逃げ切れるとも思えないし、オレはやるしかないと思う。皆はどう?」
阿久津が全員を見たが、全員大きく頷いている。
「みんな、ありがとう。大和! 艦内コードレッド発令! 艦回頭180度! 反転してグロワース艦へ向けて機関最大出力!」
金髪、紅色の瞳のみさきが右手を大きく振って前方を指さした。
大和が大きな軋み音とともに回頭のために大きく傾き、加速開始のGがかかった。
「大和、敵艦が射程距離に入り次第、主砲連続発射、副砲はミサイル防衛に特化、打ち漏らしたミサイルはレールガンで破壊!超指向性超音波を大和前面に展開して魚雷防御!」
金髪、紅色の瞳のみさきが艦橋の中央で仁王立ちしている。
グロワース艦は各艦がミサイルを発射しつつ単縦陣形で向かってきている。
大和の副砲がミサイルへ向けてレーザーを連続発射を始めた。
前方の空に爆発の光が広がる。
「報告です。ミサイル全消弾失。」
「警告です。続けてミサイル補足、距離1000、弾数20。魚雷補足、距離1000、弾数20。」
主砲が照準合わせで上下左右に細かく動き始め、ピタっと止まると同時に、副砲とは比べ物にならない大きなビームの光が発射された。
「報告です。主砲、先頭敵艦、グロワース1に連続して着弾します。着弾場所、前甲板、前甲板、主砲部、艦橋。敵艦爆発炎上。」
「報告です。ミサイル全弾消失。」
「報告です。魚雷全弾破壊。」
「報告です。グロワース1、撃沈。」
大和AIの報告が淡々と続く。
「これが実験艦の実力なのね・・。 これが量産されたら戦争終結じゃないの」
友里の呟きに拓海が応えた。
「いや、だからこそ実験艦なんじゃないですかね。連邦年間予算の20年分って、たとえこれが作れても国が経済破綻して存続しなくなったら本末転倒ですよ・・」
続けて、2艦目以降にも同様に主砲の攻撃が襲い掛かった。
グロワース艦隊は単縦陣形だったおかげで、1艦づつ順番に撃沈されてしまう。
「報告です。グロワース2撃沈。」
「警告です。ミサイル補足、距離800、弾数20。」
「報告です。ミサイル全弾消失。」
「報告です。グロワース3、被弾炎上。」
「警告です。ミサイル補足、距離700、弾数18。」
「報告です。ミサイル全弾消失。」
「報告です。グロワース4、被弾炎上。」
「警告です。ミサイル補足、距離600、弾数10。」
「報告です。ミサイル全弾消失。」
「報告です。グロワース5、被弾炎上。残存艦なし。」
「ふん、片付いたわね。武蔵、被害状況は?」
仁王立ちのポーズを解いたみさきがAIに尋ねる。
「報告です。主砲内の温度が常用域を超えてます。これだけの連続発射は過去の試験データにもありませんので、回復時間は不明ですが、海水冷却装置を稼働させました。他には全セクション問題ありません。」
「戦闘開始から30分とかからずに敵艦を全滅させて、主砲の過熱だけか、恐ろしい艦だな。」
阿久津が呟いた。
「武蔵、微速前進、艦内コードレッド解除。コードイエローで監視を継続。」
金髪、紅色の瞳のみさきはAIに指示をすると、そのまま座り込んでしまった。
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