第333話 地底の窟は産道となりて
◇地底の窟は産道となりて◇
「
俺の風を通して、水気を含んだような滑舌の悪い声が聞こえてくる。声を放ったのはカクタスが見つけた手鐘を持った
顔付きもどことなく他の
「へっ…!どうやら当たりらしいな。…まてよ?あいつを倒したところでオーベッドを倒したって認めてくれるのか?まだ赤の他人の方が似ているといってもいいじゃねぇか」
カクタスが冗談なのか本気で言っているのか判別しづらいことをぼやく。野蛮な話ではあるが、賞金首の討伐証明には首を必要とするため、彼の言うように
「…一応聞いておくけど、あなた達なら元に戻せるかしら?」
「期待しないで下さいまし。少なくとも死んだ後は魂の在り方が変わるため、ほぼ不可能でしょうね」
「そうですね…。死後は元に戻ろうとする復元力が働きませんので…」
カクタスの言葉を聞いたヴェリメラがメルルとタルテに尋ねかけるが、二人は示し合わせたように首を横に振るう。
「ちょっと、そんな相談は後にしてね…!今は儀式を止めるのが先決だよ!」
そう言いながらナナは炎を纏った
それは他の者も分かっているようで、戦う手を止めずに向ってくる
「
「ギイッ、ギギギギイッ…」
オーベッドらしき者が言葉を紡げば、それに答えるように膝を突いた
「大地を飲み込む
「ギイッ、ギギギギイイイッ…!」
変化は緩やかに訪れ始めた。彼らが声を張り上げるたびに、何かがミドランジアの遺骸に向けて流れ込んでいくのを感じ取る。その光景を見てタルテが目を見開きながら、儀式を止めるべく倒した
俺も多少無茶をして強引に圧縮空気を打ち込むが、再び魔法の制御を乱すような呪物が発動して、奴にぶつかる前に魔法が解けてしまう。
「ハルトさん…!
まるで邪悪な元気玉のようなことが起きているとタルテが叫ぶ。しかし、それを阻止しようにも俺らに向かってくる
「嫌な予感はしてたけど、もしかしなくてもミドランジアを
幽都テレムナートで関ったために知っているが、
「…これは恐らく…魔法で言えば儀式魔法のようなものですわ…。儀式呪術…あるいは祈祷呪術と言うべきものでしょうか…」
「…そのために地底の呼び声の奴らを
焦る俺らを尻目に、儀式はどんどんと進んで行く。このまま戦闘を続ければ全ての
「底無き海は全であり、故に全てを孕んでる…!赤子に返り海堕ちろ。呪いと成って産み落ちろ…!
「ギギギギイイイッ…!
しゃがれた声で
しかし、その熱気とは裏腹に、儀式に参加している
「
動きを止めていく
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