第124話 呪歌謡う骸骨
◇呪歌謡う骸骨◇
「…!?坊主!
「おー、制御できないってホントみたいだねー」
語り部として雇用予定であったラサラス君は、残念ながら声を失った上に、吸収されたことで命も失った可能性がある。できれば、あの
「ナナァ!一発頼む!」
「直ぐ行くよ…!
俺は走りながらもナナに指示を出して、火球を飛ばしてもらう。そして、先ほどの落下のようにナナの魔法によって、爆発的な加速度を得る。背後に
「ゴブゥッ…!?」
「ぎりぎりセーフ!」
俺は追撃に備え、ハンドバッグのように
「…?追撃は…無いのか…?」
二本の首による連続的な攻撃を警戒していたが、
不自然な振る舞いに多少の警戒心が湧き上がるが、俺はこれ幸いと
「おう…ナイスだ。坊主。俺が預かろう…死んでないよな?こいつ」
「まさか。学術派のような体付きでしたからね…。赤子にラリアットするかのように加減しました。ちゃんと息してますよ」
ガタイの良いおっさんが戦陣に戻った俺から
「それで…、
おっさんに
双頭の片方がゆっくりと割けた大口の上部に移動すると、そこに組み込まれている
「ジュモッ…!ジュモンッ…!チョウシュッ…チョウシュウ!タミ…カラ…チョウシュウッ!」」
どうやら、
「どうやら…読書タイムと言うわけじゃな無いよな?」
「恐らく何かする気でっせ…!さっさと打ち倒しちまいましょう…!」
このまま待っていても状況が好転するとは思えない。おっさんたちは剣を構えて貪食の
「ファガシクァココ!ファガシクァココ!メイテイアケテ!ァア!ァア!」
甲高い耳障りな声で
「おいおい…何が起きてんだよ…」
「うぅ…耳が痛いです…」
「タルテちゃん…大丈夫…?」
異変はそれだけでは済まなかった。甲高い呪歌を聴きたくなく、他の音に意識を割いていたから直ぐにでも気が付くことができた。この街に着てから嫌になるほど聞いている
「外…!外です…!ここに向かって
俺はエイヴェリーさんと副リーダーのおっさんにそのことを急いで伝える。それを聞いた二人は互いに目を合わすとゆっくりと頷いた。
「…撤退だねー。元凶っぽい人は確保したしー、ここで戦うのは余りに迂闊だよねー」
「聞いたか!直ぐに進め!逸れた奴は門外の野営地に向かえ!信号弾持ちは定期的に撤退の信号を打ち上げろ!」
その号令を聞いて、調査団の面々は一斉に身を反転させる。俺は貧血気味のメルルを背に担いで、後に続くように駆け出した。
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