第16話 アイスと扇風機と耳もとの蚊

 いやあ、人が多いと観察が捗りますねえ。ごきげんようおなつです。

 盆の帰省も相まって、もよりのショッピングモールの中が面白いことになっています。いたる所に設置してある休憩用のソファには倒れ込んで屍と化したパパさんたちが大量発生し、おやつコーナーでは床と一体化しているちびっこたち、おそらくはお姑さんだろうと思われるおばちゃまに一生懸命敬語で話しているママさんたち、ペアルックでお手て繋いで歩いてる推定40代くらいのカップル。食品売り場では短すぎるお姉さんのスカートを覗こうと、スイーツを並べているお兄さんが面白すぎる角度になって働いていました。さすがにあからさまなので、もうちょっとこっそりやらなバレるで、気ぃつけなはれや、などと思いながら見ておりました。

 みなさんはいかがお過ごしでしょうか。わたしは子どもらがこの灼熱にも関わらずだんごむしを観察しに行ったので、この隙にと慌ててエッセイを書いています。台風は大丈夫でしたか。


 暑すぎてなーんもやる気が起きません。まあ、近々キャンプに行かねばならないので、それまではのんびりしたいです。推しのアイドルが阿呆みたいに働くのでテレビを見るのも忙しいですしね!


 あ、そうそう、そういえばさ、ちょっとほほーうと気に留まることがあったのですよ。

 わたし近年よくイヤリングをつけているんですよね。ピアスの穴は塞いでしまったのでイヤリング派です。耳に引っ掛けるだけのイヤーカフなどというものは落として無くしました悲しい。旦那の趣味が道の駅巡りなので、一緒についていっていろんなところに寄るたびに気に入ったものがあれば買います。今月も落ち着いた色味のプラプラ揺れるタイプのイヤリングを購入しまして、気に入ってよくつけているんですよ。

 そしたらね、うちのマザコン下の子くんが店の中を歩きながら「ぼくにもそれつけてほしい」などというのです。別にいいですよーと思って、右耳のイヤリングを外して彼の右耳につけてあげてみました。下の子くん大興奮。上の子くんは「下の子くんチャラーい!」などと大喜び。イヤリングってこんなに人のテンションを上げるものだったのかと感心しました。

 ついでにレジのお姉さんたちもそんな姿の下の子くんが気になるみたいで、どこに寄っても会計の間に下の子くんに構う構う。下の子くんはきれいなお姉さんが大好きなのでもううはうはですよ。デザインが女性物のイヤリングなので、「きみは女の子なの〜?」とにこにこしながら聞かれたりしていました。

 んでね、それ聞いてふと思ったんですよ。男の子が女性物のアクセサリーをしていると、やっぱり違和感があるのかしら、と。

 わたし今でこそ華奢な感じのアクセサリーもつけますが、昔はゴツい男性物なんかも普通に使っていました。結婚指輪もゴツいしね。別に男の子が女性物のアクセサリーつけてたっていいじゃない。感覚の違い、みたいなものがふんわり感じられて、別に不愉快とかそんなのは一切ないんだけど、なんとなく「ふーん、あ、なるほど、そっかあ」などとひとりで妙に考えてしまいました。

 ちやほやされてご機嫌になった下の子くんがイヤリングを返してくれそうにないので、仕方なく近くのお店で下の子くん用のイヤリングを購入して物々交換してもらいました。その時の気分でいかつい系のやつにしてやったぜ。わたしも貸してもらうんだーい。でもイヤリングはね、長時間つけっぱなしにしていると耳たぶ千切れそうなくらい痛くなるんですよね。そこが難点ですね。


 さーて、そろそろ昼ごはんのために子どもらを呼び戻さねばなりません。出不精のくせに出かけたら今度は呼ばないと帰ってこないからねえ。

 お昼ごはんはなんですか。うちは麺です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

傍若無人 夏緒 @yamada8833

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る