[19] ゲーム

 デスゲームを主催したことがある。あれほんと大変。

 何が大変ってゲームの準備が。


 まずルールはできる限り単純に。

 複雑だとその説明だけで時間がかかるし、理解できてない人もでてくる。


 といって単純すぎてもよくない。

 序盤で勝負がついてしまってあとは手順通りなんてのもだめだ。逆転の要素が必要。

 もちろんすぐに最適解が見つかるようではつまらない。


 失敗例その1。じゃんけんに毛の生えた程度の運ゲー。


 ルール説明は簡単に済む。理解できてない人もいなかった。

 けれども戦略も何もあったもんじゃなくてやってる側も見てる側も退屈だった。

 命をかけていてもつまんないものはつまんないのだ。


 失敗例その2。既存のボードゲームで間に合わせてみた、麻雀。


 それらは時の流れの中で洗練されておりバランスもとれている。

 問題は知ってる人と知らない人の間の不平等が大きかったこと。

 ついでに見るだけならプロがやってる方がおもしろいという問題もあった。


 他にも多数の失敗を経て自分らで頭ひねってオリジナルのゲーム作らないとダメだという結論に至った。

 けれども本当に大変なのはそこからだった。


 私たちは別段それまでゲーム作りの経験なんてなかった。

 またそうした意欲を持ち寄って集まった集団というわけでもない。


 市販のゲームを買いあさったり、ハウツー本を読んだりでいろいろ研究する。

 試行錯誤の日々。それなりに形にはなってきたが、決め手に欠ける。


 ゲームデザイナーを仲間に入れることにした。


 この時にはチームの共通見解としてデスゲームじゃなくても楽しめるゲームじゃないとデスゲームには使えないということになっていた。

 そのためデザイナーにはデスゲームのことは話さず雇った。


 長年ゲームを作りつづけているだけあって、彼には私たちにはない視線があった。

 みんなでアルファ版で遊んでみた時、これはいけるという確かな手ごたえを初めて感じた。


 あまりにおもしろかったので一般販売してみたら、業界内でそこそこのヒットになった。

 作品について詳しい情報は言えない。デスゲーム主催してる会社とばれるのはさすがにちょっと困る。


 現在は次回作を鋭意製作中である。

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