[14] 怪物

 インドゥドゥギャナックを知っているか?


 インドゥドゥギャナックは空を飛ぶ。

 つまりはどこへでも自由に侵入できるということだ。

 実際その目撃情報は広い。世界中に散らばっている。


 中国内陸部で発見された次の日にチリにて被害が発生したという例もある。

 1体のインドゥドゥギャナックが高速で移動したのか、それとも複数体のインドゥドゥギャナックがこの地球上に存在するのか、どちらが正しいのかわからない。

 ただどちらにしろ人類にとって危険極まりないことだけは確かである。


 インドゥドゥギャナックには5つの目がある。

 その5つの目はそれぞれ別の存在を感知している。

 光線、放射線、熱線、磁力線、情念線。


 情念線は人間的な意識を持ったものが強い感情を放った際に射出される。

 私たちには完全に未知な現象であり、今のところ実験的に確認する方法は見つかっていない。


 とにかく一度補足された時点でそれから逃れるのは不可能だと言ってしまってよい。

 そこらにあるような半端な遮蔽でもってその視線を遮ろうと考えるのは無意味なことだ。


 インドゥドゥギャナックは人間で遊ぶ。

 ちょうど人間が人形で遊ぶのを想像するとわかりやすい。

 腕をつかんだり足を曲げたり、そうやって遊んでいるのだと推測されている。


 人間を食料として摂取しているという観察例は今のところない。

 口に含んだ例はたびたび報告されているが、そのまま飲み込んだというパターンは非常に少ない。

 かみ砕かれることはあってもそのうち吐き捨てられる。


 インドゥドゥギャナックについて知っていたところで役に立つことは少ない。

 せいぜい出会った時にすばやく諦められるようになるぐらいだ。

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