[15] 電子機器
電子機器は怪異に対して絶対に安全である、というわけではない。
前にパソコンに無料のセキュリティソフトをインストールしたら、動きが非常に遅くなった。
しょうがないから削除することにしたのだけれど、その際「本当に削除しますか?」とやたら念押しされた。
ともかくそれで問題は解決したと思っていたのだが、そうはいかなかった。
パソコンを起動するたびによくわからない警告が表示されるようになった。
『毒劇鬱◇◆札呪呪呪口口△▼山人冊行行画548926487P』
記憶を頼りに適当に再現してみたけど、実際はところどころ一部知ってる漢字と違ってたと思う。
マウスカーソルが勝手に動くなんてこともあった。
アンインストールに失敗したのかな? と思って設定を見直したら、そもそもインストールした覚えのないソフトがたくさん入っていた。
しかもそれらは消去しようとしてもエラーが発生して全然消去できないという。
薄気味悪くなったので知り合いの霊媒師に相談してみたところ、起動画面を見るなり彼は「よくこんなになるまで放っておいたな、ぎりぎりだったぞ」と言った。
知らない間にとてつもなくまずいところまで状況は進行していたようだった。
なんとかできないものだろうかとお願いすると、「難しいがやってみよう、ただし中のデータについてその無事は保証できないが」と言われた。
惜しいが背に腹はかえられない。私は彼にすべてをまかせることにした。
「少々時間がかかるし、この場にいられるといろいろやりづらいから」と言われたので、私はちょっと喫茶店まででかけて一息ついてくることにした。
そうして約1時間後に家に帰ってきたら、すべてはすでに決着していた。
彼が言うには除霊にはなんとか成功したがパソコンの中身はすべていっしょに破壊されてしまった、完全に新品の状態に戻っているからまた必要なソフトを入れていかなくてはいけないということだった。
つまりは多少の犠牲はあったがどうやら助かったようだった。私は彼におおいに感謝した。
電子機器も呪いに感染する。そして悪意はインターネットにも散らばっている。
もし万一、怪異に見舞われることになったら、ただちに専門家に頼ることをおすすめする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます