[3] 波長

 波長は大事です。波長によって人体は大きく影響を受けます。

 私は高校生の時、電車で学校に通っていました。

 2年生の春のことです。なんだか最近疲れたなと思いながら、ホームで電車を待っていました。

 するとどういうわけか線路内にたくさんの人が並んでいました。目をこすってもう一度見てみると彼らの輪郭はぼんやりとしていました。

 彼らは生きた人間ではなかったのです。

 それから毎日私は彼らの姿を見ました。周りの人はまったく気づいていないようでした。

 私には生まれついてそういうような能力があったわけではありません。ただなぜかいきなりそれらの存在に気づいてしまったのです。

 彼らの側が私に気づいていたのかはわかりません。彼らはいつも線路の中で呆然と立ち尽くしていました。

 害と言う害はなかったのですが、その時期は異様に肉体的にくたびれていました。けれどもそれは別に原因のあることで彼らのことは多分関係ありませんでした。

 しばらくしてその彼らは見えなくなったのですが、なぜ急にまた見えなくなったのか、振り返ってみてそうかなあと思えることが1つあります。

 マッサージチェアです。

 別の用事で電気量販店に立ち寄った際にマッサージチェアを使ってみたところ、あまりにもぴったりはまってついうとうとしてしまいました。

 まどろみから目覚めると体が変にすっきりしていました。そして翌日から線路内に薄い人たちが立ち並んでいるのを見ることはなくなりました。

 幽霊たちとあっていた波長がマッサージチェアに揺られたことでずれたのです。少なくとも私はそう考えています。

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